88 / 93
第2章:第二学院創設編
第42話:最強賢者は結界を完成させる
しおりを挟む
二人の手に触れた瞬間、大量の魔力が流れ込んでくる。
厳しい修行を積ませたことで、魔力の総量が上がっているのだ。
「……あっ……ああっ!」
「く……うぅ……あっ!」
魔力の共有によって、二人は喘ぎ声を漏らしていた。
「魔力の共有って不思議な感覚なのね……!」
リーナは少し辛そうに顔を歪めながらも、なぜかちょっと嬉しそうだった。……なんでだろう。
二人にとって魔力の共有は初体験だった。先日怪我を負ったエリスに回復魔法を施したが、それに近い。俺の方が魔力量が多いので、二人には多すぎるくらいの魔力が移動している。
「本当にこれだけで魔力を!?」
「こんなの王国騎士団でもできないよね。画期的な技術なんじゃ?」
「もうほんと、なんでもありだね」
傍から見ていた生徒たちも軽く衝撃を受けているようだ。
「みんなボサっとしてないで、手を繋いで!」
レジーナ先生はそう言って、リーナの手を握る。魔力が分散し、さらに俺の魔力量が減る。
次々と生徒たちが手を繋ぎ、一つの円になった。
ここにいる全員の魔力総量が平均化し、総量としては莫大なものになっている。
「よし、これならいけそうだ。さっさと済ませるよ」
それほど手順は多くない。
まず、イメージするのは水だ。
この教室を中心に、流れるように魔力を広げていく。
この魔法学院は生徒と教員が全員寮住まいできるほどの敷地がある。それを全てカバーするのは俺の力では足りなかった。
莫大な魔力で敷地全体を覆ったら、次は結界の構築に入る。
強制解除する魔法は、設置型魔法の全て。発動条件を指定した後、魔力を使った学院施設や魔道具などを強制解除しないように一つ一つ記述していく。
あくまでも、強制解除の対象は設置型トラップだ。
急激な勢いで魔力が減っていく感覚を、皆が共有していた。
「な、なにこれ!?」
「凄い勢いで魔力が……」
「で、でも意外と余裕……?」
例外事項の記述が全て完了し、いよいよ最終工程。
魔法の固定化だ。
これも一種の設置型魔法なのだ、設置したら自動的に効果を発揮してくれなければ困る。設置型魔法は、最後にこの工程が必要なのだ。
そこに残る全ての魔力を注ぎ込む。
ここまでは俺だけの魔力でも足りていた。
最後のこの処理のために、全員を集めたのだ。
「みんな、もう少しの辛抱だ。もう少しで終わる……!」
すぐに固定化をスタートする。
さっきまでは比べ物にならないほどの魔力が、なくなっていく。
この時点で残る魔力は半分を切ってしまった。
急激な魔力不足で、生徒の顔が青白くなっていく。
「うぅ……しんどい」
「頭がクラクラしてきたかも……」
「なんか、寒い……」
体調の変化は危険信号だ。あともう少しなんだが……。
残り四割……三割……どんどん魔力は減っていく。
時間にしてあと三分もあれば完成する。だが、それまで身体が持たないかもしれない。
「耐えられない奴は手を放してくれ! 人によりけりだが、魔力欠乏の症状が出てるはずだ!」
気力を振り絞って叫んだ。だが、一人として手を放す者はいなかった。
エリスの隣にいるティアナが、か細い声で俺の叫びに答えた。
「魔力を共有してるってことは、辛いのはみんな一緒……大丈夫、まだやれます。もう少しなんですよね?」
「あ、ああ……あと二分もあれば終わる」
よし、ラストスパートだ。
一人一人の意識がまだあることを確認し、最後の仕上げをする。
ほぼ魔力ゼロ状態になり、意識が遠のきそうになった。
結界の構築が完了して、魔力の減少が止まると、みんなほっとした顔になり、その場に倒れる者も数名。
「終わったの……?」
隣のリーナが真っ白な顔で力なく尋ねてくる。
俺は意識を集中し、少しだけ魔力を広げて反応を見る。
「よし、成功だ。これで何か仕掛けられてても大丈……」
「だ、大丈夫!?」
さすがに今は少量とはいえ魔力を使うのは辛かった。魔力が枯渇したのなんていつ以来だろう?
「大丈夫。……だけど、今日はまともに動けそうにないな……」
厳しい修行を積ませたことで、魔力の総量が上がっているのだ。
「……あっ……ああっ!」
「く……うぅ……あっ!」
魔力の共有によって、二人は喘ぎ声を漏らしていた。
「魔力の共有って不思議な感覚なのね……!」
リーナは少し辛そうに顔を歪めながらも、なぜかちょっと嬉しそうだった。……なんでだろう。
二人にとって魔力の共有は初体験だった。先日怪我を負ったエリスに回復魔法を施したが、それに近い。俺の方が魔力量が多いので、二人には多すぎるくらいの魔力が移動している。
「本当にこれだけで魔力を!?」
「こんなの王国騎士団でもできないよね。画期的な技術なんじゃ?」
「もうほんと、なんでもありだね」
傍から見ていた生徒たちも軽く衝撃を受けているようだ。
「みんなボサっとしてないで、手を繋いで!」
レジーナ先生はそう言って、リーナの手を握る。魔力が分散し、さらに俺の魔力量が減る。
次々と生徒たちが手を繋ぎ、一つの円になった。
ここにいる全員の魔力総量が平均化し、総量としては莫大なものになっている。
「よし、これならいけそうだ。さっさと済ませるよ」
それほど手順は多くない。
まず、イメージするのは水だ。
この教室を中心に、流れるように魔力を広げていく。
この魔法学院は生徒と教員が全員寮住まいできるほどの敷地がある。それを全てカバーするのは俺の力では足りなかった。
莫大な魔力で敷地全体を覆ったら、次は結界の構築に入る。
強制解除する魔法は、設置型魔法の全て。発動条件を指定した後、魔力を使った学院施設や魔道具などを強制解除しないように一つ一つ記述していく。
あくまでも、強制解除の対象は設置型トラップだ。
急激な勢いで魔力が減っていく感覚を、皆が共有していた。
「な、なにこれ!?」
「凄い勢いで魔力が……」
「で、でも意外と余裕……?」
例外事項の記述が全て完了し、いよいよ最終工程。
魔法の固定化だ。
これも一種の設置型魔法なのだ、設置したら自動的に効果を発揮してくれなければ困る。設置型魔法は、最後にこの工程が必要なのだ。
そこに残る全ての魔力を注ぎ込む。
ここまでは俺だけの魔力でも足りていた。
最後のこの処理のために、全員を集めたのだ。
「みんな、もう少しの辛抱だ。もう少しで終わる……!」
すぐに固定化をスタートする。
さっきまでは比べ物にならないほどの魔力が、なくなっていく。
この時点で残る魔力は半分を切ってしまった。
急激な魔力不足で、生徒の顔が青白くなっていく。
「うぅ……しんどい」
「頭がクラクラしてきたかも……」
「なんか、寒い……」
体調の変化は危険信号だ。あともう少しなんだが……。
残り四割……三割……どんどん魔力は減っていく。
時間にしてあと三分もあれば完成する。だが、それまで身体が持たないかもしれない。
「耐えられない奴は手を放してくれ! 人によりけりだが、魔力欠乏の症状が出てるはずだ!」
気力を振り絞って叫んだ。だが、一人として手を放す者はいなかった。
エリスの隣にいるティアナが、か細い声で俺の叫びに答えた。
「魔力を共有してるってことは、辛いのはみんな一緒……大丈夫、まだやれます。もう少しなんですよね?」
「あ、ああ……あと二分もあれば終わる」
よし、ラストスパートだ。
一人一人の意識がまだあることを確認し、最後の仕上げをする。
ほぼ魔力ゼロ状態になり、意識が遠のきそうになった。
結界の構築が完了して、魔力の減少が止まると、みんなほっとした顔になり、その場に倒れる者も数名。
「終わったの……?」
隣のリーナが真っ白な顔で力なく尋ねてくる。
俺は意識を集中し、少しだけ魔力を広げて反応を見る。
「よし、成功だ。これで何か仕掛けられてても大丈……」
「だ、大丈夫!?」
さすがに今は少量とはいえ魔力を使うのは辛かった。魔力が枯渇したのなんていつ以来だろう?
「大丈夫。……だけど、今日はまともに動けそうにないな……」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる