越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢

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向き合う時

約束できなかった

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 志綾しあちゃんと喧嘩みたいになってしまったあの時から、私は志綾ちゃんに連絡することができなかった。遊ぶ約束だってしたかった。だけど、どんな顔をして会えばいいのかわからない。きっと志綾ちゃんは素知らぬ顔をして楽しそうに私と話すだろう。胸が痛い。苦しい。前までは私だけのものって思ってた。かなめには、一生勝つことができないんだろうって自覚した。私だって女だ。男である志綾ちゃんのこと好きになってもおかしくない。たとえ要が男だとしても、それは、伝統だから仕方ないのかもしれない。私はそれで志綾ちゃんを差別する事は無い。だって私が惚れたのは女の志綾ちゃんだ。男だと知ったときどこか胸が気持ち悪くなった。本来嬉しいはずなのに、心がざわついた。胸が気持ち悪くなって吐き気がした。
 志綾ちゃんは女の子だ。男なんかじゃない、私が嫌いな男の人なんか。
 そんなの許さない。志綾ちゃんは女で私の味方で、私の大切な人で、私のことを不幸にする男共とは違う。
 信じられない思いと信じてしまう思いが、私の心の中で行き交う。
 でも、自覚してしまったんだ、本当に志綾ちゃんは男の人だったんだだなと。ショックじゃなかったと言えば、嘘になるが必然的に要よりはチャンスはあるかなと簡単にそう思ってた。でも志綾ちゃんと要のことを見ていると私といる時より楽しそうで私の入る隙はないなぁと感じた。

 志綾ちゃんの事大好きだ。

 私に何か隠し事があることを知っている。

 私に話さない理由も知っている。

 それは私には関係ないことだから

 私には迷惑かけられないと思っているから

 私を巻き込みたくないと思っているから

 私は・・・・・私を大事にしてくれる志綾ちゃんのこととても好きだけどどこか悲しい・・

 私は、頼ってほしい

 私は、迷惑だと思っていない

 私は、巻き込まれたい

 私は、志綾ちゃんならどんな話でも受け入れるそれがたとえ世間一般では受け入れられない話だとしても私は受け入れる覚悟を持っている。そのことを話したところ志綾ちゃんが話すとは思っていない。それでもいつかは私を頼ってくれると心の中で思ってる思っているんだ。

 思っているだけじゃダメなのかもしれないけど・・・今はまだ思っている事しかできない。

 ほんとにほんとに、もっと、もっと、私が大人だったら、志綾ちゃんに頼ってもらえるほどの大人だったら、もっともっと、優しく、心の底から大切に思える親友だったら。親友に恋愛感情を抱かない私だったら。

 志綾ちゃんは、私を頼ってくれていたのだろうか?

 あぁ、そうならよかったな。

 戻れるなら志綾ちゃんに会う前の私に戻りたい。
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