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そのさんじゅうさん
アロエ
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手からアロエが出てくる夢ばかり見るんですよと神妙な顔で現国の教師であるカティルは保健室でロシュに相談を持ちかけていた。
「別に好きでもないのに、手から生えてくるんですよ。前世でアロエに対して何か悪い事をしたんでしょうか」
神妙な顔で彼は言うが、ロシュはその辺の事はあまり専門ではない。
うーんと困った顔で天を仰ぐ。
アロエ、ねえ。
元の世界の記憶が残るロシュには、何かそちら側と関係があるのではなかろうかと思った。
「夢ですかあ…うーん、カウンセリングにはあまり明るく無いんですけど、夢占い的なもので調べたらどうでしょうかねえ…まあ、検索してみましょうか。こう、気持ちが少しでも晴れれば」
自分の机上のパソコンで検索をしてみる。
「ううん、疲れが溜まっているんじゃないですかね?手から植物が生えてくるってジャンルを探ってるんですが」
「はあ」
「アロエで検索すると健康状態の低下とあります」
やっぱり疲れてるのかなあ、とカティルは呟く。
私に精力剤を買うよりはご自分で栄養剤を買った方がいいのでは、と思いつつ、「何かしら疲れを癒した方がいいですね」と紳士の笑みを浮かべた。
カティルは事務用の椅子を軋ませながらそうかあ、と頭を掻いた。
「癒しねぇ…身近で出来るような癒しがあればいいんだけど、彼から全力で拒否されちゃうからなあ」
「彼?」
「んふふ、オーギュスティン先生ですよ。彼を見るとついついからかいたくなってねぇ。こう、何というかムラムラするんですよ。こういう時ありません?あらぬ悪戯をしたくなってしまう雰囲気をね、彼は持ってるんですよ」
表現が限りなくおかしいが、気持ちは分かる。
自分もリシェを見るとそわそわしてムラムラしてくるだけに、カティルの言いたい事はよく理解出来た。
「きっと彼とは前世でさぞかしねちっこいレベルの淫らな関係だったと思うんだよ、ロシュ先生。でないと見るだけでぐくっとくる訳が無いんです」
いや、それは無い。
ロシュはにこにこしながら聞いていた。
しかし彼の言う見るだけでからかいたくなるというのは十分分かる。リシェを見るとソワソワし、悪戯したくなるのだ。
「からかいたくなる気持ちも分かりますよ。オーギュスティンは昔から弄りがいがありますから。まあ彼で発散させようものなら全力で仕返しが来ますし、他で癒しを求めるしか無いですねえ…」
「はあ、やっぱりかあ…大人しくアロエヨーグルトを食べる事にしようかなあ…」
「それが一番いいかと」
「ううん、モヤモヤ感が取れないなあ。手からアロエを出してオーギュスティン先生に悪戯をしないと気が晴れない気がしますよ」
「キワモノ好きですね、あなたは」
随分マニアックな妄想を、とロシュは軽く笑った。
しかし同時にロシュもあらぬ妄想を脳内に巡らせてしまう。ピンク色の大量の触手がリシェの細い体に絡みついて悶える妄想を。
嫌がりながらも気持ち良さそうに体をくねらせるリシェ。助けを求め、こちらを涙目で見つめる彼の姿を思い浮かべるや否や、つうと鼻から何かが落ちた。
「ろ、ロシュ先生っ!!」
「え?」
「鼻!!鼻血!!」
「あっ!?」
どうやらうっかりいやらしい事を考えていたらしい。
カティルは慌ててティッシュを取り、応急処置を急いで施しにかかった。
「す、すみません…のぼせちゃったみたいで…」
リシェに触手プレイは妄想だけでもこちらが莫大なダメージを食らう。いやらしさがハンパない。
鼻を押さえ、ロシュはこの妄想はマニアック過ぎて危険だと思った。
「別に好きでもないのに、手から生えてくるんですよ。前世でアロエに対して何か悪い事をしたんでしょうか」
神妙な顔で彼は言うが、ロシュはその辺の事はあまり専門ではない。
うーんと困った顔で天を仰ぐ。
アロエ、ねえ。
元の世界の記憶が残るロシュには、何かそちら側と関係があるのではなかろうかと思った。
「夢ですかあ…うーん、カウンセリングにはあまり明るく無いんですけど、夢占い的なもので調べたらどうでしょうかねえ…まあ、検索してみましょうか。こう、気持ちが少しでも晴れれば」
自分の机上のパソコンで検索をしてみる。
「ううん、疲れが溜まっているんじゃないですかね?手から植物が生えてくるってジャンルを探ってるんですが」
「はあ」
「アロエで検索すると健康状態の低下とあります」
やっぱり疲れてるのかなあ、とカティルは呟く。
私に精力剤を買うよりはご自分で栄養剤を買った方がいいのでは、と思いつつ、「何かしら疲れを癒した方がいいですね」と紳士の笑みを浮かべた。
カティルは事務用の椅子を軋ませながらそうかあ、と頭を掻いた。
「癒しねぇ…身近で出来るような癒しがあればいいんだけど、彼から全力で拒否されちゃうからなあ」
「彼?」
「んふふ、オーギュスティン先生ですよ。彼を見るとついついからかいたくなってねぇ。こう、何というかムラムラするんですよ。こういう時ありません?あらぬ悪戯をしたくなってしまう雰囲気をね、彼は持ってるんですよ」
表現が限りなくおかしいが、気持ちは分かる。
自分もリシェを見るとそわそわしてムラムラしてくるだけに、カティルの言いたい事はよく理解出来た。
「きっと彼とは前世でさぞかしねちっこいレベルの淫らな関係だったと思うんだよ、ロシュ先生。でないと見るだけでぐくっとくる訳が無いんです」
いや、それは無い。
ロシュはにこにこしながら聞いていた。
しかし彼の言う見るだけでからかいたくなるというのは十分分かる。リシェを見るとソワソワし、悪戯したくなるのだ。
「からかいたくなる気持ちも分かりますよ。オーギュスティンは昔から弄りがいがありますから。まあ彼で発散させようものなら全力で仕返しが来ますし、他で癒しを求めるしか無いですねえ…」
「はあ、やっぱりかあ…大人しくアロエヨーグルトを食べる事にしようかなあ…」
「それが一番いいかと」
「ううん、モヤモヤ感が取れないなあ。手からアロエを出してオーギュスティン先生に悪戯をしないと気が晴れない気がしますよ」
「キワモノ好きですね、あなたは」
随分マニアックな妄想を、とロシュは軽く笑った。
しかし同時にロシュもあらぬ妄想を脳内に巡らせてしまう。ピンク色の大量の触手がリシェの細い体に絡みついて悶える妄想を。
嫌がりながらも気持ち良さそうに体をくねらせるリシェ。助けを求め、こちらを涙目で見つめる彼の姿を思い浮かべるや否や、つうと鼻から何かが落ちた。
「ろ、ロシュ先生っ!!」
「え?」
「鼻!!鼻血!!」
「あっ!?」
どうやらうっかりいやらしい事を考えていたらしい。
カティルは慌ててティッシュを取り、応急処置を急いで施しにかかった。
「す、すみません…のぼせちゃったみたいで…」
リシェに触手プレイは妄想だけでもこちらが莫大なダメージを食らう。いやらしさがハンパない。
鼻を押さえ、ロシュはこの妄想はマニアック過ぎて危険だと思った。
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