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そのごじゅうろく
鉢植えの気持ち
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ラスは購買で購入したというサボテンの鉢植えを両手に抱え、部屋に戻って来た。課題を進めていたリシェは彼が満足そうな顔で鉢植えを自分の机に置くのを黙って見届ける。
んふふ、と満面の笑み。
「何でそれを持ってきた?」
リシェは不思議そうに眉を寄せる。
「育てようと思って!」
すぐに飽きるのではないだろうかと不安に駆られた。
「出来るのか?」
「や、やれますよ。ちゃんと育て方も聞いたし、分からない事があれば検索出来るし」
「………」
くれぐれも枯らすなよ、とリシェは一言だけ告げて再び課題に取り組み始めた。それを見るなりラスはいやいや待って下さいよと妨害する。
リシェの手を止め、ラスは「何でいきなり買ってきたのかとか聞いてくれないんですか!」と足元に身を滑らせ切実に問いかけてきた。
…ああ、面倒臭いなあ。
いかにもそんな様子のリシェはくっついてきた彼をうんざりしたように見下ろす。
「お前何なんだ、面倒臭いタイプの女子か?トイレは絶対集団じゃなきゃダメな奴か?」
「それは小学生で卒業しなきゃいけないレベルでしょう!そうじゃなくて…何で俺がサボテンを買ってきたか気にならないんですか!」
「全然気にしない。育てたきゃ勝手にやればいいじゃないか」
やはりつれない様子を見せるリシェ。だがラスは完全に慣れている為か、全くめげない。
例えどんなに冷たくあしらわれようが折れない。
何故ならそこにリシェが居るから。
「そこは何でだって聞くんですよ!会話のキャッチボールをして下さい、俺と!!」
「俺が今何をしているのか理解してから言え」
むっすー、と音が出てきそうな位の膨れっ面を披露するリシェ。
「そんなもの俺がやってあげますよ!!」
「お前がやってどうするんだ、俺の課題なんだぞ!!」
とにかくラスは構って欲しいらしい。リシェはうんざりした様子を見せながら、「じゃあ聞いてやる」と根負けした。
願望を叶えてやれば気が済むだろう。
「んふふ…それはですね。育てながら話しかけて成長を見届けたいと思ったからなんですよ」
ほんわりとした顔をリシェに向けた。その顔がやけに子供っぽく無駄に可愛らしく見えてしまい、反射的にリシェは舌打ちする。
何故舌打ちしてしまったのかは分からない。自分の性格が歪んでいるのだろうか。
むしろ、めちゃくちゃどうでもいい理由を聞かされたせいかもしれない。
「そうか。良かったな」
後輩らしくない返事をし、リシェは再び机に向かおうとする。
「あ!ま、待ってえ!!先輩っ、先輩い!」
「何だよやかましいな」
「一緒に成長を見届けましょうよ。俺、サボテンに一日の出来事を話してやろうと思うんです」
リシェは無表情のまま、そうしたければやればいいと返す。
「だから先輩も同じように」
話しかけろと言う事か。
そんな意味の無い事を毎日やれと?と面倒そうに溜息を吐く。
「そんな趣味無いよ…」
全部が全部自分の思い通りになると思うなと吐き捨てるように言うと、彼は机上のサボテンの鉢植えに目を向けた。
「あいつだって毎回話しかけられたらうんざりするだろうよ。なあ、サボテン」
リシェはサボテンに話しかけるが、当然の事ながら返事は無い。
くるりとラスに再び注目する。
「ほら。面倒臭がって返事が無いじゃないか。話しかけられたくないんだと。お前は少し奴の気持ちになってみろ」
やけにドヤるリシェを見上げ、ラスは苦笑いする。
「先輩、…本当は悪い気はしないんでしょ…」
嫌だと言いながらサボテンに感情移入しだすリシェが、とにかく可愛く見えてしまった。
んふふ、と満面の笑み。
「何でそれを持ってきた?」
リシェは不思議そうに眉を寄せる。
「育てようと思って!」
すぐに飽きるのではないだろうかと不安に駆られた。
「出来るのか?」
「や、やれますよ。ちゃんと育て方も聞いたし、分からない事があれば検索出来るし」
「………」
くれぐれも枯らすなよ、とリシェは一言だけ告げて再び課題に取り組み始めた。それを見るなりラスはいやいや待って下さいよと妨害する。
リシェの手を止め、ラスは「何でいきなり買ってきたのかとか聞いてくれないんですか!」と足元に身を滑らせ切実に問いかけてきた。
…ああ、面倒臭いなあ。
いかにもそんな様子のリシェはくっついてきた彼をうんざりしたように見下ろす。
「お前何なんだ、面倒臭いタイプの女子か?トイレは絶対集団じゃなきゃダメな奴か?」
「それは小学生で卒業しなきゃいけないレベルでしょう!そうじゃなくて…何で俺がサボテンを買ってきたか気にならないんですか!」
「全然気にしない。育てたきゃ勝手にやればいいじゃないか」
やはりつれない様子を見せるリシェ。だがラスは完全に慣れている為か、全くめげない。
例えどんなに冷たくあしらわれようが折れない。
何故ならそこにリシェが居るから。
「そこは何でだって聞くんですよ!会話のキャッチボールをして下さい、俺と!!」
「俺が今何をしているのか理解してから言え」
むっすー、と音が出てきそうな位の膨れっ面を披露するリシェ。
「そんなもの俺がやってあげますよ!!」
「お前がやってどうするんだ、俺の課題なんだぞ!!」
とにかくラスは構って欲しいらしい。リシェはうんざりした様子を見せながら、「じゃあ聞いてやる」と根負けした。
願望を叶えてやれば気が済むだろう。
「んふふ…それはですね。育てながら話しかけて成長を見届けたいと思ったからなんですよ」
ほんわりとした顔をリシェに向けた。その顔がやけに子供っぽく無駄に可愛らしく見えてしまい、反射的にリシェは舌打ちする。
何故舌打ちしてしまったのかは分からない。自分の性格が歪んでいるのだろうか。
むしろ、めちゃくちゃどうでもいい理由を聞かされたせいかもしれない。
「そうか。良かったな」
後輩らしくない返事をし、リシェは再び机に向かおうとする。
「あ!ま、待ってえ!!先輩っ、先輩い!」
「何だよやかましいな」
「一緒に成長を見届けましょうよ。俺、サボテンに一日の出来事を話してやろうと思うんです」
リシェは無表情のまま、そうしたければやればいいと返す。
「だから先輩も同じように」
話しかけろと言う事か。
そんな意味の無い事を毎日やれと?と面倒そうに溜息を吐く。
「そんな趣味無いよ…」
全部が全部自分の思い通りになると思うなと吐き捨てるように言うと、彼は机上のサボテンの鉢植えに目を向けた。
「あいつだって毎回話しかけられたらうんざりするだろうよ。なあ、サボテン」
リシェはサボテンに話しかけるが、当然の事ながら返事は無い。
くるりとラスに再び注目する。
「ほら。面倒臭がって返事が無いじゃないか。話しかけられたくないんだと。お前は少し奴の気持ちになってみろ」
やけにドヤるリシェを見上げ、ラスは苦笑いする。
「先輩、…本当は悪い気はしないんでしょ…」
嫌だと言いながらサボテンに感情移入しだすリシェが、とにかく可愛く見えてしまった。
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