今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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2人が幸せになるために

久しぶりの息子

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 「あ、待たせましたか?」
 「いえ、都瀬みやせ君のお客様が仕事に向かわれたので、案内しますね。」
 
 弥生やよいについて行くと、さっきいた噴水のところを通り、近くまで来ていたんだと気がついた。

 弥生がノックする。
 「はーい」と中から声がした。扉が開くと、何も変わっていない白斗がそこにいた。白斗を見た瞬間、真斗まさとは抱きしめていた。
 「・・・・・・ま、真斗まさとさん・・・」

 白斗も真斗の背中に腕を回す。
 「白斗・・・」


 「いつまでやってんの~」
 部屋の奥から委御すおの声がした。白斗はハッとなって、真斗から抜け出した。
 「なか、中入って!ひ、久しぶり。真斗さん。」

 真斗も立ち上がり、白斗と目を合わせる。
 「久しぶり。なかなか会えなくてすまなかった。」
 真斗を招き入れ、扉を閉める。弥生はいつの間にかいなかった。
 「うんん、気にしないで。あ、真斗さんは知らないよね。僕の・・」
 委御を紹介しようとしたが、委御が白斗の言葉を遮って
 「私は白白の下っ端~てき委御ちゃん~よろしく~」
 「あずさは知ってるよね?」
 「あぁ。」
 
 委御の隣に座っていた梓がお辞儀をする。
 「兄さんにも紹介したかったな。」
 「別にする必要ないよ。」
 梓が冷たく言う。
 「アズアズ~木木きき(委御が直木につけたあだ名)に嫉妬してんの?」
 「誰があんなやつに!」
 「じゃあなんでそんな怒ってんのさぁ~」

 梓と委御が仲良しそうに喋っていた。白斗が椅子を持ってきて「ここに座って」と言った。
 「仲が良さそうだね。」
 真斗が2人を見て言う。
 「仲良くしてる気はないよぉ~、アズアズ揶揄うの面白いだけ~」
 「私は委御さんが苦手です。」

 2人のやりとりが面白く、白斗が笑う。そんな3人を真斗は嬉しそうに眺めていた。

 「真斗さん、今日はどうしたの?」
 「所長にここへの出入りを許可してもらって白斗の様子を見にきたんだ。出て行ったって聞いて心配で。」
 「ありがとう!」
 「白斗の元気そうな様子が見れてよかった。」
 
 
 長く、話が続かない。でも、委御と梓のおかげで気まずくなることはなかった。

 話がひと段落し、時刻は15時になっていた。そろそろ帰ろうとしていた真斗。そのタイミングでノックの音がする。白斗が「はーい」と言って扉を開ける。

 「兄さん!戻ってきたんだ。仕事は?終わった?」
 「終わったから、白斗に会いに来たんだ。」
 
 直木なおきが戻ってきた。

 真斗が直木を見て「あっ!」と反応する。直木も真斗を見る。見たが、何も無かったかのように白斗の頭を撫でる。
 「白斗。お邪魔だったかな?」
 「うんん!兄さんに紹介したいんだ。」

 直木の態度を見て、真斗は初対面のフリをすることにした。
 「兄さん。前、話した実のお父さん。八代真斗さん。真斗さん。兄さんの篠秋直木。」
 2人は握手をする。
 「八代さん。初めまして。」
 「あ、あぁ。初めまして。」
 
 2人の雰囲気はどこか気まずさが含まれていたが、そんなことに気がついていない白斗は嬉しそうだった。
 「白斗。今日は、突然ごめんね。」
 「うんん、また来てよ。」
 「分かった。ありがとう。」
 直木がもう一度白斗の頭を撫でる。
 「直木。また歩いて帰るの?」
 梓のその言葉に全員が直木を見る。
 「え、兄さん歩いてきたの!?」
 「ま、まぁ・・」
 
 白斗が、笑う。
 「大変だったね。車呼ぶ?」
 「いや、また歩くよ。そこまで苦じゃないしね。」
 「暗くなるし・・」

 「それじゃあ、そこの真真に乗せてもらったら~?車で来てるでしょ。篠秋じゃないし」

 委御がそういった瞬間、それだと梓が「そうしましょう」と言った。
 「真斗さん。直木をよろしくお願いします。」
 「あ、あぁ、俺が運転するわけじゃないからなんとも言えないが・・・・」
 「彼は優しいので大丈夫です。」
 
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