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【1】私
(7)ファミレス
しおりを挟む渋谷には昼頃着いたのだが、
ダラダラと時間を
潰していたら外は暗く冷たい夜となっていた。
夏の夜は好き
こんな大きな街じゃ聞こえないけど
家の近くでは夏の夜になると
虫が鳴き
姿を表すことはないけれど確かに
僕はここにいる———
とその存在を主張している。
私にはそんな大胆なこと出来ないけれど
もしも誰かが純粋に自分の存在を主張しているのであれば真摯に耳を傾けられる人間になりたい。
とくに意識することなく
家に帰る為に使う渋谷の駅へ向かっていた。
久しぶりに行ってみようかな
あの頃は皆んなで行った
今日は1人で行く
あのファミレスへ。
店内は特に変わった様子は無く、
私は、時たま1人でテスト勉強を
していた人の流れが良く見える
あの席へ向かった。
ガラス越しに見える渋谷の街並みは
テレビとは違うのだけれど
画面越しに見るようなそんな感覚を
覚え
1人1人の足の速さや
向かう場所
信号を渡る人
など
そこにいるからこそ感じられるソレが好きだった。
『デミグラスハンバーグを1つで』
気がつくと横に同い年くらいの
見るからにどこからか遠くから来たと
言わんばかりの身なりをした
少年がいた——
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