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そのごじゅう
言い掛かり
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何とも言えない表情をしながら、スティレンは寮部屋の敷地内から離れた職員用の宿舎の前に居た。
あの清掃員の職員が言っていた事が妙に心に引っかかってしまい、つい訪ねてしまったのだ。別に彼に興味があった訳では無いのだ。
なかなか骨がありそうだ、という意味深な発言が気になっただけ。でなければこの自分がわざわざここに出向いたりなんかしない。
むしろ向こうが来いと思っている位なのだ。
「はあ…何なんだろ。この俺がわざわざ出向くなんて」
溜息を吐く。
教えられた宿舎の部屋番号の記憶を頼りにしながら、スティレンは先を進み始めた。空は既に夕方を過ぎて暗くなりつつある。
街灯の明かりを頼りに歩くと、新築の宿舎の前に辿り着いた。
「…へえ、ここね。職員の宿舎の割には随分といい建物じゃない」
生意気な事を言いながらも更に奥へと進んだ。すると建物の上から「やあ」と声をかけられる。
スティレンは顔を上げ、その方向を見た。
先程の職員の青年…ソレイユがこちらを見下ろし、微かに微笑んでいる。
「良く来てくれたね。…まさか来てくれるとは思わなかったよ」
「あんたが来いって言ったんじゃない」
「そうだったかなあ?…まあいいよ。丁度いい物を借りてきたんだ。一緒に楽しもう」
彼はそう言って自分の手にあったらしい黒いビニール袋をスティレンに見せてきた。だが、その袋には何が入っているのか全く分からない。
怪訝そうな顔をしながら、スティレンは「何それ?」と首を傾げる。
大人らしい笑みを浮かべるソレイユは、生意気な彼の質問に答える訳でも無く優しげな微笑みを浮かべていた。
数時間後。
ラスが一方的にリシェにいちゃいちゃとくっついている最中、突如部屋の扉がバシーン!!と激しく開かれる。
二人は驚いて開かれた扉に注目した。
見れば、スティレンが顔を真っ赤にして半泣きになりながらふるふる震えている。
「な、何?スティレン…」
スティレンはいちゃつく二人を睨みながら、はあはあと呼吸を整え「お前らのせいで!!」といきなり怒り始める。
リシェは目を丸くしながら、絡みついてくるラスの腕を剥がしつつ何だよと問う。
「お前らがいつまで経っても部屋に戻らないから、俺はあの清掃員にホラーな映画やらスプラッタ物を見せられる羽目になったんだ!!」
言いがかりのように言われ、二人は一瞬顔を見合わせていた。そしてリシェが眉を寄せる。
「はあ?」
スティレンは半泣きのまま、「骨がありそうだって言われて行ったのに騙された!!お前らが帰らないから俺は肉とか飛び出る変な映画を見せられたんだ!もう嫌だって言ってんのにあいつ、無理に俺を押さえて見せてきやがって!映画見てる時は強引にスモークサラミ!!しかも晩ご飯は挽肉料理とかふざけてんの!?あれもこれも、お前らがさっさと帰って来ないからだよ!!」と二人にすれば意味の分からない事を吐き散らかされてしまう。
元は部屋に二人が居れば自分は廊下で待つ必要が無いし、あの清掃員に会わずに済んだ。そして無理に変な映画観賞会をする必要が無かったのだ。こいつらが大人しく部屋に居ないのが悪い、というスティレンの身勝手な解釈。
一方で、ラスは何を言っているのか分からないという風に目を点にした。
「何の話?」
「お前らがいちゃつくせいで、俺が迷惑被った話だよ!!ああ、ムカつく!!」
とりあえずムカつく事は理解した。
全く話が読めず、結局意味が分からないまま怒られた二人は思わず「そりゃ悪かったよ」と心にも無い事を言って彼の一方的な怒りをやり過ごしていた。
あの清掃員の職員が言っていた事が妙に心に引っかかってしまい、つい訪ねてしまったのだ。別に彼に興味があった訳では無いのだ。
なかなか骨がありそうだ、という意味深な発言が気になっただけ。でなければこの自分がわざわざここに出向いたりなんかしない。
むしろ向こうが来いと思っている位なのだ。
「はあ…何なんだろ。この俺がわざわざ出向くなんて」
溜息を吐く。
教えられた宿舎の部屋番号の記憶を頼りにしながら、スティレンは先を進み始めた。空は既に夕方を過ぎて暗くなりつつある。
街灯の明かりを頼りに歩くと、新築の宿舎の前に辿り着いた。
「…へえ、ここね。職員の宿舎の割には随分といい建物じゃない」
生意気な事を言いながらも更に奥へと進んだ。すると建物の上から「やあ」と声をかけられる。
スティレンは顔を上げ、その方向を見た。
先程の職員の青年…ソレイユがこちらを見下ろし、微かに微笑んでいる。
「良く来てくれたね。…まさか来てくれるとは思わなかったよ」
「あんたが来いって言ったんじゃない」
「そうだったかなあ?…まあいいよ。丁度いい物を借りてきたんだ。一緒に楽しもう」
彼はそう言って自分の手にあったらしい黒いビニール袋をスティレンに見せてきた。だが、その袋には何が入っているのか全く分からない。
怪訝そうな顔をしながら、スティレンは「何それ?」と首を傾げる。
大人らしい笑みを浮かべるソレイユは、生意気な彼の質問に答える訳でも無く優しげな微笑みを浮かべていた。
数時間後。
ラスが一方的にリシェにいちゃいちゃとくっついている最中、突如部屋の扉がバシーン!!と激しく開かれる。
二人は驚いて開かれた扉に注目した。
見れば、スティレンが顔を真っ赤にして半泣きになりながらふるふる震えている。
「な、何?スティレン…」
スティレンはいちゃつく二人を睨みながら、はあはあと呼吸を整え「お前らのせいで!!」といきなり怒り始める。
リシェは目を丸くしながら、絡みついてくるラスの腕を剥がしつつ何だよと問う。
「お前らがいつまで経っても部屋に戻らないから、俺はあの清掃員にホラーな映画やらスプラッタ物を見せられる羽目になったんだ!!」
言いがかりのように言われ、二人は一瞬顔を見合わせていた。そしてリシェが眉を寄せる。
「はあ?」
スティレンは半泣きのまま、「骨がありそうだって言われて行ったのに騙された!!お前らが帰らないから俺は肉とか飛び出る変な映画を見せられたんだ!もう嫌だって言ってんのにあいつ、無理に俺を押さえて見せてきやがって!映画見てる時は強引にスモークサラミ!!しかも晩ご飯は挽肉料理とかふざけてんの!?あれもこれも、お前らがさっさと帰って来ないからだよ!!」と二人にすれば意味の分からない事を吐き散らかされてしまう。
元は部屋に二人が居れば自分は廊下で待つ必要が無いし、あの清掃員に会わずに済んだ。そして無理に変な映画観賞会をする必要が無かったのだ。こいつらが大人しく部屋に居ないのが悪い、というスティレンの身勝手な解釈。
一方で、ラスは何を言っているのか分からないという風に目を点にした。
「何の話?」
「お前らがいちゃつくせいで、俺が迷惑被った話だよ!!ああ、ムカつく!!」
とりあえずムカつく事は理解した。
全く話が読めず、結局意味が分からないまま怒られた二人は思わず「そりゃ悪かったよ」と心にも無い事を言って彼の一方的な怒りをやり過ごしていた。
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