越えられない壁で僕らの幸せは・・・

本格的に

駿河音参上？

　男達の手下達が桜さくらと志飛しとに向かってくる。
　「にゃあはぁ。唯央いおちゃん参上～」
　軽い調子の声が聞こえた。その瞬間手下達が倒されていった。
　「やっほ～！無事？」
　「駿河音の本当のキャラが僕は分からない。」
　「私はいろんなキャラがあるのだ！それが私の個性だからな！」
　「駿河音はそれで良いと思うッ」
　「志飛っ」
　桜が駆け寄ってくる。
　「大丈夫だ。帰ろ。」
そう志飛が言うと二人は頷いた。桜は志飛を支えるように背中に手を添えた。
　「駿河音・・・僕達は帰り道がわからない。」
　「・・・うーにゃーんとね。私もね、適当に走って来たから分からないや」
　「駿河音・・・はぁ、使い長呼ぼうか。桜・・・筒夏つつな呼んでくれる？」
　「・・・わかりました志飛様。」
　「もう使い関係じゃないから様良いのに・・・」
　「私が付けたいんです。」
　「勝手にして」
　筒夏は「呼びますね」と言って少し離れたところに行った。
　「ねぇ、ねぇ、飛綾。お腹、痛いでしょ」
　「・・・」
　「飛綾。」
　「僕は平気だよ。」
　「そう。」
　「追求しないんだな」
　「君自身が大丈夫って言うなら私はそれを信じるよ。だって信じる他に君の体調を知る方法ってある？」
　「・・・確かにな」
　「・・・まぁ、でも！もう一つ実はあるんだな」
そう呟いた瞬間志飛のお腹に手を当てた。痛みが志飛に走る。
　「ほらっ！」
　「いった・・・」
　お腹を抑えて片膝を着いた。顔を歪めて
　「駿河音！」
　「ごめんなさい」
　楽しそうな笑みをして謝る。ため息をついて立ち上がった。
　「筒夏って言った子に嘘付かないであげて」
　「え？」
　「さっきの子に」
　志飛は駿河音の顔を見る。見たことのないほどの真剣な顔で志飛は返事に困る。
　「善処する・・・」
　「そうしてあげて」
　二人は黙る。数分しないで走って「お待たせしました」と言って筒夏が戻って来た。
　「すぐに来るそうです。」
　「ありがとう」
　「いいえ。」
　どこか嬉しそうに頷く。
　


　まだ志飛達が捕まっている時、家に帰って来た三人は茅鶴ちづると薫かおるにどうして志綾を連れ戻してこなかったと理由を聞かれていた。
　「えーと」
　「言えないことですか？使い長」
　「黧れい兄・・・も、それから夏輝斗かきと君。見逃したわけじゃないんだろ？」
　「は、はい・・・」
　「使い長、お願いです。教えて欲しいんです。あの子は・・私に何を隠しているんですか？」
　「・・・すみません。私からは何も言えません。」
　「そう言うことは本当にあの子は何かを隠しているのですね。私には言えないようなことを」
　「茅鶴様。これだけはこれだけは覚えていてください。志綾様は決して貴方を裏切るような隠し事はしていないと、これだけは覚えておいてください！」
　「・・・えぇ、分かりました。それだけは覚えておきます。志綾が言う覚悟が決まった時私は真剣に話を聞きますね。それで良いですか？」
　「ありがとうございます。」
　使い長は頭を下げた。
　それから数時間経って筒夏から電話が掛かってきた。
　「茅鶴様。薫様。志綾様が帰る気になったみたいです。迎えに行って来ますね」
　使い長がそういう時茅鶴は嬉しそうな悲しそうな複雑な顔をした。でも「美味しいご飯を作って待っていますと言っておいてください」と言ってニコッと笑った。

　使い長は黧を連れて迎えに行った。