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2人が幸せになるために
あの時言いたかった本当の言葉
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あの時は言えなかった、言う資格なんて無かった。今だって言う機会はない。それでもあの時の自分が報われるなら、白白に言いたい。
『私は白斗のそばにいるから』
私は待機れず崩れ落ちる。白白が私のそばまで来てくれた。白白の前では泣きたく無かった。でも、泣くしか無かった。
「ごめん、ごめん白白。私は思い出して欲しかっただけ。ごめん」
私は白白に縋り付く。白白は何も言わずに私の背中を優しくさする。
私は白白の胸で泣く。こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。それぐらい大泣きだった。
「落ち着いた?」
「うん・・カッコつけていようと思ったのに・・最近ボロがすごい出る・・」
椅子に座り、温かい飲み物を飲む。目元が少し赤くなっている委御。数秒間隔で鼻を啜る音がする。
「委御。ごめんね。思い出さなくて。さっきの言葉って」
「あの時の私と白白の会話。」
「覚えてるんだね」
「そりゃあ、あれは私の一番の思い出だから。」
「ね、委御。」
「ん?」
コップに口をつけながら反応し、一口の飲む。
「委御は僕が1人で思い出すのを望んでるのは分かってる・・でも、そろそろ聞いてもいいかな?いつ、僕は委御と会ったの?」
聞かれることが分かっていたのか、それとも委御が話そうと思っていたのか、委御はニコッと笑ってコップを机に置いた。
「いいよ。」
委御は長話だからと、2人はベットに並んで座る。
委御は白斗の手を握って、あの時のことを話す。
話終わった委御は白斗の顔を覗き込んだ。
「ど・・・」
「どう?」と聞こうとした委御だったが、白斗の表情を見て言葉が止まった。
泣いてはいなかった。でも泣いたあとがあった。
「・・・ごめんっ・・・ごめん。委御。」
委御は何を話し、何をしたのかを事細かく白斗に話した。
「ごめん・・・委御が細かく話してくれたおかげで、想像はできた・・でも・・・思い出せない・・・」
白斗はこれでも小説家だ。考えて想像することは容易に出来る。だからこそ、委御に申し訳なさがある。
「ごめんっ・・・ごめんね。委御。」
委御は白斗を抱きしめる。
「もう、もういいよ。もう・・・ありがとう。思い出そうとしてくれて。ありがとう・・私の話を聞いてくれて。ありがとう・・」
委御の思い出して欲しい気持ちは変わらない。変わらないけど、ここに白斗がいるならそれでいいと・・委御は思った。
(いつか、いつか・・思い出してくれればきっと、今の私は報われる。今じゃなくていい。)
「ありがとう。白斗。」
『私は白斗のそばにいるから』
私は待機れず崩れ落ちる。白白が私のそばまで来てくれた。白白の前では泣きたく無かった。でも、泣くしか無かった。
「ごめん、ごめん白白。私は思い出して欲しかっただけ。ごめん」
私は白白に縋り付く。白白は何も言わずに私の背中を優しくさする。
私は白白の胸で泣く。こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。それぐらい大泣きだった。
「落ち着いた?」
「うん・・カッコつけていようと思ったのに・・最近ボロがすごい出る・・」
椅子に座り、温かい飲み物を飲む。目元が少し赤くなっている委御。数秒間隔で鼻を啜る音がする。
「委御。ごめんね。思い出さなくて。さっきの言葉って」
「あの時の私と白白の会話。」
「覚えてるんだね」
「そりゃあ、あれは私の一番の思い出だから。」
「ね、委御。」
「ん?」
コップに口をつけながら反応し、一口の飲む。
「委御は僕が1人で思い出すのを望んでるのは分かってる・・でも、そろそろ聞いてもいいかな?いつ、僕は委御と会ったの?」
聞かれることが分かっていたのか、それとも委御が話そうと思っていたのか、委御はニコッと笑ってコップを机に置いた。
「いいよ。」
委御は長話だからと、2人はベットに並んで座る。
委御は白斗の手を握って、あの時のことを話す。
話終わった委御は白斗の顔を覗き込んだ。
「ど・・・」
「どう?」と聞こうとした委御だったが、白斗の表情を見て言葉が止まった。
泣いてはいなかった。でも泣いたあとがあった。
「・・・ごめんっ・・・ごめん。委御。」
委御は何を話し、何をしたのかを事細かく白斗に話した。
「ごめん・・・委御が細かく話してくれたおかげで、想像はできた・・でも・・・思い出せない・・・」
白斗はこれでも小説家だ。考えて想像することは容易に出来る。だからこそ、委御に申し訳なさがある。
「ごめんっ・・・ごめんね。委御。」
委御は白斗を抱きしめる。
「もう、もういいよ。もう・・・ありがとう。思い出そうとしてくれて。ありがとう・・私の話を聞いてくれて。ありがとう・・」
委御の思い出して欲しい気持ちは変わらない。変わらないけど、ここに白斗がいるならそれでいいと・・委御は思った。
(いつか、いつか・・思い出してくれればきっと、今の私は報われる。今じゃなくていい。)
「ありがとう。白斗。」
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