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そのじゅうはち
誤解
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「そのナマコ野郎っていうのやめてくれない!?個人的にすっごく不愉快なんだけど!」
彼は本気で嫌がっている様子でリシェに怒鳴るが、ふんと吐き捨てるようにナマコ野郎はナマコ野郎だと返した。
「名前もろくに知らないのに人様の靴箱にナマコを入れてくるような奴だ。お前の名前はナマコ野郎に決定だ。そのうち妖怪化するに違いないんだ。分かったか、ナマコ野郎」
「ちょっと、段々意味が分かんなくなるからナマコ野郎って言うのやめて。繰り返し言われると本当にナマコ野郎が何なのか混乱しちゃう。大体インパクトあるんだよ、なんだよナマコ野郎って。ほんとお前はセンスが無いよね」
無表情なリシェが延々と言う横で、スティレンも次第に意味が分からなくなってきたのか同じようなフレーズを連呼する。
「それならお前が俺の代わりにこいつからナマコを入れて貰えばいいのだ。俺は嫌だぞ、ナマコ野郎が持ってきたナマコの差し入れなんて」
「ちょっと!本気で言ってるの!?俺だって嫌だよ、冗談じゃない!俺のお気に入りの靴がナマコだらけになるとか想像するだけでおぞましい!彼が好んでナマコをお前にプレゼントしてやるんだからありがたく頂戴しな!」
「あーーーー!!!もう、うるさい!!!さっきから何なの、ナマコナマコって!!僕の名前はナマコ野郎じゃなくてシエルって名前なんだけど!全く掠りもしてないし!しつこいんだよ、ナマコばっかり連呼して!鬱陶しいな!!」
ようやくその生徒は自分の名を名乗った。
リシェは無表情のままで黒い袋を覗き込むと、四匹位の粋のいいナマコを見下ろしながら「お前がナマコだから言っているんだ」と全く気にせずに返事をした。
どうやら彼の中ではシエルが名乗ろうが、その一目を引く容姿を持とうが完全にナマコ野郎と定着してしまったようだ。
「んで、何でこいつの靴箱にこんなものを入れようと思った訳?面識も無いんでしょ?」
「………」
本筋にようやく入り込むスティレンだったが、シエルはそっぽを向いて無言になる。
「俺はお前なんか知らないぞ。何で俺の靴箱に予告してナマコを入れようと思ったんだ」
「…だって、僕の大好きな先生にちょっかい出してたから」
「はぁん?」
しばらく間を置いた後に、ようやくシエルは小さく声を出す。それに反応するスティレンは、つい変な声で返事をしていた。
そして、ははっと小馬鹿にしたような笑い声を放ち「こいつがぁ?」と改めて聞き直した。
「こいつが先生にちょっかい出すと思うぅ?」
「してたよ!保健室に行ってたじゃないか、そこで見たんだもん窓から!あれはお前だったろ!」
スティレンはちらりとリシェに目を向けた。
まぁ、行ってたけどと眉を寄せる。
「あれはハトに襲われて怪我したから行ってきただけで、特に何も」
…無かったとは言い切れない。
どうやらシエルが気になっている先生というのはあのロシュという保健医の事のようだった。
まぁ確かにモテそうな雰囲気だったなと思いながら、不意にリシェは心のどこかでもやもやするのを感じてしまう。
「なぁに、単に妬いてただけなの?くっだらないねえ。もっと違う何かかと思ってた」
思った事はすぐに言葉に出してしまうスティレン。シエルは下らないって何だよ!と怒り出す。
「ず、ずうっと好きだったんだから!いきなりぽっと出の奴なんかに取られたくないし!お前なんか絶対レナンシェ先生のタイプじゃないし!!」
………ん??
彼の話が何かおかしい。
新キャラの名前に、リシェとスティレンはお互いに顔を見合わせた。
「レナンシェ先生って誰?」
「ロシュ先生じゃなくて?」
二人の言葉に、シエルは丸く大きな目で「え?」と逆に問う。
「保健医の先生ってロシュ先生でしょ?何でレナンシェ先生ってのが出てくる訳?」
「え?ええ…?で、でもよくレナンシェ先生は保健室に入り浸ってたから…背格好も似てたし…」
先程の勢いとは違って、急激にしおらしくなっていくシエル。リシェは人間違いじゃないのかと冷たく言った。
「そ、そんな」
人間違いで呪われそうになりナマコを靴箱に入れられそうになっていたのかとリシェは溜息を漏らすと、困惑する彼に無情に告げた。
「おい、お前の靴箱はどこだ」
「え?」
「靴箱。腹が立つからお前の靴箱にこのナマコを入れてやる」
こんな下らない事で、しかも人間違いという結果に苛立ったリシェは、ナマコの袋を持ったままシエルの靴箱を探し出そうとした。彼は慌てて「やめてよ!」とリシェを止めようとする。
スティレンにもどうにかしてよと訴えるが、彼も拍子抜けしてしまい、リシェの暴走を止める気にもなれずにいた。
彼は本気で嫌がっている様子でリシェに怒鳴るが、ふんと吐き捨てるようにナマコ野郎はナマコ野郎だと返した。
「名前もろくに知らないのに人様の靴箱にナマコを入れてくるような奴だ。お前の名前はナマコ野郎に決定だ。そのうち妖怪化するに違いないんだ。分かったか、ナマコ野郎」
「ちょっと、段々意味が分かんなくなるからナマコ野郎って言うのやめて。繰り返し言われると本当にナマコ野郎が何なのか混乱しちゃう。大体インパクトあるんだよ、なんだよナマコ野郎って。ほんとお前はセンスが無いよね」
無表情なリシェが延々と言う横で、スティレンも次第に意味が分からなくなってきたのか同じようなフレーズを連呼する。
「それならお前が俺の代わりにこいつからナマコを入れて貰えばいいのだ。俺は嫌だぞ、ナマコ野郎が持ってきたナマコの差し入れなんて」
「ちょっと!本気で言ってるの!?俺だって嫌だよ、冗談じゃない!俺のお気に入りの靴がナマコだらけになるとか想像するだけでおぞましい!彼が好んでナマコをお前にプレゼントしてやるんだからありがたく頂戴しな!」
「あーーーー!!!もう、うるさい!!!さっきから何なの、ナマコナマコって!!僕の名前はナマコ野郎じゃなくてシエルって名前なんだけど!全く掠りもしてないし!しつこいんだよ、ナマコばっかり連呼して!鬱陶しいな!!」
ようやくその生徒は自分の名を名乗った。
リシェは無表情のままで黒い袋を覗き込むと、四匹位の粋のいいナマコを見下ろしながら「お前がナマコだから言っているんだ」と全く気にせずに返事をした。
どうやら彼の中ではシエルが名乗ろうが、その一目を引く容姿を持とうが完全にナマコ野郎と定着してしまったようだ。
「んで、何でこいつの靴箱にこんなものを入れようと思った訳?面識も無いんでしょ?」
「………」
本筋にようやく入り込むスティレンだったが、シエルはそっぽを向いて無言になる。
「俺はお前なんか知らないぞ。何で俺の靴箱に予告してナマコを入れようと思ったんだ」
「…だって、僕の大好きな先生にちょっかい出してたから」
「はぁん?」
しばらく間を置いた後に、ようやくシエルは小さく声を出す。それに反応するスティレンは、つい変な声で返事をしていた。
そして、ははっと小馬鹿にしたような笑い声を放ち「こいつがぁ?」と改めて聞き直した。
「こいつが先生にちょっかい出すと思うぅ?」
「してたよ!保健室に行ってたじゃないか、そこで見たんだもん窓から!あれはお前だったろ!」
スティレンはちらりとリシェに目を向けた。
まぁ、行ってたけどと眉を寄せる。
「あれはハトに襲われて怪我したから行ってきただけで、特に何も」
…無かったとは言い切れない。
どうやらシエルが気になっている先生というのはあのロシュという保健医の事のようだった。
まぁ確かにモテそうな雰囲気だったなと思いながら、不意にリシェは心のどこかでもやもやするのを感じてしまう。
「なぁに、単に妬いてただけなの?くっだらないねえ。もっと違う何かかと思ってた」
思った事はすぐに言葉に出してしまうスティレン。シエルは下らないって何だよ!と怒り出す。
「ず、ずうっと好きだったんだから!いきなりぽっと出の奴なんかに取られたくないし!お前なんか絶対レナンシェ先生のタイプじゃないし!!」
………ん??
彼の話が何かおかしい。
新キャラの名前に、リシェとスティレンはお互いに顔を見合わせた。
「レナンシェ先生って誰?」
「ロシュ先生じゃなくて?」
二人の言葉に、シエルは丸く大きな目で「え?」と逆に問う。
「保健医の先生ってロシュ先生でしょ?何でレナンシェ先生ってのが出てくる訳?」
「え?ええ…?で、でもよくレナンシェ先生は保健室に入り浸ってたから…背格好も似てたし…」
先程の勢いとは違って、急激にしおらしくなっていくシエル。リシェは人間違いじゃないのかと冷たく言った。
「そ、そんな」
人間違いで呪われそうになりナマコを靴箱に入れられそうになっていたのかとリシェは溜息を漏らすと、困惑する彼に無情に告げた。
「おい、お前の靴箱はどこだ」
「え?」
「靴箱。腹が立つからお前の靴箱にこのナマコを入れてやる」
こんな下らない事で、しかも人間違いという結果に苛立ったリシェは、ナマコの袋を持ったままシエルの靴箱を探し出そうとした。彼は慌てて「やめてよ!」とリシェを止めようとする。
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