越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢

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向き合う時

私は(2)

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 物槨令ものかくれはまだ人質にとられている。それでも志飛しとこおに近づいて行く。物槨令を引きずるように一歩、一歩と後ろに下がる。
 「近づかないで!」
 氷は叫ぶ。
 「じゃあ雫を離せ。氷。」
 「見えないの?このナイフがッ」
 一生懸命、志飛に見せつける。それでも近づくことをやめない。
 「氷には出来ないよ。だって優しいから。」
 「なっ・・・根拠がない」
 「・・・お前を調べたことある。親からは見放され、唯一の兄妹はついだけ。水の兄は健常者じゃないと水がいじめられないよう氷は誰とも関わらないようにした。関わったら、バレちゃうから。それから影と言うバイトも始めた。水に食べさせてあげるために親は2人に何もしない。だから氷が全てやっていた。」
 「聞きたくない。」
 「聞け。聞きたくないことでも、現実なんだから、聞かないといけない!」
 「僕のことなんか良いんだよ。それより物槨令でしょう?」
 ナイフで首筋に先をつけた。血が物槨令の綺麗な首を伝う。
 「・・・」
 「・・・し、しと?」
 ずっと寝ていた物槨令が目を覚ました。
 「起きたか。」
 「わわ。何この状況。」
 「・・・こ、かげ
 「だぁーれが危険だ!私はか弱い女性ですよー」
 物槨令の口調が変わる。
 氷はビクッと反応を示す。離そうか迷っているように志飛には見えた。
 「・・・はぁ」

 志飛はゆっくり、氷に近づいていく。今の氷は迷っているから志飛のことは気づかない。

 氷は1つ悩むと2つは悩めない。一つが解決しない限り。

 1つ目が物槨令を離すか離さないか

 2つ目は志飛が近づいてくること。

 2つ目は氷にとって1つ目より大事ではない。だから、志飛が近づこうか何も言わない。

 悩んでいる間に志飛は肩を叩いた。
 「捕まえた。」
 そう言うと恐怖、驚きの表情をする。
 「なっ・・」
 「ごめん。少しの間眠っていて」
 そう言って気絶をさせた。
 
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