今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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2人が幸せになるために

自己嫌悪

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 タバコに火をつける。基本、タバコは吸わない。でも、たまに吸いたくなる。自分に対してネガティブになった時とか、口が寂しくなった時。
 施設の裏で壁に寄りかかり空を見る。人工的な晴れで、決して気持ちのいい天気とは言えない。ここにいたら、体を壊す。
 
 いつの間にかタバコが小さくなっていた
 「あっ・・」
 考え込んでいたせいでほとんど吸えずに灰になってしまった。勿体無いとため息をついて携帯灰皿で潰し、そのまま中に入れる。

 もう一本という雰囲気にもなれず壁に寄りかかったままもう一度空を見上げる。

 「げっ」

 考えに耽っていたら、誰かの声がした。
 「・・・百々目副所長・・」
 「はぁ・・どうしてここに」
 施設の裏に来たのは百々目とどめだった。
 「百々目副所長・・なんで裏に?」
 「・・はぁ、誰もいないって思ったのに」

 百々目は質問には答えず、少し離れた場所の壁に寄りかかり、懐からタバコの箱を出した。
 「百々目副所長、ですよ」
 「酷いなぁ・・お前だって吸ってただろうに」
 「見てたんですか?」
 「いや、タバコの匂いがしたから。」
 「あぁ・・」
 それ以降は何も話さない。話すことなんってない。話す必要だってない。


 その場を離れようと百々目の前を通り過ぎようとした。
 「直木なおき君は、もうここには戻ってこないのか?」
 「戻ってきてますよ」
 「そういう事じゃない。研究員としてだよ。」
 「俺は研究員です。」
 「それはただの表面上だけであって、研究員として過ごしてはいないだろ。直木君なら所長に頼めばいつでも研究員に戻れそうだけど。」
 「そんな簡単に言わないでもらいたい。」
 「私は、直木君の事情を知らないから簡単に言えてしまうんだよ。簡単に言われたくないなら、人に、気持ちを話してみたらどうだ?」
 「余計なお世話です」

 その場を離れる。百々目とは昔の知り合い。白斗が来る前の。直木は研究員。百々目は研究員になったばかりの頃の知り合い。白斗が来たことによって、全部が変わった。百々目との関係も。直木は白斗のお世話係、百々目は副研究員。

 百々目にとって直木は尊敬する先輩の人だった。
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