越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢

文字の大きさ
上 下
181 / 281
向き合う時

進学先

しおりを挟む
 修学旅行の余韻も抜けてきた頃。そろそろ最初に受験する高校を選ぶ期間。

 「しずくさん。今まで聞けなかったんでけど、もう決めたんですか?」
 「もちろん!志綾しあちゃんと一緒の高校。」
 「えっ!だ、だめですよ!自分が行きたい高校を選ばないと!」
 「行きたいところだもん!」
 「ほんとですか?」
 「うん!」
 「雫さんも推薦ですか?」
 「うんん。推薦は取れなかった。当たり前だよ。問題起こしすぎだんもん。A組でも品性が良くなかったら取れない。」
 「そうですか・・・」
 「志綾ちゃんは推薦でしょう?」
 「はい。推薦を取れたのは雫さんを除いて順位が5位以内の方達らしいです。」
 「て、ことは?もしかして」
 「態度が良ければ推薦は確実でしたね。雫さん今、4位なので。」
 「うわぁん!惜しいことした!」
 「推薦を取れたからって勉強をしないと言うわけではありませんので、頑張りましょう。」
 「うん!」

 教室で雫と話す。

 「そういえば、もう推薦事情を知ってるってことは順位が張り出されてるの?」
 「はい。」
 「見てないや!」
 「雫さんは変わらず4位でしたよ。雫さんもわかっていたみたいですけど」
 「そりゃあね。成績表返ってくるから。私が見たいのは他の生徒の。志綾ちゃん1位?」
 「では、雫さんのために1位から10位まで教えてあげます。」
 雫は拍手する。ごほんっと咳払いをして
 「1位かなめ茶泉とい同数で、
 2位つなぎ志綾。(同数の時は出席番号で順位が決まる)
 3位霜野しもの悠華ゆうか
 4位物槨令ものかくれ雫。
 5位登坂とさかゆう(54話勝負というお話に出てくる3人のうち1人)
 6位要雪都ゆきと
 7位侑李ゆうり将暉まさき(優と一緒にいた1人)
 8位水面みなもこお
 9位水面つい
10位みちびなつ

 です。」

 「さすが水面兄妹。双子だね。」
 「それもあると思いますが、2人の努力の結果の方が大きいですよ。」
 「そっちだ!てか、雪都。推薦取れなかったんだ。」
 「惜しかったんですけどね。でも、いつもの調子で『もっと頑張る~』と言っていました。」
 「うんうん!ねね、登坂優?と侑李将暉って誰?」

 記憶があやふやなのか名前の最後にはてなをつける。

 「そいつは名前で俺たちにお金を取ろうとした奴らだ。」

 急に後ろから声がした。
 「茶泉様!」
 「うげぇ、」
 「もう、用事は済んだんですか?」
 「あぁ。」

 「取ろうとした?」
 「一年の頃の話ですよ。茶泉様。お二人は頑張ってA組に戻って来たのですから。もう良いじゃないですか。」
 「お、お二人は?」
 「3人いたんだ。1人は頑張れず退学。」
 「かわいそっ」
 「自業自得だけどな。」
 
 志綾が手を合わせて叩く。

 「人の噂話は終わりです。ほら、茶泉様も雫さんも次の授業の準備をしましょう?気を抜けてはいけません。」

 「志綾。ごめんな。」
 「ど、どう言う意味でしょうか?」
 「俺は、志綾とは別の高校を受ける。悪い」
 「・・・そんなことでしたか。いえ。茶泉様の行きたい場所を言ってください。私のことは気になさらず。」


 茶泉は頷いて自分の席に戻っていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

指導係は捕食者でした

でみず
BL
新入社員の氷鷹(ひだか)は、強面で寡黙な先輩・獅堂(しどう)のもとで研修を受けることになり、毎日緊張しながら業務をこなしていた。厳しい指導に怯えながらも、彼の的確なアドバイスに助けられ、少しずつ成長を実感していく。しかしある日、退社後に突然食事に誘われ、予想もしなかった告白を受ける。動揺しながらも彼との時間を重ねるうちに、氷鷹は獅堂の不器用な優しさに触れ、次第に恐怖とは異なる感情を抱くようになる。やがて二人の関係は、秘密のキスと触れ合いを交わすものへと変化していく。冷徹な猛獣のような男に捕らえられ、臆病な草食動物のように縮こまっていた氷鷹は、やがてその腕の中で溶かされるのだった――。

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

僕のために、忘れていて

ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

息の仕方を教えてよ。

15
BL
コポコポ、コポコポ。 海の中から空を見上げる。 ああ、やっと終わるんだと思っていた。 人間は酸素がないと生きていけないのに、どうしてか僕はこの海の中にいる方が苦しくない。 そうか、もしかしたら僕は人魚だったのかもしれない。 いや、人魚なんて大それたものではなくただの魚? そんなことを沈みながら考えていた。 そしてそのまま目を閉じる。 次に目が覚めた時、そこはふわふわのベッドの上だった。 話自体は書き終えています。 12日まで一日一話短いですが更新されます。 ぎゅっと詰め込んでしまったので駆け足です。

出戻り聖女はもう泣かない

たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。 男だけど元聖女。 一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。 「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」 出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。 ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。 表紙絵:CK2さま

処理中です...