踏切 電車 向こう側

相坂 舞雉

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【4】私

(44)愛と思き哀れな感情

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その世界で私が見たものは何もない無。
音もなく色もない。

少し寂しい。
この寂しさは何に対してだろうか。

大好きな母に会えないから?
ご飯が食べれないから?
君の描いた絵を見れないから?

当たり前は、奪われて初めて気付く大切さ。
誰に奪われた訳でもなく自分で捨てたって方が正しいけれど。
それでも欲深く今はその当たり前がとてもとても欲しい。

自分の身体とも思えないくらいに
清々しく向こう側へ走り去った気持ちは今は憎く、とても不気味。

全てを放り投げてしまいたかったのだろう。
現実から逃げたかったのだろう。
自分の行いを誰かにバレる前に帳消しにしたかったのだろう。

怖い。

私は私が怖い。

何でこんな自分になっちゃったんだろ。



こんなの



——————私じゃない。
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