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そのごじゅうはち
ラス、お試しでゲームをしてみる
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リシェからゲーム機を借り、ラスも試しに少しだけやるようになってから数日経過。細々とやっていくにつれて、操作の仕方も分かって来たようで着々とレベルも上がっていた。
そんなある日、彼がゲームをしていると部屋の扉がノックされ、返事を待つ事無くスティレンが入って来た。
神経質なリシェならば返事も無く入ってくるなと怒り出す所だったが、幸いラスしか居ない。
慣れたようにズカズカと中に入り込み、彼は「リシェは?」とラスに聞いた。
「パンの美味しい店でコッペパン買いに行くって言って出て行ったよ」
「コッペパン?」
「そう。ちょっと前に出て行ったからしばらく戻って来ないと思うけど」
「あんたは一緒に行かなかったんだ?」
「うん。これ借りてやってるから」
ぴこぴことゲーム機を動かすラス。
スティレンは眉を寄せ、何それと問う。
「先輩が買ってきたゲームなんだけど、あの人キャラだけ作ってすぐに飽きちゃったから。やりだしたと同時に変なのに絡まれちゃったし」
へえ、とゲーム自体に興味の無いスティレンは背後からその画面を覗き込んでいた。
ラスが操作する度に画面のキャラがするすると動いていく。何が面白いのかさっぱり分からないなと黙って眺めていると、途中で「ん?」とある事に気づいた。
「ねえ」
「んー」
「そのキャラの名前、何なの?」
「名前?」
画面の左側に書かれているキャラの名前部分に引っかかったのか、スティレンが指摘した。
「ああ、名前借りたよ」
そこで初めてラスが背後のスティレンに振り返り、物凄い笑顔で答える。同時にはああああ!?と不愉快極まりない声を上げていた。
ラスが操作しているキャラの外見がひどく気に入らないらしい。
「名前と外見が合ってない!おかしいだろ、この俺の美しさに見合ってないじゃない!」
「ええ…駄目?」
「駄目に決まってるだろ!あんた、俺のどこを見てるのさ!大体そのキャラ、完全に筋肉ダルマだし顔だって完全にゴリラじゃん!直してよ!」
頑張って作ったのになあ、とラスは困惑する。
スティレンは俺の名前を当てるなと言わんばかりに直してよと訴えてきた。
「それか外見をどうにかして!俺に似合うように美しくして!そんなのが俺なんて許せない!」
別に名前を借りただけで、これはお前だとも言ってはいないのだが彼はとにかく自分の名前を冠しているのが気に入らないようだ。
やり直すのも面倒だし、この為に課金するのも面倒だ。それに長くはやるつもりは無い。
「お試しでやってるようなものだからすぐにやらなくなるよ」
「俺が嫌なんだってば!!それかキャラデリしろ!」
キーキーとやかましいスティレンは早く直してよと怒鳴る。次第に面倒になってきたラスは、やめようかなあと思い始める。
強そうでいいと思うんだけどなと画面のいかついキャラを眺め、ゴリラ顔なのがいけないのかなと見当違いの事を考えていた。
そんなある日、彼がゲームをしていると部屋の扉がノックされ、返事を待つ事無くスティレンが入って来た。
神経質なリシェならば返事も無く入ってくるなと怒り出す所だったが、幸いラスしか居ない。
慣れたようにズカズカと中に入り込み、彼は「リシェは?」とラスに聞いた。
「パンの美味しい店でコッペパン買いに行くって言って出て行ったよ」
「コッペパン?」
「そう。ちょっと前に出て行ったからしばらく戻って来ないと思うけど」
「あんたは一緒に行かなかったんだ?」
「うん。これ借りてやってるから」
ぴこぴことゲーム機を動かすラス。
スティレンは眉を寄せ、何それと問う。
「先輩が買ってきたゲームなんだけど、あの人キャラだけ作ってすぐに飽きちゃったから。やりだしたと同時に変なのに絡まれちゃったし」
へえ、とゲーム自体に興味の無いスティレンは背後からその画面を覗き込んでいた。
ラスが操作する度に画面のキャラがするすると動いていく。何が面白いのかさっぱり分からないなと黙って眺めていると、途中で「ん?」とある事に気づいた。
「ねえ」
「んー」
「そのキャラの名前、何なの?」
「名前?」
画面の左側に書かれているキャラの名前部分に引っかかったのか、スティレンが指摘した。
「ああ、名前借りたよ」
そこで初めてラスが背後のスティレンに振り返り、物凄い笑顔で答える。同時にはああああ!?と不愉快極まりない声を上げていた。
ラスが操作しているキャラの外見がひどく気に入らないらしい。
「名前と外見が合ってない!おかしいだろ、この俺の美しさに見合ってないじゃない!」
「ええ…駄目?」
「駄目に決まってるだろ!あんた、俺のどこを見てるのさ!大体そのキャラ、完全に筋肉ダルマだし顔だって完全にゴリラじゃん!直してよ!」
頑張って作ったのになあ、とラスは困惑する。
スティレンは俺の名前を当てるなと言わんばかりに直してよと訴えてきた。
「それか外見をどうにかして!俺に似合うように美しくして!そんなのが俺なんて許せない!」
別に名前を借りただけで、これはお前だとも言ってはいないのだが彼はとにかく自分の名前を冠しているのが気に入らないようだ。
やり直すのも面倒だし、この為に課金するのも面倒だ。それに長くはやるつもりは無い。
「お試しでやってるようなものだからすぐにやらなくなるよ」
「俺が嫌なんだってば!!それかキャラデリしろ!」
キーキーとやかましいスティレンは早く直してよと怒鳴る。次第に面倒になってきたラスは、やめようかなあと思い始める。
強そうでいいと思うんだけどなと画面のいかついキャラを眺め、ゴリラ顔なのがいけないのかなと見当違いの事を考えていた。
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