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そのじゅうさん
スティレン、無視される
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あれからサキトはスティレンの部屋で好き放題に振る舞った後、彼を寝不足にして早朝にさっさと帰って行った。朝方から呼び出されるボディガードも可哀想な気もしたが、サキトの暴走を止められなかったのを考えると全く同情出来ない。
寝不足はもとより、美容が損なわれる事をとにかく嫌がるスティレンは授業が終わる度に突っ伏し睡眠を貪るという荒技を繰り返していた。
黙って部屋で寝ていればいいのに、とリシェは呆れるが彼は放っておいたらお前は変態に連れて行かれるだろ!と勝手に断言して寝てしまう。
授業と授業の合間の休み時間は平和だなとリシェはほうっと一息つく。いつもならスティレンがうるさいのだが、スイッチが切れたかのように寝続けているのでやかましく無い。
いつもこうならいいのにとすら思った。
「あ、あのぅ…リシェ君」
一人で席に座り、次の授業の準備をするリシェにクラスメイトが数人近寄って来た。
「ん?」
彼らは真面目そうで大人しい雰囲気を漂わせながらおずおずとリシェに話しかける。仲間同士で軽く言い合いつつも、こちらに質問して来た。
「い、いつもスティレン君と一緒だからなかなか話したくても話せなくて」
「?」
「えっと…良かったら一緒に次の授業の移動を」
「次?次ってどこでやるんだっけ…」
移動しなければならない授業か、とリシェは立ち上がった。相手の少年達は気になっていたリシェが反応してくれて嬉しいのか、頬をやや紅潮して「コンピュータ室だよ」と返す。
リシェはそうだったのか、と理解すると用意していた教科書類を手にして立ち上がった。
「分かった。一緒に行こう」
「え!?本当?でも、あの…スティレン君は?」
どうやらキツい性格のスティレンを苦手としているようだ。確かに何もしていなくともいびってくるタイプのスティレンは、物静かな彼らに苦手意識を持たれても仕方無い気がする。
リシェはけろりとして「別にいいぞ」と首を傾げて言った。
「怒られたりしない?いつも一緒なのに」
ちらりと寝入っている従兄弟に目を向けた。
だがすぐに戻る。
「だって、寝てるし。起こせば起こしたでやかましいから放っておいていい」
「そ、そうなの?」
「ああ。じゃあ行こう」
リシェは荷物を手に彼らを促す。ややハラハラした顔を眠り続けるスティレンに向けるが、気になっていたクラスメイトと一緒に動けるのが嬉しいようだ。
やや興奮気味になりながら「良かったら近くに座ろう」と誘うと、リシェもいいぞと返す。
「あいつは起こそうとしてもなかなか起きないから無視してもいい」
「…でも、大丈夫なのかな?」
「大丈夫だ。結局何しても怒り出すからな」
彼らが教室を出た後、予鈴の次に鳴る本鈴が校舎内に鳴り響いた。そこでようやくスティレンは重い瞼を動かしていく。
さらりと手入れが届く美しい髪が風に揺れた。
「う…ううん」
ふああ、とあくびをしながら彼は頭を上げ、寝足りない頭を振ると周囲を見回した。そこで同級生の姿が無い事に気付く。
「あれ?」
何?と目の前の黒板に注目すると、『次の時間はコンピュータ室に移動!』と書かれていた。それを見るなりスティレンは面倒だなぁ!と呟く。
そしてリシェの姿を探した。
気付けば誰も居ない事に気付き、がたんと椅子から立ち上がる。
どうやら完全に放置された模様。
…あいつ!!何で俺を起こさないんだよ、使えないなぁ!!
自分を差し置いてさっさと移動するのが気に入らないスティレンは教科書を手にしてコンピュータ室へと駆け出していた。
寝不足はもとより、美容が損なわれる事をとにかく嫌がるスティレンは授業が終わる度に突っ伏し睡眠を貪るという荒技を繰り返していた。
黙って部屋で寝ていればいいのに、とリシェは呆れるが彼は放っておいたらお前は変態に連れて行かれるだろ!と勝手に断言して寝てしまう。
授業と授業の合間の休み時間は平和だなとリシェはほうっと一息つく。いつもならスティレンがうるさいのだが、スイッチが切れたかのように寝続けているのでやかましく無い。
いつもこうならいいのにとすら思った。
「あ、あのぅ…リシェ君」
一人で席に座り、次の授業の準備をするリシェにクラスメイトが数人近寄って来た。
「ん?」
彼らは真面目そうで大人しい雰囲気を漂わせながらおずおずとリシェに話しかける。仲間同士で軽く言い合いつつも、こちらに質問して来た。
「い、いつもスティレン君と一緒だからなかなか話したくても話せなくて」
「?」
「えっと…良かったら一緒に次の授業の移動を」
「次?次ってどこでやるんだっけ…」
移動しなければならない授業か、とリシェは立ち上がった。相手の少年達は気になっていたリシェが反応してくれて嬉しいのか、頬をやや紅潮して「コンピュータ室だよ」と返す。
リシェはそうだったのか、と理解すると用意していた教科書類を手にして立ち上がった。
「分かった。一緒に行こう」
「え!?本当?でも、あの…スティレン君は?」
どうやらキツい性格のスティレンを苦手としているようだ。確かに何もしていなくともいびってくるタイプのスティレンは、物静かな彼らに苦手意識を持たれても仕方無い気がする。
リシェはけろりとして「別にいいぞ」と首を傾げて言った。
「怒られたりしない?いつも一緒なのに」
ちらりと寝入っている従兄弟に目を向けた。
だがすぐに戻る。
「だって、寝てるし。起こせば起こしたでやかましいから放っておいていい」
「そ、そうなの?」
「ああ。じゃあ行こう」
リシェは荷物を手に彼らを促す。ややハラハラした顔を眠り続けるスティレンに向けるが、気になっていたクラスメイトと一緒に動けるのが嬉しいようだ。
やや興奮気味になりながら「良かったら近くに座ろう」と誘うと、リシェもいいぞと返す。
「あいつは起こそうとしてもなかなか起きないから無視してもいい」
「…でも、大丈夫なのかな?」
「大丈夫だ。結局何しても怒り出すからな」
彼らが教室を出た後、予鈴の次に鳴る本鈴が校舎内に鳴り響いた。そこでようやくスティレンは重い瞼を動かしていく。
さらりと手入れが届く美しい髪が風に揺れた。
「う…ううん」
ふああ、とあくびをしながら彼は頭を上げ、寝足りない頭を振ると周囲を見回した。そこで同級生の姿が無い事に気付く。
「あれ?」
何?と目の前の黒板に注目すると、『次の時間はコンピュータ室に移動!』と書かれていた。それを見るなりスティレンは面倒だなぁ!と呟く。
そしてリシェの姿を探した。
気付けば誰も居ない事に気付き、がたんと椅子から立ち上がる。
どうやら完全に放置された模様。
…あいつ!!何で俺を起こさないんだよ、使えないなぁ!!
自分を差し置いてさっさと移動するのが気に入らないスティレンは教科書を手にしてコンピュータ室へと駆け出していた。
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