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本格的に

二人の会話

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 「荼泉とい。話がある。来なさい。」
 最初に喋りかけたのは当主の方だった。黙ったまま頷いて当主の後について行く。
 「座れ」
 そう言われて正座をした。
 「・・・」
 やはり、荼泉は喋ろうとしない。
 「荼泉。俺と喋らなくなってもう9年が経とうとしている。そろそろ何か喋ったらどうだ?」
 いきなり、自分勝手な物言いに荼泉はイラッとしたが顔には出さずに当主を見つめる。
 「それでも喋らないとは・・・お前が喋らなくなったのは俺がお前の大事な友人を殺したからだろう?」
 気づいていたのかと頭の中で考えたが言葉には出さない。
 「いつまで引きずっているつもりだ。」
 「ハッ・・・・」
 危うく暴言を吐くところだった。その言葉を飲み込んで下を見てから当主の顔を見る。
 「・・・はぁ。なに、暴言でも良い。何を思っているのか言ってみろ。」
 「・・・」
 「いつまでその態度でいるつもりだ!たかがお前の友人一人殺しただけで、その態度はなんだ!かなめ家の息子なら、殺したやつなんか忘れろ。お前だって何人もの人を殺めて来たのだから!」
 「・・・」
 沈黙が・・・時計の音だけが2人の空間を満たして行く。
 何分経ったか分からない。荼泉が9年ぶりに当主に向かって少しづつゆっくり言葉を繋げて行く。
 「・・・・俺に、とって・・・あいつは・・・忘れらないほどの友人だった・・・・『たかが友人』なんかじゃ・・・ない。お前は吹っ切れるかもしれないが・・・俺はお前なんかと喋りたくない・・・・今も、これからも・・・でも、そうだな・・・好きな人からお前と喋れと言われているから・・・少しだけだ声を出そう・・・かな。」
 当主にとって久しぶりの荼泉の声。遠くから兄達と妻に言っていた声を聞いてはいたが面と向かって声を聞いたのは9年ぶりだ。言葉の内容は鋭いが、確かに当主は暴言でもいいと言っていた。だから当主は聞いていないふりを気づかないようにしていた。
 「お父様。お話は以上なら俺は戻る・・・戻ります。失礼しました。」
 荼泉は立ち上がって部屋を出て行った。
 

 部屋に残った当主は一人で小さく喜んでいた。
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