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そのななじゅうきゅう
自意識過剰VS自意識過剰
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そんなに牛乳ばっかり飲んだって、伸びる時は伸びるもんさと呆れた口調でスティレンはリシェを小馬鹿にする。それを無視し、リシェは牛乳のパックをずずっと吸い込んだ。
所詮他人事なのだ。彼はまだ自分より身長があるのだから。リシェは「うるさいな」と呟く。
「なかなか伸びないから飲んでるんだ」
「お前、何かしら呪いでもかけられてるんじゃないの?身長が伸びませんようにって」
どこか似通う二人の会話を聞きながら、ラスはついぶふっと顔を逸らしながら吹き出してしまう。
「俺は呪いをかけられているのか」
悲観的に陥るスキルをフルに活用し、リシェはショックを受けてしまった。
ラスはそんな彼の頭を優しく撫でる。
「せ、先輩はそれでいいんですよ!その方が好都合だし!」
「何が好都合なんだ!俺はお前の都合に合わせる気は無いぞ!こっちは真剣に悩んでいるのに!」
ギリギリと苛立つリシェを見ながら、ラスは元の世界の彼も身長が伸びない事を悩んでいたなと思い返していた。
あれだけ頑なに身長をキープしているので、何者かに意図的に止められているのではないかと思ってしまう位に。
不意に司祭バージョンのロシュの姿を思い出し、いやまさかと首を振った。いくら何でも、そこまではしないだろう。人様の成長を妨げるなんて。
…欲望にまみれたこちら側の彼ならやりそうだが。
「焦るといけないですよ。ほら、身長を伸ばす方法とか検索してみたらどうですかね?色々ありそうだし」
「擦り切る位読んだ。試してるがあまり効果を感じない。やはり俺は呪われているのか」
やはり悲しそうな顔をする。
うーん、とラスは考えた。
身長なんて個人差があるから、大して気にしなくても伸びそうなものだけどと思うものだが。
リシェにはとにかく悩みの種のようだ。
「なら鉄棒にぶら下がって体伸ばすとかは?ゴムみたいに伸びるかもよ、ふふ」
スティレンはスティレンで、悩みに全く向き合わず適当な事を言う始末だ。
「人をゴム扱いにするな!!」
「一ミリは伸びるかもしれないだろ!」
そこでまた不毛な言い争いを始める。
そのままでいいと思うんだけどなあ…とラスは思い、泣き喚くリシェを背後から優しく抱き締めた。
「何だお前!手すきになれば抱き締める癖をやめろ!」
泣きながら訴える。
「いやあ、背が高くなれば先輩を抱き締めにくくなるかもしれないなあって。俺はありのままの先輩が好きだから気にしませんって」
「俺はお前の為に身長をキープしてる訳じゃない!」
腕の中で暴れるのは毎度のことなので、ラスは気にせずに抱き続ける。まるで暴れん坊の子供ばりに体を振るリシェに対し、ラスは「粋のいい先輩だなあ」と理解不能な言葉を吐いていた。
うねうねと蠢く二人を眺めるスティレン。
「でもさあ、お前が身長高くなった姿なんて想像付かないんだよね。その顔で身長高いとかバランス悪いと思うよ」
はっきり言えば、まだリシェは幼さも感じさせる美少女顔だ。そのままの顔で身長が伸びれば、やはりおかしい気もする。
しかしリシェは何を言う!と紛糾する。
「身長が伸びれば顔だって大人になる!このままいけば俺だってカッコ良くなるはずだ!」
あ、自分で言っちゃった。
ラスはリシェを抱きながら、彼の自意識過剰な部分を垣間見た気がした。
すると負けず嫌いと自意識過剰を拗らせているスティレンが何だって!?と反応する。
「お前がカッコ良くなるだって!?お前なんかがそうなる訳ないだろ、リシェのくせに!この美しい俺を差し置いてカッコ良くなるとか許す訳無いだろ!!」
「お前がそう吐き捨てられるのは今だけだ、思い上がるな!!」
物凄くどうでもいい話をしだす。
二人が不毛な争いを繰り返す中、次第に付き合いきれなくなってきたラスは「もう何でもいいよ…」と呆れていた。
所詮他人事なのだ。彼はまだ自分より身長があるのだから。リシェは「うるさいな」と呟く。
「なかなか伸びないから飲んでるんだ」
「お前、何かしら呪いでもかけられてるんじゃないの?身長が伸びませんようにって」
どこか似通う二人の会話を聞きながら、ラスはついぶふっと顔を逸らしながら吹き出してしまう。
「俺は呪いをかけられているのか」
悲観的に陥るスキルをフルに活用し、リシェはショックを受けてしまった。
ラスはそんな彼の頭を優しく撫でる。
「せ、先輩はそれでいいんですよ!その方が好都合だし!」
「何が好都合なんだ!俺はお前の都合に合わせる気は無いぞ!こっちは真剣に悩んでいるのに!」
ギリギリと苛立つリシェを見ながら、ラスは元の世界の彼も身長が伸びない事を悩んでいたなと思い返していた。
あれだけ頑なに身長をキープしているので、何者かに意図的に止められているのではないかと思ってしまう位に。
不意に司祭バージョンのロシュの姿を思い出し、いやまさかと首を振った。いくら何でも、そこまではしないだろう。人様の成長を妨げるなんて。
…欲望にまみれたこちら側の彼ならやりそうだが。
「焦るといけないですよ。ほら、身長を伸ばす方法とか検索してみたらどうですかね?色々ありそうだし」
「擦り切る位読んだ。試してるがあまり効果を感じない。やはり俺は呪われているのか」
やはり悲しそうな顔をする。
うーん、とラスは考えた。
身長なんて個人差があるから、大して気にしなくても伸びそうなものだけどと思うものだが。
リシェにはとにかく悩みの種のようだ。
「なら鉄棒にぶら下がって体伸ばすとかは?ゴムみたいに伸びるかもよ、ふふ」
スティレンはスティレンで、悩みに全く向き合わず適当な事を言う始末だ。
「人をゴム扱いにするな!!」
「一ミリは伸びるかもしれないだろ!」
そこでまた不毛な言い争いを始める。
そのままでいいと思うんだけどなあ…とラスは思い、泣き喚くリシェを背後から優しく抱き締めた。
「何だお前!手すきになれば抱き締める癖をやめろ!」
泣きながら訴える。
「いやあ、背が高くなれば先輩を抱き締めにくくなるかもしれないなあって。俺はありのままの先輩が好きだから気にしませんって」
「俺はお前の為に身長をキープしてる訳じゃない!」
腕の中で暴れるのは毎度のことなので、ラスは気にせずに抱き続ける。まるで暴れん坊の子供ばりに体を振るリシェに対し、ラスは「粋のいい先輩だなあ」と理解不能な言葉を吐いていた。
うねうねと蠢く二人を眺めるスティレン。
「でもさあ、お前が身長高くなった姿なんて想像付かないんだよね。その顔で身長高いとかバランス悪いと思うよ」
はっきり言えば、まだリシェは幼さも感じさせる美少女顔だ。そのままの顔で身長が伸びれば、やはりおかしい気もする。
しかしリシェは何を言う!と紛糾する。
「身長が伸びれば顔だって大人になる!このままいけば俺だってカッコ良くなるはずだ!」
あ、自分で言っちゃった。
ラスはリシェを抱きながら、彼の自意識過剰な部分を垣間見た気がした。
すると負けず嫌いと自意識過剰を拗らせているスティレンが何だって!?と反応する。
「お前がカッコ良くなるだって!?お前なんかがそうなる訳ないだろ、リシェのくせに!この美しい俺を差し置いてカッコ良くなるとか許す訳無いだろ!!」
「お前がそう吐き捨てられるのは今だけだ、思い上がるな!!」
物凄くどうでもいい話をしだす。
二人が不毛な争いを繰り返す中、次第に付き合いきれなくなってきたラスは「もう何でもいいよ…」と呆れていた。
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