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そのはちじゅうご
同類
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という訳で、とサキトはにこやかに笑った。
「少しの間、よろしくね★」
「最初にスティレンの部屋に行ったのか?」
お茶を飲み切ったリシェは、顔見知りの部屋にうまく侵入出来た事でミッション成功とばかりに完全に寛ぐサキトに問う。
質問を笑顔で返しながら、「勿論!」と言い放った。
「部屋には入れなかったけどね」
そりゃそうだろう。これで入れたら逆にその執念が怖い。彼の場合、全く気にせずに強引にこじ開けそうな気もするが、その辺は自制心が残されていたようだ。
ラスはリシェと一緒に寝る事が何より楽しみらしく、ひたすら含み笑いやら何かしら笑みを浮かべてくる。
「俺、やっぱり床で寝ようかな」
リシェはそれに気付いてかぼそりと呟いた。
「ええっ!?」
ラスは当然驚きの悲鳴を上げる。
「だって気持ち悪いし」
「な、何がですか!?」
自覚が無いのかとリシェは冷め果てたようにラスに目を向けていた。
「お前が気持ち悪いんだよ」
「え!?な、何です!?」
ラスは再び聞き返した。わざと聞こえないふりをしているのか、それとも知りたくないのか。リシェは舌打ちすると、更に大きな声で説明を繰り返した。
「お前が!!非常に!!気持ち悪い!!」
めちゃくちゃ否定の声を受けてショックを受けるラス。
サキトはそのやり取りを目にすると、椅子に座りながら大爆笑していた。
「んっふ!…あっはははは!凄い、めちゃくちゃ拒否られてるぅ!!かっ…可哀想っ、んっふ!!あははははは!!」
そこまで笑わなくてもというレベルで大爆笑され、ラスは更に傷が深くなってしまった。
しかもサキトもスティレンに拒否されている立場なのだ。
笑いながら可哀想~!と言ってのける図太さ。おまけに言い方も、ただ可哀想、ではなく「か~わぁ~い~そ~ぉお~」というニュアンスで余計イラッとしてくる。
「そこまで笑わなくてもいいでしょ!それに何その言い方!絶対可哀想とか思ってないだろ!」
「はあっ、あはぁ…はぁー、面白…んっふ…」
「スティレンに拒否られてるあんたに笑われたくないよ!」
笑い疲れ、呼吸を整えながらサキトは「僕が拒否されてるって?」とラスの言葉尻に反応する。
「違うの?めちゃくちゃ嫌がられてるように見えるけど!」
まるで仕返しとばかりにラスは鼻を膨らませながら言った。
「ふん、馬鹿だね。僕はスティレンを苛めたくてたまらないんだよ。拒否されても突いてあげるのが愛情なのさ。君には分からないだろうけどねぇ…んふふ。ただ迫るだけだと面白くないだろう?僕は敢えてあの子の嫌がる事をするのが好きなの。例えば持ち物に僕の写真を挟み込むとか、ラブレターを仕込むとか…あの子に合いそうな下着を送るとか、クール便でタニシを届けるとか」
うっとりとする美少年に対し、リシェはドン引きする。
「お前も気持ち悪いな」
タニシの下りは意味不明過ぎる。
「絶対スティレンは喜ばないだろう」
ラブレターや写真が出てくる度に、スティレンがブチ切れながら破り捨てているのはサキトは知る由も無い。
「それを承知で届けているんだよ。今は婚姻届を何枚も作っている最中さ。どんな顔をするか楽しみだなあ。ね、その瞬間を今度教えてよ。連絡先交換して?」
恍惚とした顔のサキトは、リシェに迫りだした。
「え、嫌だ」
やはり彼はすぐに拒否する。
その為に連絡先交換などしたくない。
そんなあとサキトは頬を膨らませると、今度はラスに目を向けた。
「ね、君は?連絡先教えてよ」
散々笑った相手に言うのか、と呆れた。
「嫌だよ…」
そんな悪趣味に付き合う為に連絡先の交換など御免だ。
両者に拒否されたサキトは「何だよぉ」と膨れっ面になる。発言は変態なのに顔だけは無駄に可愛いのが妙に嫌味に見えてきた。
「同じレベルの変態なのに嫌がらないでよ!!何なのさ!?」
…何なのさと言われても。
しかも自分も変態だと自覚してるのか…とラスは脱力する。それに、自分はサキトみたいにアブノーマルなタイプではない。それは自信が持てる。
一緒にしないでほしい。
「俺は変態じゃないし」
一方で、リシェはしれっと一抜けする発言を放っていた。
「少しの間、よろしくね★」
「最初にスティレンの部屋に行ったのか?」
お茶を飲み切ったリシェは、顔見知りの部屋にうまく侵入出来た事でミッション成功とばかりに完全に寛ぐサキトに問う。
質問を笑顔で返しながら、「勿論!」と言い放った。
「部屋には入れなかったけどね」
そりゃそうだろう。これで入れたら逆にその執念が怖い。彼の場合、全く気にせずに強引にこじ開けそうな気もするが、その辺は自制心が残されていたようだ。
ラスはリシェと一緒に寝る事が何より楽しみらしく、ひたすら含み笑いやら何かしら笑みを浮かべてくる。
「俺、やっぱり床で寝ようかな」
リシェはそれに気付いてかぼそりと呟いた。
「ええっ!?」
ラスは当然驚きの悲鳴を上げる。
「だって気持ち悪いし」
「な、何がですか!?」
自覚が無いのかとリシェは冷め果てたようにラスに目を向けていた。
「お前が気持ち悪いんだよ」
「え!?な、何です!?」
ラスは再び聞き返した。わざと聞こえないふりをしているのか、それとも知りたくないのか。リシェは舌打ちすると、更に大きな声で説明を繰り返した。
「お前が!!非常に!!気持ち悪い!!」
めちゃくちゃ否定の声を受けてショックを受けるラス。
サキトはそのやり取りを目にすると、椅子に座りながら大爆笑していた。
「んっふ!…あっはははは!凄い、めちゃくちゃ拒否られてるぅ!!かっ…可哀想っ、んっふ!!あははははは!!」
そこまで笑わなくてもというレベルで大爆笑され、ラスは更に傷が深くなってしまった。
しかもサキトもスティレンに拒否されている立場なのだ。
笑いながら可哀想~!と言ってのける図太さ。おまけに言い方も、ただ可哀想、ではなく「か~わぁ~い~そ~ぉお~」というニュアンスで余計イラッとしてくる。
「そこまで笑わなくてもいいでしょ!それに何その言い方!絶対可哀想とか思ってないだろ!」
「はあっ、あはぁ…はぁー、面白…んっふ…」
「スティレンに拒否られてるあんたに笑われたくないよ!」
笑い疲れ、呼吸を整えながらサキトは「僕が拒否されてるって?」とラスの言葉尻に反応する。
「違うの?めちゃくちゃ嫌がられてるように見えるけど!」
まるで仕返しとばかりにラスは鼻を膨らませながら言った。
「ふん、馬鹿だね。僕はスティレンを苛めたくてたまらないんだよ。拒否されても突いてあげるのが愛情なのさ。君には分からないだろうけどねぇ…んふふ。ただ迫るだけだと面白くないだろう?僕は敢えてあの子の嫌がる事をするのが好きなの。例えば持ち物に僕の写真を挟み込むとか、ラブレターを仕込むとか…あの子に合いそうな下着を送るとか、クール便でタニシを届けるとか」
うっとりとする美少年に対し、リシェはドン引きする。
「お前も気持ち悪いな」
タニシの下りは意味不明過ぎる。
「絶対スティレンは喜ばないだろう」
ラブレターや写真が出てくる度に、スティレンがブチ切れながら破り捨てているのはサキトは知る由も無い。
「それを承知で届けているんだよ。今は婚姻届を何枚も作っている最中さ。どんな顔をするか楽しみだなあ。ね、その瞬間を今度教えてよ。連絡先交換して?」
恍惚とした顔のサキトは、リシェに迫りだした。
「え、嫌だ」
やはり彼はすぐに拒否する。
その為に連絡先交換などしたくない。
そんなあとサキトは頬を膨らませると、今度はラスに目を向けた。
「ね、君は?連絡先教えてよ」
散々笑った相手に言うのか、と呆れた。
「嫌だよ…」
そんな悪趣味に付き合う為に連絡先の交換など御免だ。
両者に拒否されたサキトは「何だよぉ」と膨れっ面になる。発言は変態なのに顔だけは無駄に可愛いのが妙に嫌味に見えてきた。
「同じレベルの変態なのに嫌がらないでよ!!何なのさ!?」
…何なのさと言われても。
しかも自分も変態だと自覚してるのか…とラスは脱力する。それに、自分はサキトみたいにアブノーマルなタイプではない。それは自信が持てる。
一緒にしないでほしい。
「俺は変態じゃないし」
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