浮気でレベルアップ

日本統一編

22.山王の過去4

「はーちゃん昨日寝れた？」
霞があくびをしながら問いかける。
「全然、ワクワクしすぎて寝れなかったよ」
日本の最先端技術が揃う場所だ。いくら高校生でもテンションが上がり探検ぐらいしたくなる。
「それで男子たちは寝坊かー」
馬鹿やってるね。と二人で笑い合った。
「そろそろ訓練行くよ！起きろー！」
霞が朝ドタバタしている時の母親の様な声で叫ぶ。
「おはよー霞、早いね」
風吹も起きたばっかで目が開かない。
「普通よだよ！ほらりゅうちゃんとそうちゃんも行くよ！」
笑いながら3人をベットから引きずり下ろし訓練場に連れて行く。
（やっぱ、霞ちゃんには敵わないな）
覇李は苦笑いしながらも尊敬の目で霞を見る。
「おぉ、やっと来たか」
「え、なんでよっしーさんが居るんだ？」
龍雄も目が覚めてきて質問を投げる。
「わしが君たちに色々教える先生だ。よろしく頼む」
例外らしい。校長である芳樹自らが教える立場に回るとは、学園の職員と生徒全員が驚いた。
「わしが教えるのは大きく分けて３つ。座学、模擬戦、能力の使い方じゃ」
訓練が始まった。最初は分からないことだらけだった。座学と言っても高校の範囲は2週間で終わらせてしまい、その後からは政府や能力、戦い方について学んだ。ここで5人の中で秀でていたのは風吹だ。高校の内容を1週間で終わらせると、政府、能力、戦い方全てをスポンジの様に吸収していった。
模擬戦では武器の使い方、相手の急所の見つけ方、戦略について学んだ。覇李と龍雄はみるみる力をつけていき、学園の教師では手に負えなくなるほどに成長した。覇李が21の歳までこれをひたすら繰り返した。そして、
全員に能力が分け与えられるだろう、2050年。
「兄さんすごいね、先生たちもみんな言ってるよ。学園史上最高の天才って」
「普通だよ、お前だっていつも俺に次いで2位だろ？誇っていいと思うぞ」
風吹がそう言うと蒼太は顔を赤らめた。
「まー天才で言ったらあの2人だろ。教師をも圧倒する強さ。学園史上、いや日本史上最強の2人だぞ」
覇李の天才的な運動スキルとテクニック、龍雄の圧倒的な力と体幹。どちらも日本を過去から見ても3本指に入るほどの天才に成長していた。
「天才って言葉じゃ足りないくらいね」
霞が2人をべた褒めする。
『い、いやーそれほどでもあるかなー？』
ニヤけた口は気持ち悪いぐらいにフニャフニャで見るからに嬉しそうな顔だった。
「雑談もそのくらいにして、未来テレビ通りだと後5分じゃぞ」
『先生！』
芳樹も合わさり6人で空を見上げた。
2050年10月2日0時00分。
光が降り注いだ。そして、覇李たち18歳を越す大人たちに能力が発現した。