越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢

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学校

見たことのない顔

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 「はーい皆さん。学校案内していきますよ。」
 体操着に着替えて教室にゾロゾロ生徒が集まって来た。
 「と、荼泉とい様・・・だい、大丈夫かな。初日からお母様の約束破ってしまった。」
 「・・・」
 「荼泉様?」
 「あ、悪い。そうだな。おい、」
 二人は教室の隅に居て使いを呼んだ。
 「はっ、どうしましたか?」
 「鎌崎かまさき 純麗すみれを見張れ、そして誰かに志綾のことを話そうとしていたらなんとしてでも止めろ・・・ただ揉め事は起こすな」
 「えーと、志綾様のこととは?」
 「くどいぞ。とにかくだ志綾のことにどんなことでも触れようとした際は止めに入るそれだけのこと良いな?」
 「は、はい。」
 使いは消えて行った。
 「荼泉様・・・」
 「心配するな、大丈夫」
 珍しく笑い頭を撫でた。志綾は荼泉の手に触れて目をつぶった。 
 「ありがとうございます。」

 「もう!そこの二人、案内しますよ。」
 「あーもう、イチャイチャしてる」
 クラスメイトがざわつき出す。荼泉は気にした様子もなく並んでいる列に歩いていく、志綾は恥ずかしそうに頬を赤ながら駆け足で向かった。




 「ここが音楽室で・・・
 荼泉にとって退屈な案内が始まった。葉椿はつばは丁寧に一部屋ずつ説明していくせいで余計に時間がかかる
 「志綾・・・」
 「どうしました?荼泉様。」
 「疲れた。」
 「そうですね。もうクラスメイトの皆疲れてます。葉椿先生が長々と説明するせいで」
 「行こう」
 「え、どこにですか?」
 「誰も居ない場所」
 「あ、ちょ荼泉様~」
 志綾は荼泉に引っ張られる形でどこかに連れて行かれた。遠くから葉椿の「要君」と言う声がする。
 

 二人は空き教室に来た。
 「と、荼泉様!」
 「・・・」
 「はぁ、はぁ、」
 「大丈夫?」
 「だ、大丈夫じゃないです。余計疲れました!」
 「休みな、ここには誰も来ないから・・」
 「そりゃ、来ないですよ!だって授業中ですし、」
 壁に寄りかかりながら言う。
 「・・・」
 「でも、こんなふうに二人だけってなんだかとても心地よいですね。」
 ニコッとしながら荼泉の方を見る。荼泉は顔を手で隠してそっぽを向いた。
 「荼泉様?」
 顔を覗いた志綾はびっくりした。
 いつもは冷静でクールな荼泉が子供みたく頬を赤くして照れている。みたことない顔に志綾は困ってる。
 「と、荼泉様。そんな顔できるんですね。・・・良かったです。いつも怖い顔しかしてないからそんな顔が見れて、今、志綾は幸せですよ。」
 そう呟いた。
 「・・・そう、良かった。」
 何も言えなくて簡単に言った。


 志綾は思う
  荼泉様のいろんな顔が見られると良いな

 荼泉は思う。
  志綾にイジメが起きなければ良いな
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