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本格的に
初めて
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咲泉は目の前にいる荼泉を見つめて様子を伺う。今の荼泉はどこか気まずそうな顔をしていた。
「咲泉兄様はいつから殺しをしていたんですか?」
「・・・私は」
咲泉はどこか言い躊躇っているようにも思える。
「咲泉兄様?」
「あ、ごめん。私がいつから人を殺めているかだよね。」
「言いずらいなら言わなくても大丈夫です」
「うんん。今まで聞かれてたことなかったから。」
「そうなんですか?」
「うん。そうだね・・・」
咲泉は思い出すのと同時に話し出した。
最初の一人を殺した時のことをはっきり覚えてる。今まで経験したことのない感覚が俺の手を俺の思考をぐちゃぐちゃに変える。
初めて殺したのは中年代の男。私はまだ5歳の時。まだ二人とも生まれていない。
「咲泉。こいつを始末してくるんだ。いいか?殺すんだぞ」
父さんが小さい頃のまだ『私』ではなくて『僕』だった私に言う。
「はーい。」
可愛らしく幼い子で言っていたから、殺しに行く雰囲気ではなかった。だけど現実はそう甘くはない。
中年代の男は若い女を狙って殺していた犯罪者。それと同時に下着泥棒でもあった。
「咲泉様。お供しましょうか?」
まだ私の側近だった使い長。
「うんん。僕一人で行ける!」
「そうですか?気をつけてくださいね。」
「うん!」
殺めた場所は廃工場。廃工場はいろんな武器になるものが山ほどあると教えてもらっていたから、そこでやると前もって決めていた。
中年代の男が現れたのは罠を仕掛けた家だった。家には女装をした使いがいる。
殺されかけた使いが反撃をして気を失った男を廃工場に連れて行く。
「あとは僕一人で大丈夫だから。みんな帰っていいよ!」
明るい声が言う。
「最後までいさせてください。」
「いいよ!後は僕がやるから」
「ですが・・・」
「大丈夫だから」
「それでも、手伝ったので」
「ねぇ?いい加減、うるさい。僕はいいって言った。聞こえない耳なんか切り落としてあげようか?」
咲泉の隣に置いてあったペティナイフを指で回して使いの目の前に向ける。
「ご、ごめんなさい、失礼します。」
使いは慌ててその場を去った。
「さぁて、どうしようかな」
咲泉はペティナイフをクルクル回しながらまだ気を失っている男に近づく。
「・・・起きて!起きて」
男の頬をベチベチと叩く。でも小さい手でそこまで力もないだからあの時、考えたのはナイフで頬の皮を剥いでいくことだった。
「起きないと、顔の皮全て剥いじゃうよ。」
りんごを剥くように綺麗に剥ぐ。
頬をから、目の横の皮まで剥いだ時、男は目を覚ました。次の瞬間悲鳴を上げようとしたが口の横の皮膚を剥いであるので口を開けようとすると痛くて上げられない。
「ん、んん!あ、ああ。」
痛いのか声にならない悲鳴を上げる。
「わぁ!起きた!良かったぁ。起きたから剥ぐのやめるね。戻そうか?」
剥いだ皮膚を血が出ているところに戻そうとする。男はすぐさま首を横に振るう。それもまた痛いのか「ンンンン!」やっぱり声にもならない悲鳴をあげた。
「分かった!辞める。」
ぱあっと手を離して一歩後ろに下がった。
「・・・一瞬で死にたい?それとも少しづつ痛めつけから死にたい?」
男は痛いのを我慢して「死にたくない」と呟いた。
「それはダメだよ。君の使命は死ぬことなんだから。あ、そっか。うんうん!死にたくないってことは少しづつ痛めつけてからの方がいいってこと?そうだよね!きっとそうだよ!」
「ま、まぁって」
「なーに?」
「く、くるしまぁないでしな、死なせて」
「いいよ!僕もそっちの方が楽だから」
ペティナイフを捨てて、包丁を探した。
「あった!」
もって男のところまで戻る。
「お待たせ!」
待っていないと言うように首を横に振る。
「じゃあ、覚悟してね」
ニコッと笑った咲泉は心臓あたりを突き刺す。「うぐっ」と言う声が漏れた。
「あーあー、ごめんね。一撃で仕留められなかった。2回目で行けるはず」
もう一度同じ場所を突き刺すが「はぐっ」と言う声をまた漏らし
「えー、ごめんね」
と死ぬまで繰り返した。
「やった!やっと殺せた!」
そう笑顔で言う。
何もなかったかのように家に帰って来た。
その頃のことを思い出して荼泉に「四、五歳かな」とあやふやに答えた。
「咲泉兄様はいつから殺しをしていたんですか?」
「・・・私は」
咲泉はどこか言い躊躇っているようにも思える。
「咲泉兄様?」
「あ、ごめん。私がいつから人を殺めているかだよね。」
「言いずらいなら言わなくても大丈夫です」
「うんん。今まで聞かれてたことなかったから。」
「そうなんですか?」
「うん。そうだね・・・」
咲泉は思い出すのと同時に話し出した。
最初の一人を殺した時のことをはっきり覚えてる。今まで経験したことのない感覚が俺の手を俺の思考をぐちゃぐちゃに変える。
初めて殺したのは中年代の男。私はまだ5歳の時。まだ二人とも生まれていない。
「咲泉。こいつを始末してくるんだ。いいか?殺すんだぞ」
父さんが小さい頃のまだ『私』ではなくて『僕』だった私に言う。
「はーい。」
可愛らしく幼い子で言っていたから、殺しに行く雰囲気ではなかった。だけど現実はそう甘くはない。
中年代の男は若い女を狙って殺していた犯罪者。それと同時に下着泥棒でもあった。
「咲泉様。お供しましょうか?」
まだ私の側近だった使い長。
「うんん。僕一人で行ける!」
「そうですか?気をつけてくださいね。」
「うん!」
殺めた場所は廃工場。廃工場はいろんな武器になるものが山ほどあると教えてもらっていたから、そこでやると前もって決めていた。
中年代の男が現れたのは罠を仕掛けた家だった。家には女装をした使いがいる。
殺されかけた使いが反撃をして気を失った男を廃工場に連れて行く。
「あとは僕一人で大丈夫だから。みんな帰っていいよ!」
明るい声が言う。
「最後までいさせてください。」
「いいよ!後は僕がやるから」
「ですが・・・」
「大丈夫だから」
「それでも、手伝ったので」
「ねぇ?いい加減、うるさい。僕はいいって言った。聞こえない耳なんか切り落としてあげようか?」
咲泉の隣に置いてあったペティナイフを指で回して使いの目の前に向ける。
「ご、ごめんなさい、失礼します。」
使いは慌ててその場を去った。
「さぁて、どうしようかな」
咲泉はペティナイフをクルクル回しながらまだ気を失っている男に近づく。
「・・・起きて!起きて」
男の頬をベチベチと叩く。でも小さい手でそこまで力もないだからあの時、考えたのはナイフで頬の皮を剥いでいくことだった。
「起きないと、顔の皮全て剥いじゃうよ。」
りんごを剥くように綺麗に剥ぐ。
頬をから、目の横の皮まで剥いだ時、男は目を覚ました。次の瞬間悲鳴を上げようとしたが口の横の皮膚を剥いであるので口を開けようとすると痛くて上げられない。
「ん、んん!あ、ああ。」
痛いのか声にならない悲鳴を上げる。
「わぁ!起きた!良かったぁ。起きたから剥ぐのやめるね。戻そうか?」
剥いだ皮膚を血が出ているところに戻そうとする。男はすぐさま首を横に振るう。それもまた痛いのか「ンンンン!」やっぱり声にもならない悲鳴をあげた。
「分かった!辞める。」
ぱあっと手を離して一歩後ろに下がった。
「・・・一瞬で死にたい?それとも少しづつ痛めつけから死にたい?」
男は痛いのを我慢して「死にたくない」と呟いた。
「それはダメだよ。君の使命は死ぬことなんだから。あ、そっか。うんうん!死にたくないってことは少しづつ痛めつけてからの方がいいってこと?そうだよね!きっとそうだよ!」
「ま、まぁって」
「なーに?」
「く、くるしまぁないでしな、死なせて」
「いいよ!僕もそっちの方が楽だから」
ペティナイフを捨てて、包丁を探した。
「あった!」
もって男のところまで戻る。
「お待たせ!」
待っていないと言うように首を横に振る。
「じゃあ、覚悟してね」
ニコッと笑った咲泉は心臓あたりを突き刺す。「うぐっ」と言う声が漏れた。
「あーあー、ごめんね。一撃で仕留められなかった。2回目で行けるはず」
もう一度同じ場所を突き刺すが「はぐっ」と言う声をまた漏らし
「えー、ごめんね」
と死ぬまで繰り返した。
「やった!やっと殺せた!」
そう笑顔で言う。
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