踏切 電車 向こう側

相坂 舞雉

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【4】私

(43)二面性の現実

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痛みは感じなかった。


綺麗な花畑の見える踏切を越え、手を伸ばした時勢いよく電車に轢かれた。
家を飛び出した時に感じたあの高揚感はその瞬間が全て奪い去り、残ったのは無。
少し前まで現実に押しつぶされ、何もかもが怖くてどうしようもなかったのに
心の棘は気持ちが良いほどなくなっていた。まるで私が私じゃないかのように。


夢から覚め目の前に広がった無を見た時私は悟った。

ぁあ、死んじゃった。

どうしてこんな事になっちゃったのかな
決められたレールを歩いていたはずなのに、いつの間にか足元にはレールは見当たらず
私にはどうする事も出来なかった。

天国も地獄も無く、その無は淡々と周りを覆い尽くして私は孤独を感じた。
生きていた時の孤独とはまた別の孤独。

何もない。

何も感じない。

何も聞こえない。



私は死んじゃったんだね。
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