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進学

行かなくては

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 「大丈夫ですか?」
 「はい、昨日は慣れていなかっただけです」
 朝、茅鶴ちづるが学校に行こうとしている志綾しあに聞く。
 「・・・頑張ってください。応援していますから」
 「はい。行って来ます。」
 「いってらっしゃい。」
 「・・・心配だよな。当主様からは中学は通わせろと言われたんだろう?」
 「はい」
 「・・・俺達は見守ることしか出来ないよ。」
 「そう、ですね」
 視線を玄関から離そうとしない。
 「おっと俺も仕事行ってくるよ」
 「いってらっしゃい。」
 「そんなに気を詰めないで君が倒れたら余計心配になるから」
 「・・はい」
 かおるも家を出て家には茅鶴だけが残る。家に一人だけだと嫌なことを考えてしまう。頭を振り切り替えようとしても切り替えられない。
 (いつからこんな、悪夢みたいな現実になってしまったんだろう?)
 もう一度頭を振る。「違う」と何回も呟いて。




 「・・・あ、荼泉とい様と雪都ゆきとさん。おはようございます。」
 「体調は大丈夫か?」
 「はい、」
 「なんだか思い詰めた顔してるけど~」
 「少し考えことを・・・あ、雪都さん、昨日最後物槨令ものかくれさんはどうしていましたか?」
 「ん~?早退するって言ったら普通に「お大事に」って言ってたよ」
 「そうですが」
 ほっとしたのか胸を撫で下ろす。
 「行こう。遅刻する」
 「はい・・・」
 三人は少しだけ駆け足で中学校まで行った。
 「間に合いましたね。」
 「あ、あ、おはようございます」
 教室に入ると物槨令 しずくが近くに来た。答えるように志綾も言った。
 「昨日は途中で帰ってしまいすみません。」
 「うんん、大丈夫で、す。」
 「座りましょう、」
 昨日と同じで一緒に座る。担任が入ってくる。
 「おはようございます。」
 注意事項と今日の予定を話し担任は教室を出る。
 「今日から本格的に授業が始まりますね。」
 「最初の五限は全部5教科で6限は選択ですね。私と荼泉様は何も選んでいないので帰宅になります。雪都さんは・・・」
 「僕は技術を選んだから6限までいないと」
 「物槨令さんは?」
 「私は、体育を選びました。」
 「体動かすの好きなんですか?」
 「はい、体動かしている時は楽しくて」
 「わかります。体動かしている時は無になれますよね」
 「つなぎさんも体動かすんですか?」
 「はい。」
 「嬉しいです。こんなに楽しく会話できたのあまりなくて」
 「良かったです。」
 1限目が始まるまで志綾と物槨令は会話をしていた。たったの10分しかなかったが志綾にとっては地獄だった。
 吐き気はもちろん、視界がだんだんぼやけてくる。倒れないように頑張りながら1限目まで頑張った。
 1限目は何も頭に入らなかった。2限目までの休憩時間志綾はトイレに駆け込む。我慢していた吐き気も言葉もここで吐き出していた。

 「はぁ、はぁ。クッソ・・・慣れていないだけ、慣れていないだけ」

 「もう、話しかけないでほしい。でも、繰り返したくない・・・」
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