越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢

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向き合う時

お風呂で

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 あの日以来、物槨令ものかくれ志綾しあを邪魔することは無くなった。

 「志綾ちゃん~。疲れたー」
 机の上でグデッと手を前に広げた。

 「お疲れ様です。しずくさん。」
 物槨令はうーんと返事する。そこに近づいてくる人物がいた。
 「志綾。話があるんだけど」
 物槨令をチラチラ見ながら志綾に話しかけたのはなつだった。
 「はい!昼休みにここに来てください。」
 「分かった。」
 物槨令は睨むように夏を見ている。
 「じゃ、あ俺は」
と去っていった。

 「そろそろ修学旅行ですね。」
 「うーね。」
 「楽しみだなぁ。志綾ちゃんと一緒の『お風呂』!あー、水掛け合って、体洗いっこして・・・
 
 物槨令は手を願うように胸持ってきて目をつぶりながらそう呟いている。

 「残念だが、修学旅行での入浴は個室だからな。」
 まだ残っていた担任砂長すながが物槨令に向かってピシッと言い放つ。

 ほっとしたのが志綾が胸を撫で下ろした。

 「え~!先生~。思い出作り!」
 「去年行った、ある班が物槨令と同じようなことをして、学校に苦情が入った。だから、今年から入浴は個人で部屋についてある浴槽を使うこと。」
 「何それー私達関係ないじゃん~」
 「それでもさっき物槨令は言っただろ?迷惑行為をすると自白していただろ?」
 「うわぁ~。まだやると決まってないのに!」
 「し、雫さん。私は個別の方が嬉しいです。」

 そう言った志綾に物槨令は「なんで」と言う。隣にいた茶泉といが「物槨令うるさい」と言われてべっーと舌を出して顔を膨らませて正面を向いた。
 
 いつの間にかいなくなった砂長。

 「茶泉様。もし、大浴場とかになってしまったら、私はどっちに入ればいいのですか?」
 茶泉にそう質問した志綾。その言葉を聞いて物槨令は何か思い出した。「あ、」と声を上げた。
 「雫さん?」
 「そうだよね?そうだよね?ごめん。ごめんね。」
 志綾の手を握って謝ってくる。
 「どうしたんですか?」
 「そうだよ。志綾ちゃんは志綾ちゃんだも。ごめん。忘れてた。」
 「大丈夫ですよ。」
 
 「どっちでもいいと思う。志綾が入りたい方で。」
 「それは・・良いのでしょう。私が女湯に入ってしまったら問題になると思いますし、男湯もまた騒ぎになってしまいます。」
 「ん?志綾ちゃん。簡単な話だよ。」
 「何がですか?」
 「見られたくないなら先生に女の子の日と言えば良いんだよ!そしたらきっと1人で入れると思うよ!きっとね!」
 「最終手段ですね。」
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