越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢

文字の大きさ
上 下
155 / 281
向き合う時

以来

しおりを挟む
 「志綾しあちゃん。」
 「志綾。」

 2人は私を見つめて名前を呼ぶ。

 「あの、こおさん。キャラ設定どうしたんですか?」
 
 あの事件以来氷さんとしずくさんから学校で何回も同じ質問をされる。2人も配慮してくれているのか、周りに生徒がいないのを確かめてから。

 「志綾。話を逸らすから、戻せないんだ。」
 「話を逸らしてあるつもりは無いんですが・・・私はちゃんと話していますよ。」
 「答えが違うの。」
 「私の答えがお2人の考え通りでないことは知っています。ですが、私の答えは・・・ずっと言っています。今更答えを変えるつもりもありません。」
 「志綾ちゃん。本心を言わないと私達には伝わらないよ」
 「私は本心を言っています。」
 「じゃあ志飛しとにかわ・・・ん」
 雫さんが志飛と言おうとする前に私は口を押さえた。
 「あれ?何やってるの?」
 「つい。」
 「お兄ちゃん、最近志綾ちゃん達と仲良いね。」
 「どうしましたか?水さん。」
 「こんな人気のないところで何やってるのかなって気になっただけだよ。あ、そうだ。お兄ちゃんに言わないといけないことあったんだ。お兄ちゃん、今日の夜叔父さんが家に来るって。夕飯食べに行こうだってさ。」
 「ッ・・分かった。ありがとう。」
 「うんん。じゃあね。3人とも。」 
 「はい。」
 雫さんの口から手を離す。雫さんは「あぶな」と溢した。
 「気をつけてください。」
 「ごめんなさい。」
 「氷さん?大丈夫ですか?」
 「あぁ。取り敢えず、今日はもういいや。」
 「今日だけではなくもう辞めてください。どれだけ聞いてこようが私の意見は変わりませんからね?」
 そう言うと氷さんは何も言わずに戻って行った。
 「帰りましょう。雫さん。」
 「うん。」
 
 
 
 



    





 僕は、血の繋がりが嫌いだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕のために、忘れていて

ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

息の仕方を教えてよ。

15
BL
コポコポ、コポコポ。 海の中から空を見上げる。 ああ、やっと終わるんだと思っていた。 人間は酸素がないと生きていけないのに、どうしてか僕はこの海の中にいる方が苦しくない。 そうか、もしかしたら僕は人魚だったのかもしれない。 いや、人魚なんて大それたものではなくただの魚? そんなことを沈みながら考えていた。 そしてそのまま目を閉じる。 次に目が覚めた時、そこはふわふわのベッドの上だった。 話自体は書き終えています。 12日まで一日一話短いですが更新されます。 ぎゅっと詰め込んでしまったので駆け足です。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

処理中です...