デジタル・ワルキューレ

夢月桜

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第二章

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 登校中、奈々子に出会う。

「奈々子~!おはよう~!」

 後ろから声をかけると奈々子は反応してくれる。

「おはよっ奏波!…ってなんか目のクマすごくない?まさか夜遅くまでワーツリやってたなぁ?」

 とニヤニヤしながら奈々子は言ってくる。
 まあ、あながち間違いではないんだけど…。
 ホロウさん関連のことは漏らさないことの方がいいだろうな。
 大切な友達の奈々子が危険に巻き込まれるなんてこと、あって欲しくないもん。

「奈々子と解散した後少しだけね。ほんの少し、30分くらいだよ」
「ハマってくれた?」
「うん!私も早く強くなりたいなって思った」
「ようこそ、こちら側の世界へ…」

 奈々子は二マァっと笑いながらそう言った。
 私は奈々子のそんな顔が面白くて少し吹き出して笑ってしまう。

「奏波、私の顔を見て笑ったな~???」
「ごめん、笑った。本当に面白い顔してたもん」
「友達を笑顔にできたなら、私も面白い顔した甲斐があった!うん、よかったよかった!」
「奈々子のポジティブ思考なところホントすごいね」
「まあ、そこが私の取り柄ですので!」

 とドヤ顔をする奈々子。

「んで、そのクマの原因はなぁに?まさか恋のお悩みとか?!」
「いや、それは無い。ただなんか変な夢を見ちゃって…。怖い夢ではないんだけど不思議な感じはあって…。リアルじゃないけどリアル感があるみたいな…。言語化すると余計わけわかん無くなるから内容は説明できないんだけど…。それでこう…寝た気がしないな~ってだけ」
「あー、私もあるなぁそんなこと。この前テレビで見たんだけど、寝る前に辛いもの食べたら変な夢見る確率増えるらしいよ」
「へぇ~そうなんだぁ…。気をつけよう…」

 雪菜さんとのことを『変な夢』と言葉1つで片付けてしまったことを申し訳なく思っている私がいる。
 寝る前に辛いものを食べたら変な夢見やすくなるって言うのなら、実際に食べてみたら雪菜さんに会える確率が高くなるのかな?
 辛いもの…カレーは中辛はが限界だけど試してみようかな。 
 こんなこと試してみたらホロウさんに呆れられそうだけど…。
 私でも役に立てることやってみなきゃ!
 あと時間が許す限りワーツリをレベルアップさせて足でまといにはならないようにしないと…!
 今使える技、一つだけだから…。

「奏波、本当に変な夢だけが原因?なんか難しいこと考えてる?」
「えっ?!そんなことないよ?」
「ならいいんだけど…。あんた中学の時も…あっごめん今のなし!なんでもない!」

 中学生の頃の話を持ち出したってことは…私、ちょっと思い詰めた顔してたのかな…。
 奈々子とは小学生の頃からの付き合い…いわゆる幼なじみだ。
 人生の半分以上は彼女と過ごしてきた。
 それもあって当然私が肩の怪我が理由で治っているのにもかかわらず水泳から逃げていると言うことに気がついていることだろう。
 でも空気が悪くなると思って話を途中でやめたんだな。
 私ったら本当に不甲斐ないな…。
 逃げている私のことを心配してくれるから本当に優しい子だな…、奈々子は。
 だからこそ、雪菜さん関連のことは隠しておこう。
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