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その16 第6話
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「この間はごめんね。お給料気持ちサービスしてます。エステも受けさせてもらったし。」
今日はお給料日。封筒には、確かに思っていた以上の金額が入っている。僕は領収書にサインして橘さんに渡した。
「すっごい良かった~。遥さんにスクールのことだけじゃなくって、子育てのことまできいてもらっちゃった。今度から自腹で行かせてもらうからね。そうそう、ハイ・キャッスルって離乳食までやってるのね、びっくりしたわ。」
「女の人の人生に必要なことは殆んどやってますよ。」
「華蓮にはもうちょっと先なのにサンプルもたくさんくださって。千早くんからもお礼言っておいてね。あ、スープのサンプルももらったんだけど、同じの榎本さんにもあげたんだってね。めちゃくちゃ喜んでたよ。」
「ほんとですか?」
榎本さんの名前に思わずときめく。
「もらってすぐ飲んだんだって。ここでの匂いが忘れられなかったらしいよ。気に入っていくつかスーパー回ったらしいんだけど、ゲットできなかったからまた売ってるところ聞いておいてって言われてたんだった。」
「あ・・。」
お店に出るのは来週の水曜からだ。正確な日付を伝えておけばよかったなあ。
でもスーパー回ったって、独身なのかな?
本日二度目のときめき。
いやいや、独身とは限らない。既婚者で奥さんも働いていればスーパーのひとつやふたつ行くのは当たり前。
「発売、来週の水曜からなんです。せっかく買おうとしてくださったのにごめんなさい、って伝えていただけますか?あっ、もしよければ僕が社員価格でお渡しできますからっていうのも。榎本さんがOKなら田所さんに預けてもいいでしょうか。」
「いいと思うよ。榎本さんと田所さんに話してみる。夕凪にもありがとうね。喜んでた。私、定価払うからケースで欲しいな。」
相変わらずお弁当を食べる時間はまちまちだけど、付けたスープは残すことなく飲んでくれている。
そして橘さんにわざわざ感想を言ってくれてるのだから、本当にそう思ってくれていると信じたい。
嬉しさと同時に安心感が胸に広がっていく。
子供にあったかいご飯を食べさせることが出来たお母さんは、こんな気持ちなのかな。
って僕の方が年下だけど。
そして今日からは第6話。
“自分が変わっていくことを実感した芹那は、今まであまり身の入らなかった勉強にも積極的に取り組むようになる。全く決まっていなかった進路も、自分の身体が変わってきたことから健康に関することを学べる大学を受験することに決め、塾で資料を探す。そのことをテイラーに告げると、とても喜んでくれたものの、自分に教えられることはもうない気がすると言われてしまう。お金をもらっていることもあり、レッスンはそろそろ最後にしたほうがいいのではと言うテイラーに対し、芹那は思わず、好きな人が振り向いてくれるまで継続してほしいとお願いする。テイラーのアドバイスが途切れてしまうことで、今の自分史上最高の状態が終わってしまう気がしたからだ。”
ゆんちゃんも言っていたように、連載開始時には全く冴えなかった芹那。
その時の『月刊リコリス』を引っ張り出して比べるまでもなく、芹那は別人みたいに変わっている。
全体的にシャープになり、目に力が宿って来た。少し猫背だった姿勢も今ではピンと背筋を伸ばし、歩き方も綺麗。目標を見つけて、頑張っている姿は美しい。とっても魅力的だ。
そして、それが分かるように描けるくれあセンセイの画力は、しみじみ素晴らしい。
僕、スクールに潜り込ませてもらおうかな。
同じ時期に失恋したのに、いつの間にか芹那は僕のずっと前にいる気がして、むずむずしてきた。
アプリにはまだ触れないけど、次の機会に備えて準備するのはあり、だよね。
今日はお給料日。封筒には、確かに思っていた以上の金額が入っている。僕は領収書にサインして橘さんに渡した。
「すっごい良かった~。遥さんにスクールのことだけじゃなくって、子育てのことまできいてもらっちゃった。今度から自腹で行かせてもらうからね。そうそう、ハイ・キャッスルって離乳食までやってるのね、びっくりしたわ。」
「女の人の人生に必要なことは殆んどやってますよ。」
「華蓮にはもうちょっと先なのにサンプルもたくさんくださって。千早くんからもお礼言っておいてね。あ、スープのサンプルももらったんだけど、同じの榎本さんにもあげたんだってね。めちゃくちゃ喜んでたよ。」
「ほんとですか?」
榎本さんの名前に思わずときめく。
「もらってすぐ飲んだんだって。ここでの匂いが忘れられなかったらしいよ。気に入っていくつかスーパー回ったらしいんだけど、ゲットできなかったからまた売ってるところ聞いておいてって言われてたんだった。」
「あ・・。」
お店に出るのは来週の水曜からだ。正確な日付を伝えておけばよかったなあ。
でもスーパー回ったって、独身なのかな?
本日二度目のときめき。
いやいや、独身とは限らない。既婚者で奥さんも働いていればスーパーのひとつやふたつ行くのは当たり前。
「発売、来週の水曜からなんです。せっかく買おうとしてくださったのにごめんなさい、って伝えていただけますか?あっ、もしよければ僕が社員価格でお渡しできますからっていうのも。榎本さんがOKなら田所さんに預けてもいいでしょうか。」
「いいと思うよ。榎本さんと田所さんに話してみる。夕凪にもありがとうね。喜んでた。私、定価払うからケースで欲しいな。」
相変わらずお弁当を食べる時間はまちまちだけど、付けたスープは残すことなく飲んでくれている。
そして橘さんにわざわざ感想を言ってくれてるのだから、本当にそう思ってくれていると信じたい。
嬉しさと同時に安心感が胸に広がっていく。
子供にあったかいご飯を食べさせることが出来たお母さんは、こんな気持ちなのかな。
って僕の方が年下だけど。
そして今日からは第6話。
“自分が変わっていくことを実感した芹那は、今まであまり身の入らなかった勉強にも積極的に取り組むようになる。全く決まっていなかった進路も、自分の身体が変わってきたことから健康に関することを学べる大学を受験することに決め、塾で資料を探す。そのことをテイラーに告げると、とても喜んでくれたものの、自分に教えられることはもうない気がすると言われてしまう。お金をもらっていることもあり、レッスンはそろそろ最後にしたほうがいいのではと言うテイラーに対し、芹那は思わず、好きな人が振り向いてくれるまで継続してほしいとお願いする。テイラーのアドバイスが途切れてしまうことで、今の自分史上最高の状態が終わってしまう気がしたからだ。”
ゆんちゃんも言っていたように、連載開始時には全く冴えなかった芹那。
その時の『月刊リコリス』を引っ張り出して比べるまでもなく、芹那は別人みたいに変わっている。
全体的にシャープになり、目に力が宿って来た。少し猫背だった姿勢も今ではピンと背筋を伸ばし、歩き方も綺麗。目標を見つけて、頑張っている姿は美しい。とっても魅力的だ。
そして、それが分かるように描けるくれあセンセイの画力は、しみじみ素晴らしい。
僕、スクールに潜り込ませてもらおうかな。
同じ時期に失恋したのに、いつの間にか芹那は僕のずっと前にいる気がして、むずむずしてきた。
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