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第二章
第99話:恐怖支配
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◇
昼食休憩を終えた俺たちは、リード村への歩みを再開した。
雨はすっかり上がっており、雲の隙間からは日差しも入ってきている。
足元はびしょびしょであるにせよ、傘をささなくてよくなったのはありがたい。
「あ、魔物出てくる」
アリアが行った瞬間、俺たちの前にぴょこっとツインウルフが現れた。
前と言っても、十メートルくらい離れているので特に危険はない。
「狼の魔物は群れで行動することが多いのですが……珍しいですね」
そういえば、さっきのツインウルフの群もかなりの数で襲ってきていたな。
この世界に転移した直後に戦った《白銀の狼》はいわゆる一匹狼だったが、確かにそれ以外では単独行動する狼系の魔物とは遭遇したことがない。
「雨も止んでいるし、一匹くらいなら僕でも余裕だね。ここは僕に任せてくれ!」
張り切った様子の片桐は、金弓でツインウルフを狙う。
「ごめん! ちょっと待ってくれ!」
「え?」
俺が止めたことに困惑する片桐。
うん……そりゃそうだよな。
普段ならありがたいのだが、今の俺は試してみたいことがあるのだ。
少し申し訳なさを感じながら、俺は事情を説明する。
「さっき覚えた《テイム》っていうスキルを試してみたいんだ。単独の魔物の方が試しやすいから、ここは俺に任せてほしい」
「なるほど。そういうことなら旭川君に任せるよ」
「助かる」
片桐が弓を下げてすぐに俺はツインウルフの元へ駆け出した。
ソラたち三体の召喚獣も俺の後ろをついてきている。
勝てないと思っているのか、俺から逃れようとするツインウルフ。
なかなか賢いな……。
でも、問題はない。
俺は、追いかけながら左手を突き出し、《テイム》を使ってみることにした。
《テイム》!
だが、ツインウルフには何の変化も起こることなく——
——————————
対象の魔物は、《テイム》を拒否しています。
《テイム》には、同意を得る必要があります。
——————————
このようなメッセージが表示された。
同意⁉︎
なんだそれ……!
スキルを使えば仲間になるような単純なものじゃないってことか……?
意思疎通もできないような魔物からどうやって同意を取ればいいんだ?
俺は、ツインウルフを追いかけながら、近くにいたソラたちに尋ねてみる。
「魔物からテイムの同意をもらいたい時って、どうすればいいんだ?」
「魔物から同意もらうなんて無理だよ~。アイツら人間嫌いだし」
と、ソラ。
「じゃあ、このスキルの意味って……」
と落胆しかけた時。
「無理やり同意を取ればいいんだよ!」
コッコが興味深いアイデアを出してきた。
「無理やり? 同意? どうやって?」
一見して矛盾する二つの言葉だが、コッコ的には繋がっているらしい。
「カズヤ様の力を見せつけて、死ぬか、従うか選ばせればいいんだよ! 恐怖で支配するの!」
「……な、なるほど」
コッコ……お前なかなかエグいことを考えるんだな。
昼食休憩を終えた俺たちは、リード村への歩みを再開した。
雨はすっかり上がっており、雲の隙間からは日差しも入ってきている。
足元はびしょびしょであるにせよ、傘をささなくてよくなったのはありがたい。
「あ、魔物出てくる」
アリアが行った瞬間、俺たちの前にぴょこっとツインウルフが現れた。
前と言っても、十メートルくらい離れているので特に危険はない。
「狼の魔物は群れで行動することが多いのですが……珍しいですね」
そういえば、さっきのツインウルフの群もかなりの数で襲ってきていたな。
この世界に転移した直後に戦った《白銀の狼》はいわゆる一匹狼だったが、確かにそれ以外では単独行動する狼系の魔物とは遭遇したことがない。
「雨も止んでいるし、一匹くらいなら僕でも余裕だね。ここは僕に任せてくれ!」
張り切った様子の片桐は、金弓でツインウルフを狙う。
「ごめん! ちょっと待ってくれ!」
「え?」
俺が止めたことに困惑する片桐。
うん……そりゃそうだよな。
普段ならありがたいのだが、今の俺は試してみたいことがあるのだ。
少し申し訳なさを感じながら、俺は事情を説明する。
「さっき覚えた《テイム》っていうスキルを試してみたいんだ。単独の魔物の方が試しやすいから、ここは俺に任せてほしい」
「なるほど。そういうことなら旭川君に任せるよ」
「助かる」
片桐が弓を下げてすぐに俺はツインウルフの元へ駆け出した。
ソラたち三体の召喚獣も俺の後ろをついてきている。
勝てないと思っているのか、俺から逃れようとするツインウルフ。
なかなか賢いな……。
でも、問題はない。
俺は、追いかけながら左手を突き出し、《テイム》を使ってみることにした。
《テイム》!
だが、ツインウルフには何の変化も起こることなく——
——————————
対象の魔物は、《テイム》を拒否しています。
《テイム》には、同意を得る必要があります。
——————————
このようなメッセージが表示された。
同意⁉︎
なんだそれ……!
スキルを使えば仲間になるような単純なものじゃないってことか……?
意思疎通もできないような魔物からどうやって同意を取ればいいんだ?
俺は、ツインウルフを追いかけながら、近くにいたソラたちに尋ねてみる。
「魔物からテイムの同意をもらいたい時って、どうすればいいんだ?」
「魔物から同意もらうなんて無理だよ~。アイツら人間嫌いだし」
と、ソラ。
「じゃあ、このスキルの意味って……」
と落胆しかけた時。
「無理やり同意を取ればいいんだよ!」
コッコが興味深いアイデアを出してきた。
「無理やり? 同意? どうやって?」
一見して矛盾する二つの言葉だが、コッコ的には繋がっているらしい。
「カズヤ様の力を見せつけて、死ぬか、従うか選ばせればいいんだよ! 恐怖で支配するの!」
「……な、なるほど」
コッコ……お前なかなかエグいことを考えるんだな。
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