デジタル・ワルキューレ

夢月桜

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第二章

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 襲い掛かってきたスライムを倒し終えた私は、『フレンドファインド』機能を頼りに二人の元へ急いで向かった。

「奈々子!郷美ちゃん!おまたせ!」
「すみもっちゃん、スライム倒せたんだね!待ってたよ!」

 と郷美ちゃんは到着した私に声をかけた。

「奏波早速来てもらって悪いんだけど、薬草分けてもらえないかな?!切らしちゃって…!」

 と奈々子はゴブリンの棍棒をふるう攻撃を避けながら私に言った。
 パーティーにいる仲間がアイテムを切らしてしまった場合、アイテムを分けてあげるシステムがあるので私はそれを利用した。
 ゴブリンを倒しに行くクエストに行く前に奈々子と郷美ちゃんに教えてもらった。
 教えておかないと、わざわざ危ない中アイテムを渡しに突っ込んでいきそうな気がしたと二人に言われたので、内心むっとしたけれど、実際私もやらかしそうだなと思ったので教えてもらってよかったなと思っている。
 
「ありがと、奏波!助かった!いっけー!『微風プチウィンド』」

 私も奈々子に続いて『淡泡』を繰り出した。
 郷美ちゃんは危ないところを土の壁で守ってくれる。 

「すみもっちゃん、なんか技の威力上がったね!」
「うん、さっきレベルアップもして新しい技も覚えたんだ!」
「新しい技?へぇ~すごいじゃん!」
「たぶん…敵の攻撃の威力を減らす技なのかも?まだ使いどころはわからないけど、使いこなせるよう頑張るよ!」

 と話しているとゴブリンは私たちを守っていた『土守壁』を貼っていた郷美ちゃんに攻撃を仕掛けてきた。

「アタシのこと、攻撃できないって思わないでよね!『岩石落としストーンフォール』!」

 石の壁がゴブリンに直撃し、急所に当たったのかかなり弱り始めた。
 さすが私たちの中では一番の経験者だ。

「うわぁ…すごい威力」

 私は思わず口に出してしまった。

「これがアタシの唯一の攻撃技なんだ…。なんかMPの消費激しいし、発動は遅いしゴツくてかわいくないしでからあんまり使いたくないんだよね…」
「うへぇ~…」
「アタシも今のレベルじゃあ重要な場面で一、二回しかこの技打てないから…。もっとプレイしとかなきゃだなぁ~。あっそうだ、アタシはもうこのクエストクリアしてるからさ。すみもっちゃんとツッピーでゴブリン討伐のとどめ刺しちゃって!」
「じゃあお言葉に甘えて…」

 私と奈々子は二人で攻撃技を繰り出し、ゴブリンにとどめを刺し討伐したとこで初心者卒業クエスト『ゴブリンを倒せ!』をクリアしたのであった。

「やったー!初心者卒業ー!」
「おめでと、ツッピー!すみもっちゃんも昨日始めてもう初心者卒業ってすごいね!」
「ありがと…」

 今、私の顔曇ってなかったかな…?大丈夫そうだ。
 郷美ちゃんは私にもおめでとうと言ってくれたけど、なんでだろう…素直に喜べなかった。
 新しい技も覚えて、昨日よりレベルも上がったはずなのに…。
 言葉を詰まらせたことに気づかれなかったことが幸いだ。
 私はそんな心にモヤモヤをかかえながら、約束の土曜日を迎えることになる。



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