越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢

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向き合う時

楽しかった

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 「あっ、もうこんな時間ですか。」
 リビングでしずくとテレビゲームをしている時、時計が目に入った。19時を回っている。
 「もう~。」
 「時間は早いですね。そろそろお暇しようと思います。夜遅くまですみません。」
 「もっといてほしい~」
 「明日学校ですから。」
 「じゃあ次は、泊まりに来てよ!泊まろ泊まろ。」
 「わぁ!素敵です!」
 「約束!」
 「はい!」

 「志綾しあさん。これ簡単なものだけど。持っていって。」
 日和ひよりが保存容器に入った夕飯の残り物を志綾に渡した。
 「ありがとうございます。また来ますね。」

 志綾は荷物をまとめて、玄関に向かう。
 「私、送ってくるね。」
 「いえ、もう暗いので大丈夫ですよ。ありがとうございます。」
 「暗いからこそだよ!」
 「大丈夫ですよ。私はこれでも男なので。」
 「男・・・。」
 「雫さんと日和さんの前だけですけどね。」
 「分かった。じゃあ気をつけてね。」
 「はい。お邪魔しました。」
 ドアを開けて、外に出る。外は真っ暗だった。
 「はぁ。」
 歩きながらため息をつく。
 「疲れました・・・」
 独り言を呟きながら、今の楽しかった思い出を振り返る。
 「疲れましたが、最高の1日でした。また、遊びたいです。」

 独り言の声は小さい。それでも何かを発していないと落ち着かない。
 
 「ほんと、雫さんを連れ出さなくて良かった。だって・・・こんなシーン、見せなくない。私の一番最初にできた友達に。」


 
 その瞬間、志綾は後ろに向かって足を伸ばした。力強く。後ろから呻き声が聞こえ、振り返る。
 「貴方誰?」
 「ちっ。」

 黒い服を着てあからさまに人を拉致そうな雰囲気。
 「誰?」
 「言うわけ!」
 「答えて。」

 お腹あたりに足を乗っける。少しだけ足に力を入れながら「答えて」ともう一度言う。
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