今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

文字の大きさ
上 下
512 / 550
2人が幸せになるために

これからの成長のために

しおりを挟む
 直也なおやの成長のために、あの家を出た。その成長する過程で都瀬みやせ白斗はくとと言う足手纏いは居てはいけないと思ったから施設に戻った。直也だけが成長してくれればいいと思った。直也が成長すれば、また連れ戻してくれるとそう、あの時は考えていた。でも、最近。多くの人を見て、直也だけじゃなくて僕自身も成長していかないといけないんだと思うようになった。成長した直也の隣に成長しなかった僕は不釣り合い。そう、感じるようになった。だから、いろんな人と向き合うべきなんだとあの日、委御すおに教えられた。



 噴水での出来事はもう2週間前。結局、あずさは委御との関係を話してはくれなかった。梓は、思い出さなくていいと言った。それでも、向き合うべきと考えたらのなら、まずは委御と向き合おうとそう決めた。
 
 otomoとは亀裂が入ったまま新作小説は出版された。

 年が越し、1月に入った。


 白斗はベットの上で、委御のことを思い出そうと振り返っていた。それでも思い出せるのは、売られて間も無くして委御と会った時。あの時は、疑問に思わなかったが、どこか委御は寂しそうだった。会話までは覚えてない。けれど、初めての会話だった。でも、委御はその前に会ってると言う。
 (委御は初対面なのに2回目以降から僕のことを白白と呼んでいた。そのことにもあの時の僕はすんなり受け入れていた。
 梓は、otomoに対して嫉妬していた。なら委御に対しても嫉妬しているから、思い出さなくていいと言った・・?)

 白斗は疑問に思うべきだった部分を考える。それでも何も繋がることはない。

 「・・・・『友達ってあだ名で呼び合うんでしょ?』・・・っ」

 突然、無意識に口が動いた。自分の唇に触れる。

 「友達ってあだ名で・・呼び合うんでしょ??」
 なんでこんな言葉が引っ掛かるのかわからない。
 「白白・・・」
 何か、何か思い出せそうだった。
 「・・・あだ名。・・・」



 「しー、私は気分屋なんだ。白斗・・ううん。私はこれから白白って呼ぶ。白白?友達ってあだ名で呼び合うんでしょ?わかんない。白白は私のこと委御って呼んで。」

 「・・・・・

 突然声がしたと思った。ドアの方を見ると壁に寄りかかって腕を組んでいる委御がいた。委御は悲しそうな表情をして、言葉続ける。

 「白白。私はね、あの学校の生徒。・・そうなの?あの学校の生徒って出れないんじゃ。勝手に出てきちゃった。そんなことして良いの?うーんもしかしたらっ」

 委御は息を吐く。声が変わる。泣きそうなそんなような声。
 「退学かも!えっ戻った方がいいんじゃない?戻るよ。そのうちっ。でも・・・でも、・・・今はまだ・・白白とこうして喋っていたいっ・・。」
  
 委御は泣きそうな声で、1人で会話をする。白斗は止められない。止める隙がない。
 「僕はあの学校に売られるみたい。・・母親が僕を売ったって・・盗み聞いた。・・何それ最低・・。母親は、中学まで売らないって言ったけど・・・ね、委御。僕、もう誰とも離れたくない・・僕、また1人になっちゃう」

 だんだん苦しそうに吐き出す。
 
 「私はっ・・・私はっ・・・・・・・」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!

柑橘
BL
王道詰め合わせ。 ジャンルをお確かめの上お進み下さい。 7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです! ※目線が度々変わります。 ※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。 ※火曜日20:00  金曜日19:00  日曜日17:00更新

越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢
BL
 繋家に産まれた繋 志飛(つなぎ しと)は男だった。残念なことに繋家に男は不要だった。両親は初めての子供だと言うことで志飛を女として育てることにし繋 志綾(つなぎ しあ)と名前を変えた。  繋家と違って女を不要としている要家。要家とはお隣同士の家であり両家の決まりで必ず繋家と要家の子供同士は結婚しないといけなかった。  それは伝統で昔からやって来ていること。誰も変えることの出来ない伝統。  要家の三男として要 荼泉(かなめ とい)が産まれた。  この流れで行くと荼泉と志綾は結婚することになる。が、どっちらも男。  伝統を守り、性別を隠しながら結婚するのか、伝統を破り、性別を明かして追い出されるか・・・

王道にはしたくないので

八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉 幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。 これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

嫌われものの僕について…

相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。 だか、ある日事態は急変する 主人公が暗いです

処理中です...