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向き合う時
会いたい者と会いたくない者
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時計は0時を回る。静かに玄関の戸が開けられた。恐る恐る中に入ってくる人物がいる。
誰も起きてこないことを確認してホッと息を吐く。
「何こそこそしてるんですか?」
急に後ろから声が聞こえて、ついうわっと声を漏らした。胸に手を当てて
「びっくりさせないでください。心臓が止まるかと思いました。」
「・・声を抑えてください。筒夏が起きてしまいます。」
そういう時慌てて口を押さえる。
「ちゃんと来てくれたんですね・・」
小さい声で喋る。
「夕飯はどうしますか?」
「大丈夫です。繋家で食べて来ましたので。」
「そうですか。では、お風呂にどうぞ。沸かしてあります。ごゆっくり」
千冬は目の前の人物が脱衣所に行きなんだかホッとしている。
「ねぇ、千冬。」
階段を降りる音と共に声が聞こえる。
「つーちゃん?」
「大きな音がした気がするんだけど」
目を擦りながら階段を降りてくる。
「寝ててよかったのに。」
「いや、気になって。」
「物を落としただけだよ。気にしないで。」
「本当に?何も持ってないのに本当に落としただけ?」
「大丈夫だよ。」
「そう」
筒夏は千冬を睨む。睨むで階段を上がる。
「はぁ・・・綾子さん。筒夏がここにいたら綾子さんこそ休めないんじゃ・・」
誰もいないただの独り言。それでも言いたくなってしまった。
「・・・2人にはそれぞれ別の場所でゆっくりしてもらいたかった・・、ここじゃあ誰一人ゆっくりできない。」
時計は4時を指している。目を覚ましてしまった。この時間、いつもは志綾と訓練していたから。
「・・・」
スマホを持ってベットに寝転がる。色々いじっていたら不在着信がきていたことに気がついた。
「・・志綾様。」
筒夏は時間を確認する。3時少し前にかかって来ていた。なら電話して良いかなと思い電話をかける。スマホを耳に当てる。なぜかすごく心臓がドクドク言っている。
『あっ、ごめんなさい。筒夏さん』
と志綾の声が聞こえる。
『起こしてしまいましたよね?』
「うんん。今さっき起きたばっかりです。」
『すみません。迷惑だと思ったんです。でも、どうしても心配で。』
筒夏は泣きそうだ。
『筒夏さん?』
「志綾様がっ電話くれてとっても嬉しいです。」
まだ1日しか離れていないのになんだか恋しい。
『えっーとそれで。今桜川家に向かっていまして・・。あっ!ちゃんとお母様達には言ってあります。ごめんなさい。勝手に。』
筒夏は口が開きっぱなしで止まっている。
『筒夏さん?』
「し、志綾様?今、いまなんと言いました?」
『いま、そちらに向かっているのですが・・』
「な!ど、どうしてですか?」
『筒夏さんだけでは心配で。』
「ど、どこにいるんですか?使いは?」
『ひ、ひとり・・です』
「い、いま迎えに迎えに行くので場所をあっ、GPS。見ていくのでそこで待っていてください。絶対、勝手に一人でいなくならないでください。」
筒夏は慌ててベットから降り、簡単にパジャマを脱ぐ。
『筒夏さん!大丈夫ですよ!私は中学生です!もう一人で大丈夫です。気になさらないでください。』
「何言ってるんですか!貴方は繋家の人間なのですよ!普通の中学生と違うんです。待っていてくださいね!」
電話は切らない。それでもスマホを耳から外す。ワイヤレスイヤホンを耳にはめ、スマホを机に置いた。簡単に服を漁り着る。スマホを持って部屋を出る。階段を踏み外さないように慎重に降りつつ急ぐ。
『筒夏さん、聞いていますか?』
イヤホンでは志綾が名前を呼んでくれている。
「つーちゃん?」
「げっ」
「どこかいくの?」
「さ、散歩。」
「ふぅーん。」
「な、なに?」
千冬は筒夏に近づく。じーっと見てから素早く耳にはめたイヤホンを取った。そのイヤホンを自分の耳にはめる。
『筒夏さん!聞いてください。筒夏さん』
「これ・・」
『筒夏さんですか?』
「返して。」
筒夏を見てからイヤホンを筒夏に返した。
「志綾様?」
千冬が首を傾げながらイヤホンに向けて指を指す。
「じゃあ、行ってくるから」
「まって・・」
千冬の声を無視して玄関から出ようとする。
「何を騒いでいるのですか?」
「えっ・・・」
筒夏の表情は驚きから段々と曇っていく。
「朝から、まだ4時ですよ。何をしているのですか?」
「な、なんで・・帰ってこないんじゃ」
『筒夏さん。大丈夫ですか?筒夏さん』
「・・・千冬。どういうこと?」
「・・夜帰ってきたんだよ。」
「あ、あの時の物音って・・。」
筒夏は躊躇いつつもドアを開けて外に逃げる。
「千冬。追いかけてください。」
「・・・はい。」
誰も起きてこないことを確認してホッと息を吐く。
「何こそこそしてるんですか?」
急に後ろから声が聞こえて、ついうわっと声を漏らした。胸に手を当てて
「びっくりさせないでください。心臓が止まるかと思いました。」
「・・声を抑えてください。筒夏が起きてしまいます。」
そういう時慌てて口を押さえる。
「ちゃんと来てくれたんですね・・」
小さい声で喋る。
「夕飯はどうしますか?」
「大丈夫です。繋家で食べて来ましたので。」
「そうですか。では、お風呂にどうぞ。沸かしてあります。ごゆっくり」
千冬は目の前の人物が脱衣所に行きなんだかホッとしている。
「ねぇ、千冬。」
階段を降りる音と共に声が聞こえる。
「つーちゃん?」
「大きな音がした気がするんだけど」
目を擦りながら階段を降りてくる。
「寝ててよかったのに。」
「いや、気になって。」
「物を落としただけだよ。気にしないで。」
「本当に?何も持ってないのに本当に落としただけ?」
「大丈夫だよ。」
「そう」
筒夏は千冬を睨む。睨むで階段を上がる。
「はぁ・・・綾子さん。筒夏がここにいたら綾子さんこそ休めないんじゃ・・」
誰もいないただの独り言。それでも言いたくなってしまった。
「・・・2人にはそれぞれ別の場所でゆっくりしてもらいたかった・・、ここじゃあ誰一人ゆっくりできない。」
時計は4時を指している。目を覚ましてしまった。この時間、いつもは志綾と訓練していたから。
「・・・」
スマホを持ってベットに寝転がる。色々いじっていたら不在着信がきていたことに気がついた。
「・・志綾様。」
筒夏は時間を確認する。3時少し前にかかって来ていた。なら電話して良いかなと思い電話をかける。スマホを耳に当てる。なぜかすごく心臓がドクドク言っている。
『あっ、ごめんなさい。筒夏さん』
と志綾の声が聞こえる。
『起こしてしまいましたよね?』
「うんん。今さっき起きたばっかりです。」
『すみません。迷惑だと思ったんです。でも、どうしても心配で。』
筒夏は泣きそうだ。
『筒夏さん?』
「志綾様がっ電話くれてとっても嬉しいです。」
まだ1日しか離れていないのになんだか恋しい。
『えっーとそれで。今桜川家に向かっていまして・・。あっ!ちゃんとお母様達には言ってあります。ごめんなさい。勝手に。』
筒夏は口が開きっぱなしで止まっている。
『筒夏さん?』
「し、志綾様?今、いまなんと言いました?」
『いま、そちらに向かっているのですが・・』
「な!ど、どうしてですか?」
『筒夏さんだけでは心配で。』
「ど、どこにいるんですか?使いは?」
『ひ、ひとり・・です』
「い、いま迎えに迎えに行くので場所をあっ、GPS。見ていくのでそこで待っていてください。絶対、勝手に一人でいなくならないでください。」
筒夏は慌ててベットから降り、簡単にパジャマを脱ぐ。
『筒夏さん!大丈夫ですよ!私は中学生です!もう一人で大丈夫です。気になさらないでください。』
「何言ってるんですか!貴方は繋家の人間なのですよ!普通の中学生と違うんです。待っていてくださいね!」
電話は切らない。それでもスマホを耳から外す。ワイヤレスイヤホンを耳にはめ、スマホを机に置いた。簡単に服を漁り着る。スマホを持って部屋を出る。階段を踏み外さないように慎重に降りつつ急ぐ。
『筒夏さん、聞いていますか?』
イヤホンでは志綾が名前を呼んでくれている。
「つーちゃん?」
「げっ」
「どこかいくの?」
「さ、散歩。」
「ふぅーん。」
「な、なに?」
千冬は筒夏に近づく。じーっと見てから素早く耳にはめたイヤホンを取った。そのイヤホンを自分の耳にはめる。
『筒夏さん!聞いてください。筒夏さん』
「これ・・」
『筒夏さんですか?』
「返して。」
筒夏を見てからイヤホンを筒夏に返した。
「志綾様?」
千冬が首を傾げながらイヤホンに向けて指を指す。
「じゃあ、行ってくるから」
「まって・・」
千冬の声を無視して玄関から出ようとする。
「何を騒いでいるのですか?」
「えっ・・・」
筒夏の表情は驚きから段々と曇っていく。
「朝から、まだ4時ですよ。何をしているのですか?」
「な、なんで・・帰ってこないんじゃ」
『筒夏さん。大丈夫ですか?筒夏さん』
「・・・千冬。どういうこと?」
「・・夜帰ってきたんだよ。」
「あ、あの時の物音って・・。」
筒夏は躊躇いつつもドアを開けて外に逃げる。
「千冬。追いかけてください。」
「・・・はい。」
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