越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢

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向き合う時

こう言う時に限って

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 志綾しあは急いで一階まで降りた。
 「志綾!」
 茶泉といも呼びかけながら、見失わないようについていく。下校しようとしている生徒たちからは痛い視線を浴びる。
 「・・・・」
 無言で、ただひたすら、校舎を出ることしか考えていない。
 玄関まで行き、靴を履き替えずに校舎を出た。茶泉も同じように履き替えなかった。
 「しずくさん!」
 やっとここで、声を出す。今まさに物槨令ものかくれは車に入れられた。最後、口パクだったが「志綾ちゃん」と言ったように見えた。走って、走って車がについた時、志綾は手を握る。そこから血が滴り落ちる。
 後から追いついた茶泉が志綾の手を見た。茶泉は口を手で隠す。
 「茶泉様。見ないでください。」
 茶泉に気がついた志綾が隠すように胸に持っていった。
 「志綾。まさか・・・」
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