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そのはちじゅうに
キッチンでの妄想
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晩ご飯や風呂を済ませ、部屋に戻っていたリシェは一人机に向かい書き物をしていた。ひたすら何かを書いているので、ラスは不思議そうに彼の机上を覗き込む。
「宿題ですか、先輩?」
「ああ。休み時間に済ませたかったけど、スティレンがことごとく邪魔をしてくるからな」
十分邪魔してきそうだ、とラスは思った。
「じゃあ俺は先輩の為にあったかい飲み物を作ろうかな。何か飲みたいものありますか?」
親切な申し出に、リシェは顔を上げてラスを見上げた。
「いいのか?じゃあココアがいい」
「分かりましたぁ。待ってて下さいね」
室内には小さなシンク台やコンロもあり、軽く調理も出来る。ただ調理するにはやや狭く、あまり使う事は無かった。
ラスはにこにこしながらその調理場に立つと、手慣れた様子で湯を沸かし始める。
こうしてると、何だか新婚さんみたいだな。
湯を沸かす音を聞きながら、彼はそんな事を考えていた。彼の妄想は途切れる事無く、更に悪化の一途を辿っていく。
…リシェが可愛いエプロン姿で自分に朝ご飯を作る。
自分はスーツ姿で、朝ご飯は何かとキッチンに入り朝ご飯を作る様子を眺めていると、リシェの可愛らしいエプロン姿に少しだけドキッとしてついつい背後から優しく抱き締めてやる。
くすぐったい、とむずかるリシェ。
しかし自分は妙にムラッときて、彼のエプロンの下から手を忍ばせていく…
何て可愛い。
ラスはリシェの可愛く嫌がる様子を頭の中で浮かばせながら、つい「あぁあああ」と身悶えした。
サラサラの黒髪を揺らしながら、その潤んだ大きな真っ赤な目で恥ずかしげに自分だけに向ける視線を浴びて、自分はキッチンでリシェに対して甘く恥ずかしい行為を始めてしまうとか。
「先輩っ!ああっ、たまらない!!んあああっ」
同時に沸騰し過ぎて、ヤカンがピー!!とけたたましく鳴り出す。
「先輩ぃいい!こんな可愛いフリフリのエプロンを着けて俺を刺激するなんて…!なんていやらしいっ!」
妄想を激しく働かせ過ぎて、ラスは外部の騒音をフル無視して悶えまくる。
ヤカンは止めてくれと言わんばかりにピーピーと知らせていた。
一方。
まだヤカンを止めない様子に、リシェは変だなと気付く。
机から目を離し、調理台で妄想して身悶えをする頭のおかしい彼を見るなり、リシェは眉を顰めてしまう。
…なんだあいつは。
何をしているのかと引き気味に見ながら「ラス!うるさい!!」と怒鳴っていた。
「宿題ですか、先輩?」
「ああ。休み時間に済ませたかったけど、スティレンがことごとく邪魔をしてくるからな」
十分邪魔してきそうだ、とラスは思った。
「じゃあ俺は先輩の為にあったかい飲み物を作ろうかな。何か飲みたいものありますか?」
親切な申し出に、リシェは顔を上げてラスを見上げた。
「いいのか?じゃあココアがいい」
「分かりましたぁ。待ってて下さいね」
室内には小さなシンク台やコンロもあり、軽く調理も出来る。ただ調理するにはやや狭く、あまり使う事は無かった。
ラスはにこにこしながらその調理場に立つと、手慣れた様子で湯を沸かし始める。
こうしてると、何だか新婚さんみたいだな。
湯を沸かす音を聞きながら、彼はそんな事を考えていた。彼の妄想は途切れる事無く、更に悪化の一途を辿っていく。
…リシェが可愛いエプロン姿で自分に朝ご飯を作る。
自分はスーツ姿で、朝ご飯は何かとキッチンに入り朝ご飯を作る様子を眺めていると、リシェの可愛らしいエプロン姿に少しだけドキッとしてついつい背後から優しく抱き締めてやる。
くすぐったい、とむずかるリシェ。
しかし自分は妙にムラッときて、彼のエプロンの下から手を忍ばせていく…
何て可愛い。
ラスはリシェの可愛く嫌がる様子を頭の中で浮かばせながら、つい「あぁあああ」と身悶えした。
サラサラの黒髪を揺らしながら、その潤んだ大きな真っ赤な目で恥ずかしげに自分だけに向ける視線を浴びて、自分はキッチンでリシェに対して甘く恥ずかしい行為を始めてしまうとか。
「先輩っ!ああっ、たまらない!!んあああっ」
同時に沸騰し過ぎて、ヤカンがピー!!とけたたましく鳴り出す。
「先輩ぃいい!こんな可愛いフリフリのエプロンを着けて俺を刺激するなんて…!なんていやらしいっ!」
妄想を激しく働かせ過ぎて、ラスは外部の騒音をフル無視して悶えまくる。
ヤカンは止めてくれと言わんばかりにピーピーと知らせていた。
一方。
まだヤカンを止めない様子に、リシェは変だなと気付く。
机から目を離し、調理台で妄想して身悶えをする頭のおかしい彼を見るなり、リシェは眉を顰めてしまう。
…なんだあいつは。
何をしているのかと引き気味に見ながら「ラス!うるさい!!」と怒鳴っていた。
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