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そのにじゅうに
【また】何度目の妄想か?【始まった】
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「先輩」
「ん?」
一日の授業を完全に終え、自由な放課後。
いつもの校舎の屋上でラスはリシェに声をかける。
「恋人同士になれば、やはりこう…色んなステップがあると思うのですよ」
「?」
何故かもう恋人同士の話になっている。
彼の中では、リシェは本人が全く認めてもいないのに、既に恋人の扱いになっているのだろう。
そんな事を露知らず。リシェは携帯電話を持ったまま、きょとんとした顔をしてラスの話を聞いていた。
「キスは済ませました。もうそろそろ、次の段階に入ってもいいと思ってみたりもしたのです」
やたらまどろっこしい言い方をする辺りいやらしさを感じるが、何の話か良く理解できないリシェは「はぁ…」と気の抜けた返しをした。
対するラスはやけにがっつきながら、彼の顔先にずいっと迫る。
「何だ、気持ち悪いな」
「先輩は俺と一緒にいちゃいちゃするのは嫌いですか?」
唐突に言い始めるラス。
リシェは「はあ?」と眉を寄せた。
「今までも勝手にマジックテープばりにべたべたくっついてきたくせに、今更何を言ってるんだ?」
「そうじゃなくて!!そうじゃないんですよ!!」
ラスは首を振りながら訴える。
「俺が言いたいのはっ…せ、先輩にっ、先輩の体に!直に触れたいというっ、事なんです!!」
思い切って直球で言い放った。
要は、好きだから触れてみたいのだと言いたいのだ。ラスの最大の願いでもあった。ここまで仲良くしているのだから、もっとリシェを知りたい。
切なる願いを訴えたが。
リシェは「ううわ」と顔を引きつらせる。
「お前…頭でも打ったか?」
「ええ…」
直球で訴えたのに、直球な反応をされて地味に凹む。
「本気なのに…先輩、もう俺の恋人同然じゃないですか」
「何を言ってるんだ?」
「せんぱぃいいい!!だってキスもしたじゃないですかあぁあああ」
最終的には嘆くラス。
「何故俺だけにこだわるんだ。他にも居るだろう」
困り果てるリシェに、ラスは「先輩じゃなきゃ駄目なんですよ」とむくれる。
「元の世界では結ばれませんから。だから代わりにこっちの世界では結婚してやろうと思っています。そもそも、向こうだと俺の影はとにかく薄いですからね!先輩と絡む事もあんまり無いのです!」
「その元の世界じゃ、俺はお前と絡まないのか」
むしろその方が幸せな気がする、とリシェは思うが、彼に言えば余計面倒になりそうだ。
「だって、先輩は他に目を向けるんだもん」
理由をぼかしつつ、ラスはぷいっと顔を逸らして口を尖らせた。
あまり明確な理由を言いたくない。
言っても構わないのだろうが、こちら側のリシェはロシュに対して良いイメージは無いだろう。変態過ぎて。
「?」
「なので、こちらでは先輩とは、絶対いちゃこらいちゃこらして甘い甘い関係になりたいと思っています。先輩を沢山甘やかして、めちゃくちゃねっとりしたエッチをしてやりたいと!!ですから…次の段階に進みましょう!!」
結局それがしたいだけではないか、とリシェは自分の体の危険を察知してしまった。ひくひくと怯えながら後ずさり、彼は首を振る。
しかも恋人同士になった訳でも無いのだ。
ラスが勝手に暴走しているだけ。
「い、嫌だ」
「何でですか!」
「嫌だ嫌だ!この変態が!!近づくな気色悪い!!」
顔に似合わず罵声を吐き散らかすリシェ。
「そんな!い、今更!?」
本音を剥き出しにしたのがいけなかったのだろうか。
リシェは貞操の危機を感じ過ぎて、余計ラスを警戒してしまった。
「ん?」
一日の授業を完全に終え、自由な放課後。
いつもの校舎の屋上でラスはリシェに声をかける。
「恋人同士になれば、やはりこう…色んなステップがあると思うのですよ」
「?」
何故かもう恋人同士の話になっている。
彼の中では、リシェは本人が全く認めてもいないのに、既に恋人の扱いになっているのだろう。
そんな事を露知らず。リシェは携帯電話を持ったまま、きょとんとした顔をしてラスの話を聞いていた。
「キスは済ませました。もうそろそろ、次の段階に入ってもいいと思ってみたりもしたのです」
やたらまどろっこしい言い方をする辺りいやらしさを感じるが、何の話か良く理解できないリシェは「はぁ…」と気の抜けた返しをした。
対するラスはやけにがっつきながら、彼の顔先にずいっと迫る。
「何だ、気持ち悪いな」
「先輩は俺と一緒にいちゃいちゃするのは嫌いですか?」
唐突に言い始めるラス。
リシェは「はあ?」と眉を寄せた。
「今までも勝手にマジックテープばりにべたべたくっついてきたくせに、今更何を言ってるんだ?」
「そうじゃなくて!!そうじゃないんですよ!!」
ラスは首を振りながら訴える。
「俺が言いたいのはっ…せ、先輩にっ、先輩の体に!直に触れたいというっ、事なんです!!」
思い切って直球で言い放った。
要は、好きだから触れてみたいのだと言いたいのだ。ラスの最大の願いでもあった。ここまで仲良くしているのだから、もっとリシェを知りたい。
切なる願いを訴えたが。
リシェは「ううわ」と顔を引きつらせる。
「お前…頭でも打ったか?」
「ええ…」
直球で訴えたのに、直球な反応をされて地味に凹む。
「本気なのに…先輩、もう俺の恋人同然じゃないですか」
「何を言ってるんだ?」
「せんぱぃいいい!!だってキスもしたじゃないですかあぁあああ」
最終的には嘆くラス。
「何故俺だけにこだわるんだ。他にも居るだろう」
困り果てるリシェに、ラスは「先輩じゃなきゃ駄目なんですよ」とむくれる。
「元の世界では結ばれませんから。だから代わりにこっちの世界では結婚してやろうと思っています。そもそも、向こうだと俺の影はとにかく薄いですからね!先輩と絡む事もあんまり無いのです!」
「その元の世界じゃ、俺はお前と絡まないのか」
むしろその方が幸せな気がする、とリシェは思うが、彼に言えば余計面倒になりそうだ。
「だって、先輩は他に目を向けるんだもん」
理由をぼかしつつ、ラスはぷいっと顔を逸らして口を尖らせた。
あまり明確な理由を言いたくない。
言っても構わないのだろうが、こちら側のリシェはロシュに対して良いイメージは無いだろう。変態過ぎて。
「?」
「なので、こちらでは先輩とは、絶対いちゃこらいちゃこらして甘い甘い関係になりたいと思っています。先輩を沢山甘やかして、めちゃくちゃねっとりしたエッチをしてやりたいと!!ですから…次の段階に進みましょう!!」
結局それがしたいだけではないか、とリシェは自分の体の危険を察知してしまった。ひくひくと怯えながら後ずさり、彼は首を振る。
しかも恋人同士になった訳でも無いのだ。
ラスが勝手に暴走しているだけ。
「い、嫌だ」
「何でですか!」
「嫌だ嫌だ!この変態が!!近づくな気色悪い!!」
顔に似合わず罵声を吐き散らかすリシェ。
「そんな!い、今更!?」
本音を剥き出しにしたのがいけなかったのだろうか。
リシェは貞操の危機を感じ過ぎて、余計ラスを警戒してしまった。
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