2 / 21
2話 師匠になりました
しおりを挟む
魔王になる少年ことアルファルドを客間のベットに寝かせて、私はすぐさま様態を診た。アルファルドの傷は然程大きい物ではなかったが、小さい傷が数えきれないほど多くとても痛々しい。
「治癒、体力回復」
これで傷を完治し、体を動かせる程度には体力は回復できただろう。しかし血液など失われた物、体に必要な足りない物は補えない。
そして傷よりも大きな問題があった。それはアルファルドの健康状態だ。傷を見るために服を脱がせた際、彼の体を見て傷の多さよりも骨が浮き上がるほどやせ細っていることに私は驚いた。
具合が悪くて顔が青ざめていたのは分かっていたが、これを目の当たりにして原因が栄養不足だとすぐに理解する。
きっと満足に食事をとることが出来なかったのだろう。
ゲームでのアルファルドは、ゲームのディアナに弟子ということでペットとして飼われ酷い仕打ちを受けていたが、それ以前にもディアナ程でないにしろ人として扱われず蔑ろにされていた。
と言うのも、今は殆ど廃れてしまった迷信なのだが、黒髪紅目の子どもは魔王になると言われていたのだ。
ある意味真実であるが、その子どもが魔王になってしまう原因は周囲の人間、特に最も身近な親族だ。
アルファルドが典型的な例だ。その迷信を極僅かに信じている者もおり、そういった人間が集まっていた村に生まれたのがアルファルドだった。当然その村の人々は勿論、親や兄弟にアルファルドは魔王になると畏れられながらも虐げられたのだ。
もともと黒髪紅目の人間の多くが魔力が桁違いにある。そこに精神的な負荷や肉体的な負荷が重なり臨界点が突破し不安定なった膨大な魔力が爆発すると、闇に堕ちてしまうのである。
闇に堕ちた者は初め怨念に思考が奪われ、破壊衝動と殺戮衝動に互い周囲を滅ぼす。これが魔王化と呼ばれるものだ。
周囲を破壊しつくすと大分落ち着き、今度は魔獣などを従える能力を手にして最終的には世界を滅ぼす。これが魔王になってしまった者の業なのである。魔王になったものは、大抵こうなるらしい。例外で静かに魔王化し恨みのある者だけを殺してすぐに人間に戻ったものもいるらしいが、本当に稀な事だ。
できればアルファルドにはそんな道を辿って欲しくはないが、ゲームにとって主要な彼が魔王にならなくてもいいのだろうか?
出来る事なら、魔王にならないでほしい。私の死亡フラグを回避するためにも。
しかしこのことによって世界のバランスが崩れたら? もしこれで世界が滅びるなんてことになったら私の死亡フラグどころではない。世界諸共ジ・エンドだ。
それでは出来るだけ安全に魔王化するように配慮をするべきだろうか? 安全な魔王化がどんなものかも知らない上にそんなことが出来るかどうかも怪しいが。
今はそんなことを考えても答えには辿り着けないだろう。それならば私は……。
「取り合えずこの子が独り立ちできるようにビシバシ鍛えて当たり前の幸せを得られるようにするしかないわね。私弟子なんか頼まれても作らなかったんだから、感謝しないさいよ、未来の魔王様。私、厳しんだから覚悟してよね」
私にできることは彼の師匠として、保護者としての愛情を注ぐこと。この歳で子どもを持つことになるなど考えもしなかった。転生してからの年齢は17だが、前世の分も含めれば三十路。子ども一人いても可笑しくはないが、心境は複雑だ。傍から見たら親子や師弟関係というよりも姉弟に見えるだろう。
アルファルドはゲームの知識によると大体10歳くらいだろう。食生活が悪劣だっため通常の10歳の子どもよりも小柄だが、私がこれからずっと十分食事を与えるのでその心配は無用だ。子どもは回復力も高いからすぐに回復することだろう。
衣服を綺麗なパジャマに着替えさせたため後は大丈夫だろう。身に着けていた衣服はボロボロで、着ることは出来ないだろうが無断で捨てるのは躊躇われるので取りあえず取っておくことにした。
水を張っていた桶に手拭いを入れ、絞ったもので少し汚れていたアルファルド顔をぬぐっていると、彼の瞼が僅かに震えた。
「うっ……、ケホッケホッ」
声を出そうとするもかなり喉が渇いているのかむせ出すアルファルドに、私は上半身を起こさせてから優しく背中を撫で、コップを彼の口元に寄せ水を飲ませると「ありがとうございます」というか細い声が聞こえた。
「傷の具合と体調はどう? 少年」
アルファルドは虚ろな目で私を見ると、どこか怪訝な顔をする。
「貴女は……一体……。何故僕なんかを、助けてくれたんですか……」
いくら将来の魔王と言えどもまだ子ども。弱弱しい姿にゲームの彼とのギャップに笑いが零れそうになると同時に胸が痛む。
アルファルドは虐げられることが当たり前になっており、それが自分の普通の扱われ方だと思っているのだろう。
彼が本当に絶望するのは、優しさに触れ心を取り戻してからだ。惨いことをゲームのディアナはしていた。
あんなゲームのようなことは私には出来ない。出来てもやりたくない。
彼の不安が隠れる眼差しを私は真っ直ぐ、しかし優しい眼差しで見つめる。
「私の名はディアナ・ブラッドフォール。銀色の乙女や剣聖、賢姫と呼ばれている者よ。そして、少年の師匠でもある」
「師匠、ですか?」
訝しむ彼をよそに私は言葉をつづける。
「そう、少年は今から私の弟子になったわ。体調の回復次第ですぐに鍛錬を始めるわ。私の生きるためのありとあらゆる知識と戦う術を少年に教えてあげる。少年が独り立ちできるまでね」
「でも……僕なんか……」
「自信を持ちなさい。少年はこのディアナ・ブラッドフォールの唯一無二の弟子なのよ? 今まで弟子入りを断ってきた私が弟子を取るなんてそうそうない事よ。少年には私の教えを教授するだけの器も才能もあるんだから。胸張って喜ぶところなんだからね」
私が笑みを浮かべると、アルファルドは照れたようにして顔を俯かせた。
「少年の名前は何て言うの?」
「アルファルド、です」
アルファルド、前世の外国の言葉では孤独な者を意味する。彼が孤独にならず幸多からん事を祈るばかりだ。
「そう、アルファルドなら……アルと呼ぼうかしら。私の事は師匠と呼んでね。これからよろしくね、アル」
「はい、よろしくお願いします。師匠」
慣れない笑みを浮かべたアルの顔は少し引きつっていたが、私も微笑み返す。
私の死亡フラグを折りつつ、彼の師匠を頑張るとしよう。
「治癒、体力回復」
これで傷を完治し、体を動かせる程度には体力は回復できただろう。しかし血液など失われた物、体に必要な足りない物は補えない。
そして傷よりも大きな問題があった。それはアルファルドの健康状態だ。傷を見るために服を脱がせた際、彼の体を見て傷の多さよりも骨が浮き上がるほどやせ細っていることに私は驚いた。
具合が悪くて顔が青ざめていたのは分かっていたが、これを目の当たりにして原因が栄養不足だとすぐに理解する。
きっと満足に食事をとることが出来なかったのだろう。
ゲームでのアルファルドは、ゲームのディアナに弟子ということでペットとして飼われ酷い仕打ちを受けていたが、それ以前にもディアナ程でないにしろ人として扱われず蔑ろにされていた。
と言うのも、今は殆ど廃れてしまった迷信なのだが、黒髪紅目の子どもは魔王になると言われていたのだ。
ある意味真実であるが、その子どもが魔王になってしまう原因は周囲の人間、特に最も身近な親族だ。
アルファルドが典型的な例だ。その迷信を極僅かに信じている者もおり、そういった人間が集まっていた村に生まれたのがアルファルドだった。当然その村の人々は勿論、親や兄弟にアルファルドは魔王になると畏れられながらも虐げられたのだ。
もともと黒髪紅目の人間の多くが魔力が桁違いにある。そこに精神的な負荷や肉体的な負荷が重なり臨界点が突破し不安定なった膨大な魔力が爆発すると、闇に堕ちてしまうのである。
闇に堕ちた者は初め怨念に思考が奪われ、破壊衝動と殺戮衝動に互い周囲を滅ぼす。これが魔王化と呼ばれるものだ。
周囲を破壊しつくすと大分落ち着き、今度は魔獣などを従える能力を手にして最終的には世界を滅ぼす。これが魔王になってしまった者の業なのである。魔王になったものは、大抵こうなるらしい。例外で静かに魔王化し恨みのある者だけを殺してすぐに人間に戻ったものもいるらしいが、本当に稀な事だ。
できればアルファルドにはそんな道を辿って欲しくはないが、ゲームにとって主要な彼が魔王にならなくてもいいのだろうか?
出来る事なら、魔王にならないでほしい。私の死亡フラグを回避するためにも。
しかしこのことによって世界のバランスが崩れたら? もしこれで世界が滅びるなんてことになったら私の死亡フラグどころではない。世界諸共ジ・エンドだ。
それでは出来るだけ安全に魔王化するように配慮をするべきだろうか? 安全な魔王化がどんなものかも知らない上にそんなことが出来るかどうかも怪しいが。
今はそんなことを考えても答えには辿り着けないだろう。それならば私は……。
「取り合えずこの子が独り立ちできるようにビシバシ鍛えて当たり前の幸せを得られるようにするしかないわね。私弟子なんか頼まれても作らなかったんだから、感謝しないさいよ、未来の魔王様。私、厳しんだから覚悟してよね」
私にできることは彼の師匠として、保護者としての愛情を注ぐこと。この歳で子どもを持つことになるなど考えもしなかった。転生してからの年齢は17だが、前世の分も含めれば三十路。子ども一人いても可笑しくはないが、心境は複雑だ。傍から見たら親子や師弟関係というよりも姉弟に見えるだろう。
アルファルドはゲームの知識によると大体10歳くらいだろう。食生活が悪劣だっため通常の10歳の子どもよりも小柄だが、私がこれからずっと十分食事を与えるのでその心配は無用だ。子どもは回復力も高いからすぐに回復することだろう。
衣服を綺麗なパジャマに着替えさせたため後は大丈夫だろう。身に着けていた衣服はボロボロで、着ることは出来ないだろうが無断で捨てるのは躊躇われるので取りあえず取っておくことにした。
水を張っていた桶に手拭いを入れ、絞ったもので少し汚れていたアルファルド顔をぬぐっていると、彼の瞼が僅かに震えた。
「うっ……、ケホッケホッ」
声を出そうとするもかなり喉が渇いているのかむせ出すアルファルドに、私は上半身を起こさせてから優しく背中を撫で、コップを彼の口元に寄せ水を飲ませると「ありがとうございます」というか細い声が聞こえた。
「傷の具合と体調はどう? 少年」
アルファルドは虚ろな目で私を見ると、どこか怪訝な顔をする。
「貴女は……一体……。何故僕なんかを、助けてくれたんですか……」
いくら将来の魔王と言えどもまだ子ども。弱弱しい姿にゲームの彼とのギャップに笑いが零れそうになると同時に胸が痛む。
アルファルドは虐げられることが当たり前になっており、それが自分の普通の扱われ方だと思っているのだろう。
彼が本当に絶望するのは、優しさに触れ心を取り戻してからだ。惨いことをゲームのディアナはしていた。
あんなゲームのようなことは私には出来ない。出来てもやりたくない。
彼の不安が隠れる眼差しを私は真っ直ぐ、しかし優しい眼差しで見つめる。
「私の名はディアナ・ブラッドフォール。銀色の乙女や剣聖、賢姫と呼ばれている者よ。そして、少年の師匠でもある」
「師匠、ですか?」
訝しむ彼をよそに私は言葉をつづける。
「そう、少年は今から私の弟子になったわ。体調の回復次第ですぐに鍛錬を始めるわ。私の生きるためのありとあらゆる知識と戦う術を少年に教えてあげる。少年が独り立ちできるまでね」
「でも……僕なんか……」
「自信を持ちなさい。少年はこのディアナ・ブラッドフォールの唯一無二の弟子なのよ? 今まで弟子入りを断ってきた私が弟子を取るなんてそうそうない事よ。少年には私の教えを教授するだけの器も才能もあるんだから。胸張って喜ぶところなんだからね」
私が笑みを浮かべると、アルファルドは照れたようにして顔を俯かせた。
「少年の名前は何て言うの?」
「アルファルド、です」
アルファルド、前世の外国の言葉では孤独な者を意味する。彼が孤独にならず幸多からん事を祈るばかりだ。
「そう、アルファルドなら……アルと呼ぼうかしら。私の事は師匠と呼んでね。これからよろしくね、アル」
「はい、よろしくお願いします。師匠」
慣れない笑みを浮かべたアルの顔は少し引きつっていたが、私も微笑み返す。
私の死亡フラグを折りつつ、彼の師匠を頑張るとしよう。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
R18、アブナイ異世界ライフ
くるくる
恋愛
気が付けば異世界。しかもそこはハードな18禁乙女ゲームソックリなのだ。獣人と魔人ばかりの異世界にハーフとして転生した主人公。覚悟を決め、ここで幸せになってやる!と意気込む。そんな彼女の異世界ライフ。
主人公ご都合主義。主人公は誰にでも優しいイイ子ちゃんではありません。前向きだが少々気が強く、ドライな所もある女です。
もう1つの作品にちょいと行き詰まり、気の向くまま書いているのでおかしな箇所があるかと思いますがご容赦ください。
※複数プレイ、過激な性描写あり、注意されたし。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる