36 / 101
そのさんじゅうご
泣き落とし
しおりを挟む
これから、とは。
スティレンは怒りのあまり顔を真っ赤にしてリムジンに近付いた。
「あんたもあんただよ!人の目が付きやすい所で、誤解を招くような事を口走らないでくれる!?」
目的の相手がやってくるなり、サキトは満面の笑みでスティレンを迎え入れる。
「スティレーン!待ってたよぉ。うふふ、僕は君が居ない間、君のその綺麗な顔が屈辱で歪む想像ばかりしてたの。羞恥心と屈辱感でいっぱいのさぁ」
彼は白い肌をピンク色に染め、うっとりした顔でスティレンに言った。逆にスティレンは非常にドン引きし、真っ青な顔を隠そうともしない。
…このドS野郎が!!
そう罵ってやりたいが、相手の立場が強過ぎて反抗しにくい。
「ね、ね、スティレン。次は君をねっ、ぎちぎちに縛り上げてくすぐってあげたいの。君の為に真っ赤で丈夫なのを用意したげるからさぁ、おねがぁい」
「いっ、嫌です!!大体何で俺があんたに付き合わなきゃいけないんですか!」
「言ったでしょ?君は今まで僕が相手した中でも一番耐久力があるの。あの時だって沢山我慢してくれたじゃない。最終的には君が折れたけど。僕はねぇ、君が必死に我慢してる顔を見ると凄く体が熱くなって興奮しちゃうんだぁ…その高慢な顔がねっ、はあっ…僕の手で蕩けるようなねっ、顔になると…はあっ、もうっ、堪らなっ」
はあはあと何故か呼吸を荒げながらサキトは恍惚感に溢れた表情を見せる。物凄く愛くるしい顔なのに、それを台無しにするくらいの変態的に見えてしまい、勿体無い。
リシェは困った顔をしてスティレンを見上げる。
「俺を使って変な妄想をしないで下さい!」
「…お前、何か変な関係でも持ったのか?」
彼がこんなになるまで変になるとは思えず、リシェはついスティレンに問う。彼は「そんな訳ないだろ!」と激怒した。
「したよぉ?もう、スティレンってば。前回はね、僕がスティレンに跨がってお馬さんごっことかしたのさ。その時のスティレンったら激しかったなあ…揺さぶられて興奮したのか少しずつ固くなっ」
「……ちょっと!!変な事言わないでよ!!」
動揺するスティレンはサキトに掴みかからんばかりに言葉を遮った。
「じゃあ戻ってきてくれるぅ?」
首を少し傾け、サキトはスティレンに問う。
「じゃないと毎回ここに来て君としてきた事を喚くから」
「してないし!!勝手な妄想で、変な事を言うのやめてくれない!?」
拒否され、サキトは可愛らしい顔をううっと歪める。
ぽろぽろと涙を零し「酷いよ」と泣き出した。
「僕はスティレンが好きなだけなのにぃ。そんなに嫌がる事なんてないじゃない。君が居ないから寂しいだけなんだよう」
あーあ、泣かせたぁ…とリシェは非難の目をスティレンに向けた。ググッと詰まるスティレン。
「そんなつもりは無いし!ああ、もう!ムカつくなあ!何なの、俺は戻る気は無いって言ってんのに!」
「君は勝手にこっちに行っちゃうからっ、ぐすっ…僕はやっと好きな子見つけたって、思ってたのにぃっ…ひっく、ひっく」
リシェはついスティレンに向けて軽蔑の眼差しを送っていた。スティレンはそれに反応し、つい彼をぽこんと殴る。
あ痛っ!と喚いた後、まるで子供のように「うわー!!」と泣き出すリシェ。
「痛いー!!」
「酷いー!!」
泣き喚く二人を交互に見た後でスティレンは苛立ち叫んだ。
「鬱陶しいな!!あんたらみんな馬鹿じゃないの!?」
頭をばりばりとかきむしり、スティレンは仕方無いなあ!と吐き捨てるとサキトのリムジンの後部座席の扉を開けた。
するとサキトは泣き止む。
「へ?」
彼は仏頂面で乗り込むと、「一時間だけなら付き合ったげる」とサキトに告げた。
「言っとくけど、俺はあんたの変な趣味に付き合う気は一切無いからね!軽くお茶をする程度なら付き合ってあげてもいい。その代わり、変な真似したら速攻で帰るから!」
妥協案を受け、ぐすりとサキトは手の甲で涙を拭き取るとがらりと表情を変えてスティレンにぽふりと抱きつく。
現金な奴だ。
「スティレンっ★嬉しいっ♪」
懐く彼を面倒そうに見ながら、スティレンは舌打ちした。サキトはスティレンに抱きついたまま、運転手に「車出して!」と命じる。
主人の合図と共に、白いリムジンは校舎前からさっさと走り出していた。先程の喧騒から、再び通常の光景に戻される。
「うわー!!痛いー!!」
残されたリシェはそのまま、痛みに泣いていた。
スティレンは怒りのあまり顔を真っ赤にしてリムジンに近付いた。
「あんたもあんただよ!人の目が付きやすい所で、誤解を招くような事を口走らないでくれる!?」
目的の相手がやってくるなり、サキトは満面の笑みでスティレンを迎え入れる。
「スティレーン!待ってたよぉ。うふふ、僕は君が居ない間、君のその綺麗な顔が屈辱で歪む想像ばかりしてたの。羞恥心と屈辱感でいっぱいのさぁ」
彼は白い肌をピンク色に染め、うっとりした顔でスティレンに言った。逆にスティレンは非常にドン引きし、真っ青な顔を隠そうともしない。
…このドS野郎が!!
そう罵ってやりたいが、相手の立場が強過ぎて反抗しにくい。
「ね、ね、スティレン。次は君をねっ、ぎちぎちに縛り上げてくすぐってあげたいの。君の為に真っ赤で丈夫なのを用意したげるからさぁ、おねがぁい」
「いっ、嫌です!!大体何で俺があんたに付き合わなきゃいけないんですか!」
「言ったでしょ?君は今まで僕が相手した中でも一番耐久力があるの。あの時だって沢山我慢してくれたじゃない。最終的には君が折れたけど。僕はねぇ、君が必死に我慢してる顔を見ると凄く体が熱くなって興奮しちゃうんだぁ…その高慢な顔がねっ、はあっ…僕の手で蕩けるようなねっ、顔になると…はあっ、もうっ、堪らなっ」
はあはあと何故か呼吸を荒げながらサキトは恍惚感に溢れた表情を見せる。物凄く愛くるしい顔なのに、それを台無しにするくらいの変態的に見えてしまい、勿体無い。
リシェは困った顔をしてスティレンを見上げる。
「俺を使って変な妄想をしないで下さい!」
「…お前、何か変な関係でも持ったのか?」
彼がこんなになるまで変になるとは思えず、リシェはついスティレンに問う。彼は「そんな訳ないだろ!」と激怒した。
「したよぉ?もう、スティレンってば。前回はね、僕がスティレンに跨がってお馬さんごっことかしたのさ。その時のスティレンったら激しかったなあ…揺さぶられて興奮したのか少しずつ固くなっ」
「……ちょっと!!変な事言わないでよ!!」
動揺するスティレンはサキトに掴みかからんばかりに言葉を遮った。
「じゃあ戻ってきてくれるぅ?」
首を少し傾け、サキトはスティレンに問う。
「じゃないと毎回ここに来て君としてきた事を喚くから」
「してないし!!勝手な妄想で、変な事を言うのやめてくれない!?」
拒否され、サキトは可愛らしい顔をううっと歪める。
ぽろぽろと涙を零し「酷いよ」と泣き出した。
「僕はスティレンが好きなだけなのにぃ。そんなに嫌がる事なんてないじゃない。君が居ないから寂しいだけなんだよう」
あーあ、泣かせたぁ…とリシェは非難の目をスティレンに向けた。ググッと詰まるスティレン。
「そんなつもりは無いし!ああ、もう!ムカつくなあ!何なの、俺は戻る気は無いって言ってんのに!」
「君は勝手にこっちに行っちゃうからっ、ぐすっ…僕はやっと好きな子見つけたって、思ってたのにぃっ…ひっく、ひっく」
リシェはついスティレンに向けて軽蔑の眼差しを送っていた。スティレンはそれに反応し、つい彼をぽこんと殴る。
あ痛っ!と喚いた後、まるで子供のように「うわー!!」と泣き出すリシェ。
「痛いー!!」
「酷いー!!」
泣き喚く二人を交互に見た後でスティレンは苛立ち叫んだ。
「鬱陶しいな!!あんたらみんな馬鹿じゃないの!?」
頭をばりばりとかきむしり、スティレンは仕方無いなあ!と吐き捨てるとサキトのリムジンの後部座席の扉を開けた。
するとサキトは泣き止む。
「へ?」
彼は仏頂面で乗り込むと、「一時間だけなら付き合ったげる」とサキトに告げた。
「言っとくけど、俺はあんたの変な趣味に付き合う気は一切無いからね!軽くお茶をする程度なら付き合ってあげてもいい。その代わり、変な真似したら速攻で帰るから!」
妥協案を受け、ぐすりとサキトは手の甲で涙を拭き取るとがらりと表情を変えてスティレンにぽふりと抱きつく。
現金な奴だ。
「スティレンっ★嬉しいっ♪」
懐く彼を面倒そうに見ながら、スティレンは舌打ちした。サキトはスティレンに抱きついたまま、運転手に「車出して!」と命じる。
主人の合図と共に、白いリムジンは校舎前からさっさと走り出していた。先程の喧騒から、再び通常の光景に戻される。
「うわー!!痛いー!!」
残されたリシェはそのまま、痛みに泣いていた。
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる