踏切 電車 向こう側

相坂 舞雉

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【4】僕

(42)食い違う現実

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『落ち着いたかな?』


無様にも、会いたかったその子の前で泣きじゃくり生き恥を晒した僕はコクリと頷いた。
会いたかった子の前で泣くなんてどんな顔をしていいのかもわからず、出してくれたお茶を飲む。

夢なのか奇跡なのか、現実的にあり得ない状況なのにお茶はすごく美味しいし味がする。

————生きていると実感する



その生と言うのは僕のことでもあるし
何よりも彼女のこと他ならない。
顔を上げ、もう一度現実を見つめてもやっぱり彼女はそこにいる。
これは僕にとっての奇跡でもあり、彼女にとっての。


『さっき車に乗ってた人が私のお母さんだよ。』
沈黙と僕の涙を緩和させるように彼女は話し出す。

『数ヶ月ぶりに会ったんだけど、やっぱりお母さんの料理美味しくて——』

『お葬式でこっちに来たんだけど——』

『会うキッカケはアレだけど良かった』


————お葬式



きっとそれが学校を休んでいた理由なのだろう。


そしてもしかしたら


ソレが理由で。


『明日からはまた学校いけると思うから。』


数週間教室で僕の後ろの席からは冷たい風ばかりが吹き込んできて数日前はその冷たさは永遠になるはずだったのに。


『また、君と一緒に帰れるね。』


あぁ、そうだね。




君がいなくなったその日から、確かに気づいたこの感情。


奇跡だろうと夢だろうと彼女を想う気持ちに気付いた僕の片想いはまだ続く。

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