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真・らぶ・CAL・てっと 二十七
しおりを挟む放課後。
例によって部室に誘いにくる治。
いつものことであった。
だが、それから先が『いつも』のことではなかった。
「北条」
にこやかに笑って治に対応する佑。
「先輩」
抱き寄せる佑に身体をゆだねていく。
今までの態度が嘘のようで、治もゴロニャンという感じであった。
「先輩……」
それがある連中のカンに障った。
しかし、そんなことは思いもよらない佑。
「北条」
頬を赤らめる治。
「ごめんね。 今まで」
「え、そんなこと」
急にそんなことを言われてどぎまぎする。
「ぼく、先輩が好きです」
「北条、どうしたの急に」
「だって、今言わなくちゃいけないような気がして」
佑から目をそらしてうつむき、そう告げる治。
「北条」
一応周りに人がいたので、佑は行動を起こせない。
さすがに、そこまでは覚悟が進んではいないのだ。
だが、頭を撫でるくらいはしてやった。
「可愛いよ」
治は真っ赤になった。
その時急に、佑の背後に女の子の姿が現れた。
「ふふっ」
治の後ろにもであった。
後ろから羽交い締めにされる。 治にとっては背中に当たる感触がおぞましい。
「あたしたちが優しく」
「可愛がってあげるよ」
無論、治はそんな行為は望んでいない。
佑にされる以外はご免なのだ。 特にこんな相手には尚更だった。
「北条!」
以前と違い、今日、治および佑を襲った連中は頭が良かった。
言い換えると卑劣だった。
前方に気を取られている隙に、背後から鈍器で一発くらわせたのである。
佑は悲鳴をあげずに昏倒し、代りに悲鳴をあげたのは治だった。
「せ、先輩っ!」
男女取り混ぜて全十名のその不良なのだろう相手が、佑と治を最寄りの教室に連れ込む。
「さて坊や」
佑を昏倒させた男がニヤリと笑い、治に告げる。
「可愛がってあげるぜ」
そのとき、突然飛び込んできた黒い影が5人をあっさりと叩きのめした。
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