越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢

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決意

新しい繋家の家庭教師

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 志綾しあは学校を辞めた。辞めたと言っても義務教育と言うルールがある以上学校自体を辞めることは出来ない。だから志綾は学校を行くのを辞めたが正しい。
 荼泉といは辞めたことを知っているが毎日迎えに来てくれる。一回、茅鶴ちづるが「もう来なくてもいいんですよ?」と言ったが「いつか志綾が行きたいと望んだ時に俺が迎えに来なかったら行くのを諦めてしまうかもしれない。」と言った。それを聞いた時、茅鶴は驚いた顔をしていたが荼泉の頭に手を置いて「ありがとうございます。」と少し涙声だった。

 今日も朝、荼泉が来て茅鶴が同じことを言って学校に向かって行く。
 「あ、」
 学校に行こうと後ろを向いた時、何かを思い出したのか荼泉が茅鶴の方を向き
 「茅鶴様。今日は確か」
 「はい、今日から家庭教師がきます。」
 「・・・志綾に頑張れって伝えておいてください。」
 「分かりました。」
 「あ、あと・・・筒夏つつなは帰って来ましたか?」
 「いいえ、筒夏からの連絡では友達の家で勉強会をすると」
 「泊まりで?」
 「はい。もうすぐにテストがはじまるみたいで」
 「分かりました。ありがとうございます。」
 「行ってらっしゃい」
 「・・・行って来ます。」
 荼泉は学校に向かって行った。
 「茅鶴。俺も行ってくるよ。」 
 「かおる様。行ってらっしゃい。」
 「あぁ、行って来ます。志綾のことよろしくな。」
 「ええ、任されました。」
 荼泉の後に続くように薫も仕事に出て行った。
 「さて、」
 茅鶴はいまだに起きて来ない志綾の部屋に行く。
 「志綾。もう朝ですよ。」
 「起きてます~」
 「入りますね。」
 「んん」
 まだベットの上で眠そうに目を擦っている志綾がいた。昨日よりは少しだけ顔色も良くなっていた。 
 「朝ご飯出来ていますよ。」
 「着替えてから行きます」
 眠いのかウトウトしながら立ち上がった。茅鶴は部屋を出た。
 志綾はいつものシンプルなワンピースに着替えて廊下に出た。
 「おはようございます。お母様、」
 「おはようございます。」
 キッチンに向かい朝ご飯を取りに行く。
 机の上に置いて座ってから「いただきます」と呟いた。

 「今日から先生が来ますからね。」
 「わかっています。名前は何ですか?」 
 「確か、元高校の先生で壱竺いちじく 南恵みなえ先生。南恵は私の古い友人なんですよ。」
 「お母様のご友人!」
 「ええ、だからあまり緊張しないでくださいね。」
 「頑張ってみます。」
 「あ、そうだ。荼泉様が『頑張れ』だって」
 「荼泉様・・・もしかして毎日来ているのですか?」
 「えぇ、」
 「・・・荼泉様に申し訳ないことをしている気がします。」
 「・・・荼泉様はお優しい方だがら」
 
 志綾は部屋に戻り少しだけ散らかっているのを片付けた。
 「完璧。」
 
 「志綾!来ましたよ!」
 茅鶴の声がして慌てて部屋を出た。玄関には綺麗な女性が茅鶴と喋っている。
 「初めまして壱竺 南恵です。よろしくお願いします。」
 「初めまして、つなぎ 志綾です。」
 「ふふ、可愛じゃない。茅鶴の娘。」
 「南恵のところも可愛いですよ。」 
 「あの子はいま反抗期で争い中。」
 「・・・」
 「ああ、ごめんなさい。久しぶりなもんだからつい。志綾様。部屋に行きましょう。」
 「はい。」
 二人は一緒に志綾の部屋に入った。


 これから勉強が始まる。

 
 頑張れ、志綾、志飛
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