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第1章
第2話 捨て子じゃありません
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神和愛童修道園は、0歳から12歳までの親がいない、親が育てる事が出来ないなどの、様々な理由で身内から手放された子供たちを預かる、クリスチャン系私営の児童養護施設だ。
都内の端に位置し四方を山で囲まれた一見長閑な環境だが、見方を変えれば人里離れた場所で、逃げる事も出来ず監禁されかねない、そんな場所でもあったりする。 現在、園には11人の子供たちが暮らしているが、その生活ぶりはどんなに贔屓目に見ても、悪辣環境としか言えなかった。
修道園と言うくらいだから、教会だと思うところだが、建物は、辛うじて教会である。しかし現神父やシスターは、宗教とは無縁の詐欺師系人種だった。
そんな場所に子供たちと、この園出身者である皆瀬 守17歳と、同じく園出身の、皆瀬 愛と皆瀬 真子の16歳コンビの二人が、11人の子供たちの面倒を見ながら、施設の裏に作った畑で、自給自足に近い生活で、何とか暮らしていた。
三人とも同じ皆瀬の苗字だが血縁関係は無く、それぞれが捨て子だった為に今は亡き皆瀬 聖道神父の、養子として名づけられた結果であった。
国や地域からの助成金や寄付金も本来、それなりにあるはずだが、この修道園はどうやらよからぬ者達から詐取されまくっているようだった。もっともその犯人とも言える人物が、園長と似非シスターズなのだからどうにも救いようがなかった。
園長と似非シスターズ達は普段、施設から車で30分程度離れた街中にあるテナントマンションで、神和愛童修道園事務所と銘打って暮らしていた。施設に来るのは週に一度、子供たちが逃げ出さないようにする恫喝が目的で、弱い者を餌食にする典型的な小悪党だった。
10年前までは、貧乏なのは変わらないが優しい神父様と、英国出身のシスターが施設を運営していた。しかし神父が急死しシスターまでも病気になった時に、言葉巧みにシスターを騙し、新たに園長に就任したのが業突 取全だった。
シスターは病が悪化し、泣く泣く故郷へ帰って行ったのが、子供たちの不幸の始まりでもあった。
それでも唯一の救いは、業突が幼児愛好家ではないことだろう。愛人である似非シスターズは、二人共それぞれ毛色の違う豊満ボディの持ち主達で、修道服が不謹慎にもエロアイテムに見えてしまっていた。それが一部の黒い役人にはウケているらしく、様々な不正がまかり通る要因にもなっているようだった。
月一で行われる施設のバザーは、子供たちが唯一現金収入を得る大事なイベントであり、施設の裏で育てている野菜や鉢植えが、子供たちの財産でもあった。
寄付金などは、業突たちが、根こそぎ回収するが、野菜の微々たる売り上げは、業突曰く、子供たちへの善意の目溢しだと言って憚らなかった。
そんな大事なバザーを翌日に控え、準備に追われていた守は、教会の方から微かな鳴き声が聞こえた気がして足を止めた。
「なぁ真子、愛、何か聞こえなかったか? 」
「そうね、言われて見れば、子供たちの声とは違う鳴き声が聞こえたわ」
「子猫が迷い込んだか、様子を見て来る」
「「一緒に行くわ」」
「「…………」」
「あはは、相変わらず双子みたいに気が合うな」
三人はたわいない会話をしながら教会へ向かったが、そこで見つけたのは子猫ではなく、
生まれたばかりの赤ん坊だった。
おぎゃーおぎゃーおぎゃー《誰か~いませんか~》
おぎゃーおんぎゃーおんぎゃーおぎゃー《ここはどこでしょうか、だれかあ~》
「おいおい、誰だよこんなところに子供捨ててくヤツは!! 」
「守くん、まだ捨てられたと決まった訳じゃ…… 」
おぎゃーおぎゃーおぎゃ《捨て子? 私が? 》
「真子ちゃん、捨てられたんだよ、メモがあるわ。
よしよし、おいで抱っこしてあげるよ」
「…… 読むわよ。 この子の名前は、遠世 聖橙です。
訳あって、育てる事が出来ません。当面の生活費と
必要なものを入れておきました。どうかよろしくお願いします。
神の子らに祝福があらんことを」
三人は、そのメモの内容に憤りを抱かずにはいられなかった。着ている服も高級そうだし、生活費を置いて行くなら何故この施設に捨てていくのかと、この児童養護施設は底辺に位置する施設で、子供の幸せなんか何処にも無いのにと、重苦しい気分になっていった。
「…… ねえ、このお金」
「えーと、…… マジか! これヤバい金じゃねえの? 」
あぶぶぶうーぶぶーぶーあう《違います! 神からの準備金です》
捨て子「聖橙」の着替えと一緒に入っていた現金は、札束が20束の全て帯付きだった。二千万円の現金が当面の生活費って、この子は一体どんな素性の赤ちゃんなのだろうと、三人の頭の上には見事な?マークが点滅しているようであった。
都内の端に位置し四方を山で囲まれた一見長閑な環境だが、見方を変えれば人里離れた場所で、逃げる事も出来ず監禁されかねない、そんな場所でもあったりする。 現在、園には11人の子供たちが暮らしているが、その生活ぶりはどんなに贔屓目に見ても、悪辣環境としか言えなかった。
修道園と言うくらいだから、教会だと思うところだが、建物は、辛うじて教会である。しかし現神父やシスターは、宗教とは無縁の詐欺師系人種だった。
そんな場所に子供たちと、この園出身者である皆瀬 守17歳と、同じく園出身の、皆瀬 愛と皆瀬 真子の16歳コンビの二人が、11人の子供たちの面倒を見ながら、施設の裏に作った畑で、自給自足に近い生活で、何とか暮らしていた。
三人とも同じ皆瀬の苗字だが血縁関係は無く、それぞれが捨て子だった為に今は亡き皆瀬 聖道神父の、養子として名づけられた結果であった。
国や地域からの助成金や寄付金も本来、それなりにあるはずだが、この修道園はどうやらよからぬ者達から詐取されまくっているようだった。もっともその犯人とも言える人物が、園長と似非シスターズなのだからどうにも救いようがなかった。
園長と似非シスターズ達は普段、施設から車で30分程度離れた街中にあるテナントマンションで、神和愛童修道園事務所と銘打って暮らしていた。施設に来るのは週に一度、子供たちが逃げ出さないようにする恫喝が目的で、弱い者を餌食にする典型的な小悪党だった。
10年前までは、貧乏なのは変わらないが優しい神父様と、英国出身のシスターが施設を運営していた。しかし神父が急死しシスターまでも病気になった時に、言葉巧みにシスターを騙し、新たに園長に就任したのが業突 取全だった。
シスターは病が悪化し、泣く泣く故郷へ帰って行ったのが、子供たちの不幸の始まりでもあった。
それでも唯一の救いは、業突が幼児愛好家ではないことだろう。愛人である似非シスターズは、二人共それぞれ毛色の違う豊満ボディの持ち主達で、修道服が不謹慎にもエロアイテムに見えてしまっていた。それが一部の黒い役人にはウケているらしく、様々な不正がまかり通る要因にもなっているようだった。
月一で行われる施設のバザーは、子供たちが唯一現金収入を得る大事なイベントであり、施設の裏で育てている野菜や鉢植えが、子供たちの財産でもあった。
寄付金などは、業突たちが、根こそぎ回収するが、野菜の微々たる売り上げは、業突曰く、子供たちへの善意の目溢しだと言って憚らなかった。
そんな大事なバザーを翌日に控え、準備に追われていた守は、教会の方から微かな鳴き声が聞こえた気がして足を止めた。
「なぁ真子、愛、何か聞こえなかったか? 」
「そうね、言われて見れば、子供たちの声とは違う鳴き声が聞こえたわ」
「子猫が迷い込んだか、様子を見て来る」
「「一緒に行くわ」」
「「…………」」
「あはは、相変わらず双子みたいに気が合うな」
三人はたわいない会話をしながら教会へ向かったが、そこで見つけたのは子猫ではなく、
生まれたばかりの赤ん坊だった。
おぎゃーおぎゃーおぎゃー《誰か~いませんか~》
おぎゃーおんぎゃーおんぎゃーおぎゃー《ここはどこでしょうか、だれかあ~》
「おいおい、誰だよこんなところに子供捨ててくヤツは!! 」
「守くん、まだ捨てられたと決まった訳じゃ…… 」
おぎゃーおぎゃーおぎゃ《捨て子? 私が? 》
「真子ちゃん、捨てられたんだよ、メモがあるわ。
よしよし、おいで抱っこしてあげるよ」
「…… 読むわよ。 この子の名前は、遠世 聖橙です。
訳あって、育てる事が出来ません。当面の生活費と
必要なものを入れておきました。どうかよろしくお願いします。
神の子らに祝福があらんことを」
三人は、そのメモの内容に憤りを抱かずにはいられなかった。着ている服も高級そうだし、生活費を置いて行くなら何故この施設に捨てていくのかと、この児童養護施設は底辺に位置する施設で、子供の幸せなんか何処にも無いのにと、重苦しい気分になっていった。
「…… ねえ、このお金」
「えーと、…… マジか! これヤバい金じゃねえの? 」
あぶぶぶうーぶぶーぶーあう《違います! 神からの準備金です》
捨て子「聖橙」の着替えと一緒に入っていた現金は、札束が20束の全て帯付きだった。二千万円の現金が当面の生活費って、この子は一体どんな素性の赤ちゃんなのだろうと、三人の頭の上には見事な?マークが点滅しているようであった。
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