踏切 電車 向こう側

相坂 舞雉

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【1】僕

(12)終電と始発の狭間

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彼女は僕が描いた絵を手取りじっと眺めていた。

描いた絵を誰かに見られたことはなかった為すごく恥ずかしいと感じていたが、何よりその絵をただ何も言わず眺めている彼女が綺麗で。

彼女は絵を

僕は彼女を

ただ見ていた。


その絵を見て何を感じているのだろうか

下手だと笑われるのだろうか

それとも凄く上手いと褒められる?

そんな事を考えながらも彼女を見つめていると何だか心地よく感じ、それと同時になんだか悲しそうな顔をしている彼女を見て僕も悲しくなりそうだった。



綺麗な顔立ちの彼女の頬には
瞳からこぼれ落ちた真珠のように美しい涙が伝って
僕が描いたその絵の元に落ち着いた。
いくつも、いくつも
その瞳からこぼれ落ちる真珠は
ただ絵を眺めている彼女の感情を表現するだけでなく
ひどく完成した少女の姿を完成させていった。

何を感じているとか
なんで泣いているのか
そんなことよりも
瞳から真珠をこぼすその彼女に僕は惹かれていったのだった。
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