越えられない壁で僕らの幸せは・・・

向き合う時

寂しく・・・

　班は取り敢えず決まったが、誰が誰と組んだか担任は教えてくれなかった。
　
　「茶泉とい様。教えてくださいよ。誰と組んだですか？」
　「聞かないで」
　「私も気になる。要かなめ。志綾しあちゃんが言うんだ。教えろ。」
　「雫しずくさん。口調・・茶泉様にも何か考えがあると思いますよ。」
　「志綾ちゃんがそう言うなら私も我慢する・・・」
　志綾は下を向いた物槨令ものかくれの頭を撫でた。物槨令は照れたようにニコニコになった。
　「ちょろ～」
　「雪都さん」
　聞こえていますよと目線で雪都に訴える。
　「それにしても・・・」
　「志綾ちゃんー」
　撫でている手を止めた志綾に物槨令はプスっと膨れ顔を作る。
　「・・・それにしても、賑やかになりましたね。昔は静かだったのに・・・」

　クラスを眺めて、そう呟いた。
　「あ、」
　黒板の近くで喋っている男子生徒が目に入った。夏輝斗かきとだ。
　夏輝斗は楽しそうに他の男子生徒と喋っていた。

　少しだけ寂しく思った。