居酒屋ぼったくり

秋川滝美

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7巻

7-2

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「それで思い出したんだけど……」

 そこで口を開いたのは、それまで黙って話を聞いていた馨だった。

「たばこっていえばさ、一時期、ホタル族って流行はやったじゃない?」
「ああ、あのベランダでたばこ吸う親爺おやじさんたちかい?」

 その流行は『一時期』なのか? 今でもやってる奴はやってるぜ、とマサは笑う。
 馨は、あ、そうか、現在進行形か……と訂正しながらも話を続ける。

「あれも考えものよね」 

 なにが考えものなのだろう。家の中にいる家族にたばこの影響を与えないように外で吸うというのは、いい配慮に思えるけど……と美音は思った。そんな美音の目の前で、人差し指を左右に揺らしつつ馨は言う。

「あれさ、自分の家族にはいいけど、隣の家のこととか考えてないと思わない?」

 窓を開けっ放しにしているときに、隣のベランダでたばこを吸われたら、煙が窓から自分の家に流れ込んできてしまう。家の中、換気扇の下でたばこを吸う人もいるらしいが、排気口が自分の家の窓に面していると、煙が全部入ってきかねない。
 それが嫌で、隣でたばこに火をつける気配を感じると、真夏でも窓を閉めざるをえない。そんなこんなで、自分の家族さえ煙害から守れれば隣人はどうでもいいのか、と、トラブルの種にもなっているらしい。

「ははー、なるほどねえ……」
「たばこを吸うのはご自由に、でも煙を吐かないでください、って言う人もいるらしいよ」
「それはまた……」

 その場にいたみんなが絶句した。それこそ、気持ちはわからないでもないが、あまりにもできない相談すぎる、という感じだった。

「それはさすがに吸ってる奴が気の毒だなあ……。別にご禁制の品でもなんでもないのに、そこまで言われちまうなんて」

 そう言ったあと、マサは、別に俺は吸わねえからいいけどな、と付け足した。美音はちょっと考えながら答える。

「たばこから入ってくる税金とかも、かなりの金額だって聞いたことがありますけど……」
「確かにそうらしいけど、それとたばこが原因で病気になった人の医療費とどっちが大きいか微妙じゃないの?」

 医療費がかかれば、そこに投入される保険料も大きくなるから税金だってたくさん使う、と馨が訳知り顔に言った。
 新聞か何かで読んだことの受け売りかと思ったら、どうやら学生時代、彼氏のてつが喫煙に興味を示したことがあったらしい。馨は、なんとかそれをやめさせようとしてあれこれ調べて、説得に励んだという。
『吸い始めるのは簡単だけど、やめるのは大変なんだよ』という言葉が決定打となって、説得は大成功、哲が愛煙家の道を歩むことはなかったそうだ。馨は哲の健康に大いに貢献したことになる。

「ほう。そいつはいいことしたな、馨ちゃん」
「でしょ? たばこなんて百害あって一利なしだよ」

 馨とマサは意気投合している。だが、美音は、話はそう簡単ではないと思う。
 病気になる人が多ければ国が負担する医療保険料も増えるのは当然だが、喫煙者を減らして医療費を削減するほうがいいのか、たばこ税を維持して財源を確保したほうがいいのか、結論を出すのは難しいはずだ。
 純粋に健康のことだけを考えたとしても、ずっとたばこを吸ってきた人が禁煙を強いられたときに感じるストレスは馬鹿にならないと聞く。ストレスから病気になることだって、ないとは言い切れない。老い先短いんだからたばこぐらい吸わせろ、なんて言う年寄りも少なくないだろう。

「まあ、うちの常連さんは吸わない人が多いからいいですけど、家族に吸う人がいたらいろいろな意味で心配でしょうね」

 本人の健康、家族の健康、周囲への配慮……どれをとっても、吸わないほうがいいという結論に落ち着きかねない。そんな中で、たばこを吸い続ける家族がいたら、対応に迷うことだろう。

「家にたばこを吸う大人がいれば、子どもにとってもたばこは当たり前のものになっちまう。で、そのうち自分も吸い始めて、代々ずーっとそれが続いていくんだろうな」

 少なくとも、家族みんなが喫煙者なら、家の中で嫌煙云々うんぬんの問題は生まれないだろう、とマサは言う。

「でも、問題はそればっかりじゃないんだよ!」

 馨がことさら鼻息を荒くした。

誤飲ごいんとか、ライターの火遊びとか、たばこがらみの子どもの事故だってあるじゃない!? それって、そもそも家にたばこを吸う人がいなければ起きない事故だよね?」

 赤ん坊が灰皿に残っていたたばこの吸い殻を口に突っ込む。火のついたたばこに触ろうとして火傷やけどをする、といった事故はあとを絶たない。
 子どもがライターをいじって怪我をしたとか、火事になったという事故も一時期相次いだ。使い捨てライターについては、子どもが簡単に着火できないように改良されたようだが、古いタイプが払底ふっていしたわけではない。使い捨て以外のライターを使っている人も多いだろう。そもそもライター、あるいはマッチなど『火がつくもの』は子どもの興味を引きやすく、目の前にあれば触ってみたくなるのも無理はないのだ。

「子どもがいるときは、たばこは控える。吸うにしても、たばこやライター、吸い殻の始末はきちんとしなきゃ」
「だがなあ……たばこを吸う連中は、気晴らしにぱあーっとふかしたいだろうに、いちいち後始末まで考えてって言われるのも辛かろうよ……」
「馨だって、ダイエットしてる人から、私の目の前でおやつなんて食べないで、お菓子は全部見えないところにきっちりしまって! とか言われたら面倒くさいと思わない?」
「お姉ちゃん、それ、話が違いすぎ……」

 お菓子はダイエットの敵だけど、別に周囲の人の身体に害があるわけじゃない、と馨は唇を尖らせる。

「あら、そう? ダイエットの例を出せばわかりやすいかなーと思って」
「違いねえ」

 姉妹のやりとりにひとしきり笑ったあと、一連のたばこにまつわる話題を打ちきるように、マサが言った。

「ま、いずれにしても、たばこをふかす男がかっこいいと言われた時代は終わったってことだな」

 かつて、職人にキセルやたばこはつきものとされた時代もあった。だが、今現在、植木職人であるマサはたばこを吸わないし、彼のまわりでも喫煙者はどんどん減っているらしい。
 ちょっと影のある男、あるいはいきな職人がたばこをふかす風景というのはもう映画や絵画、写真の中でしか見られない時代なのかもしれない。
 健康もまわりへの配慮も大事だけど、それはそれでちょっと淋しい。そう思いつつ、いったい自分はどっちの味方なんだ、と首を傾げそうになる美音だった。


     †


さばか……随分と下世話なものを出す」

 カウンターに座った客が吐き捨てるように言った。
 これまで『ぼったくり』で鯖を、いや、他のどんな食材だってそんな風におとしめる客はひとりもいなかった。それなのに、初めてやってきたその男は『本日のおすすめ』に書かれた文字を見ただけでその台詞せりふを吐いたのである。
 馨の表情が不快げなものに変わった。そんな妹を目で叱り、美音はあえて静かに言葉を返す。

「そうですね。うちは高級料理店ではありませんから、扱っているのは下世話なものが多いかもしれません。でも、できるだけ美味しいものを、できるだけお値打ち価格で召し上がっていただきたいと思っているんですよ」
「ものは言いようだな」

 男はあくまでもけんか腰だった。美音は男の様子をそっとうかがう。
 歳はおそらく五十代後半、仕事帰りに間違いないだろう。仕立ての良いスーツから疲れが染み出しているように見える。ネクタイがきちんと締められているところをみると、接客業、あるいは営業回りの仕事にでもいているのだろうか。もしかしたら、仕事で何か嫌なことがあったのかもしれない。さを晴らしたいけれど、馴染なじみの店ではためらわれる。通りすがりの、入ったことのない店ならかまいはしない、と考えた可能性は否めなかった。
 血気さかんという年頃でもない。なにがこの客をこんなに不機嫌にさせたのだろう……、美音は男の姿を見ながら、そんなことを考えた。


「お飲み物はなににいたしましょう?」

 姉の声を聞きながら、馨は品書きを男の前にそっと置いた。男は、カウンターの上に並んでいる焼酎しょうちゅうやウイスキーの瓶を一瞥いちべつして答える。

「どうせ下世話なものしか置いてないに決まってる。ビールでいい」

 聞いたとたん、馨は頭に血がのぼるのを感じた。
 姉はいつもと変わらぬ笑顔で新参の客とやりとりしているし、先ほどは心情がそのまま顔に出てしまった自分をたしなめさえした。接客のプロとしてそうあるべきだとわかっていても、悔しさが抑えきれない。
 あえて輸入ビールを出すという手段もある。このあたりの店では滅多に見ないドイツビールでも出して、鼻をあかしてやればいい。姉なら、きっとそうするだろう……
 そんな思いで、馨は美音の手元をうかがった。けれど、姉が出したのは、どこの店でも扱っている国産の瓶ビールだった。
 男の鼻の穴が、ちょっと広がった。さらなる批判材料を得た、というところだろうか。

「ありきたりだな」
「申し訳ありません。この銘柄をお好みのお客さまも多いですし、料理にも合わせやすいものですから」
「下世話な料理にありきたりな酒、まったくなっちゃいないな」
「おっしゃるとおりです」

 なにを言われても、美音の控えめな笑顔は崩れない。
 しもがつくほど冷えたグラスを男に渡し、慣れた仕草でビールをぐ。きれいに立った泡に一瞬だけ目を留めたあと、男はビールを一息に呑み干した。
 喉が渇いていたという風にも見えないのに……と馨はさらに疑問を感じる。なぜこの男がこの店にやってきて、ここまで不満をまき散らしているのか、謎としか言いようがなかった。
 男の視線が、目の前に置かれている醤油しょうゆや塩の容器、つまようじ立てなどをさまよう。やがて、ちっ……という小さな舌打ちが聞こえてきた。

「今日で何日目ですか?」

 何気なく、姉がたずねた。
 男のほうを見るでもなく、鍋の中の調味料が煮立つ様子に目をやったまま発せられた問いに、男は飛び上がらんばかりになった。

「な、なんだよ、なにがだよ!」

 そこで初めて、美音が男と視線を合わせた。

「口が寂しくなる時期じゃないんですか? 文句もたくさん言いたくなっちゃいますよね」

 男は一瞬絶句し、数秒の沈黙のあと、なぜか諦めたような口調で答えた。

「……そりゃあ、まあ……」
「お辛いですね……」
「ああ……」

 馨には、美音がなんの話をしているのか全くわからなかった。男は呆然と美音の顔を見たあと、それ以後は文句をまき散らすこともなく、ただ黙ってグラスを口に運んだ。またぐいぐいと呑み干し、手酌でビールを注ぎ足す。それで瓶は空になった。
 馨は男の表情をうかがった。呑み足りないみたい、お代わりを運んだほうがいいかな、と迷っていると、再び美音の声がした。

さばのオランダ煮でも召し上がりませんか? 今日の鯖は、すごくあぶらがのってておすすめなんですよ。もしかしたら、お酒はそこまでにして、お食事にされたほうがいいかもしれません。ご飯とお味噌汁もご用意できます」

 ご飯は新米の炊きたてですよ、と美音はにっこり微笑む。男は空っぽのビール瓶と、美音の手元の鍋を交互に見たあと、呟くように、そうするかな……と答えた。

「馨、こちらさまにお味噌汁をご用意して。赤だしがいいわ」

 馨に言いつけたあと、美音は、あらかじめ片栗粉をまぶして揚げてあったさばを鍋の煮汁に入れた。煮汁の中には薄切りにされた生姜しょうががたっぷり。普段よりもみりんと砂糖を多めに使っているから、甘みが勝った、こってりした煮物が出来上がるはずだ。
 美音が鯖を煮ている間に、馨は豆腐とナメコの赤だしを温め、万能ネギを散らす。
 やがて茶碗に盛り付けられたご飯と鯖のオランダ煮、熱々の味噌汁が、男の前に並べられた。 
 それまで仏頂面ぶっちょうづらでビールを呑んでいた男が、目の前に食事を置かれた瞬間、ごくりと生唾を呑み、さっと箸を取り上げた。
 男は、オランダ煮の甘い醤油しょうゆと生姜の味を噛みしめ、煮汁でとろけた衣の食感を楽しんでいる。続いて炊きたての新米。米はほんのりと甘く、合間に口に運ぶ味噌汁は八丁味噌仕立てで、ナメコのぬるりとした食感が舌に心地よいはずだ。味噌汁の熱さも含めて、文句のつけようもない……という顔になる。
 すべての器がきれいに空になった。運ばれたほうじ茶を一口飲んだあと、男は恥じ入ったような顔で、美音に詫びた。

「すまなかった……。完全に八つ当たりだ」

 八つ当たりってどういうこと? と首を傾げた馨をよそに、美音は訳知り顔に頷いた。

「いいんですよ。お気になさらなくても。大変なんですってね……たばこをやめるって」
「そうなんだ。口寂しいし、いらいらするし、それでつい……。それにしても、禁煙中だってよくわかったな……」
「何度も、胸のポケットに手をやられたでしょ? いつもそこにたばこを入れてらっしゃるんじゃないかな、と思って。それに、灰皿を見てすごく嫌な顔をなさいましたし」
「目ざといな」
「それから、ほんの少したばこの香りがします。まだ禁煙されてから間もないんじゃないですか?だから、家の中にたばこの香りが残ってて、服とかにも……」

 そんな風に、次々に推理の根拠を明かす美音を感心したように見たあと、男はさらに質問を重ねた。

「じゃあ、赤だしは……?」
「言葉のアクセントに少し愛知の言葉が入ってるような気がして……。違いましたか?」
「いや、正解。出身は名古屋なんだ。こっちに来て長いから、すっかり抜けたと思ってたんだが」

 気持ちがささくれ立っていたのに、赤だしを飲んだら落ち着いた、と男ははにかんだような笑顔まで見せる。
 ――お姉ちゃん、すごい……
 馨は今更ながら姉の対応に恐れ入る。
 禁煙を始めたばかりの人は、とにかく不機嫌であらゆるものに文句を言いたくなるらしい。
 その文句をあえて抑え込まず、好きに言わせて、さらにたばこを吸いたくなるアルコールではなく満腹を誘う食事を勧めた。
 食後の一服を欲しがる人もいるけれど、それでもアルコールとたばこという組み合わせよりも耐えやすいのかもしれない。現に、男は食事をしてたくさん噛むことで、たばこを吸えない口寂しさを紛らわせたようだ。

「にしても、そうか……まだにおいがするんだな。実はやめて三日目なんだ」
「三日目……一番辛い時期じゃないんですか? ここを乗り切れるかどうかが分かれ目、って聞いたことがある気がします」

 それじゃあ、文句も言いたくなるし、不機嫌になるのも当然です、と美音に言われて男の表情がさらに柔らかくなった。満腹になって少し気持ちが落ち着いたせいもあるのかもしれない。それに、男にとって懐かしくてたまらないだろう赤だしの味噌汁が、かたくなになっていた気持ちを解きほぐすのに一役買ったに違いない。

「何年ぐらい吸われてたんですか?」
「三十年以上かな……。ここだけの話、成人前から吸ってたから……」
「あら……。それでよくおやめになろうと思われましたね」

 小さく目を見張った美音に、男は恥ずかしそうに答えた。

「実は、同居している息子夫婦に近々子どもが生まれるんだ」
「ああ、それで、奥様がやめてくださいって……?」

 孫が生まれると聞いただけで、美音は全ての経緯を察したらしい。
 男がほっとしたような顔になった。細かい説明をくどくどとしなくてすんで助かった、とでも思っているのだろう。

「そう。たばこの煙は赤ん坊によくない、って鬼説教」
「お孫さん思いのいいお祖父さま、お祖母さまですね」
「孫になんかあっちゃ大変だからな。息子には、『俺たちが子どものときは「たばこは俺の楽しみだ。やめるなんてとんでもない」って言ったくせに!』って文句を言われちまったけど」
「時代も違いますからね……」

 父が生きていればこの男ぐらいの年齢になっているだろう。だから、この男の息子はおそらく姉と同年代、その子どものころといえば、今から二、三十年ぐらい前ではないか。
 そのころは、たばこの害について今ほど研究もされていなかったし、喫煙率だってずっと高かった。すべてを『たばこぐらい……』の一言で済ませてきたに違いない。
 けれど、今はたばこの害についてはっきりわかっているし、世間でもうるさく言われている。かわいい孫のためにやめてください、と妻に詰め寄られたら反論できないだろう。

「身体に悪いのはわかっているし、この機会にやめようと思ったんだけど、どうにも耐えられなくて……。家にいたらいたで、家族に当たり散らしそうだしな」

 通りすがりで目についたこの店に入った。一見客いちげんきゃくの気楽さで、暴言を吐いてしまった。そうやって二度と来なければいいとばかりに……
 大人げないことをして申し訳なかった、と男はまた頭を下げた。
 男の、家族やこれから生まれる孫を思う気持ちに打たれ、馨はそれまで向けていた冷たい視線を即座にしまい込んだ。空になっていた湯飲みにほうじ茶をぎ足しながら、男に話しかける。

「病院には行ってみましたか?」

 禁煙をこころみる人のための禁煙外来というものがあることは、このところ随分知られてきている。
 禁煙できないというのはニコチン依存症にかかっているせいなのだから、それから脱するために医療の力を借りることはおかしなことではない。むしろ、医師の手を借りて、無理なく禁煙を目指すべきだと言われている。

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