今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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2人が幸せになるために

1カ月後

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 白斗はくとがいなくなってから1カ月が経った。
 「そろそろ卒業だね。直也なおや。自覚はあるの?」

 家にはつが来ていた。

 「あるよ・・」
 ため息をつきながらコップを葉に渡す。
 「それより、そっちはどう?」
 「ちゃんと話した。てんはただ白斗はくとと直也に嫉妬していただけ。直木なおきとはもう親子には戻れない・・槇は夢の見過ぎ。ちゃんと槇も理解してくれたと思う。子供じゃないから・・」
 「父さんはきっと理解してくれたと思う。」
 「えぇ、そうだといいけど。」

 今は12月だ。あと数ヶ月で直也は高校卒業だ。男高のシステムではこのまま付属の大学に行くことになる。

 「直也も18歳かぁ」
 「・・・まだ気が早いよ。」

 向かい側に直也は座る。

 「大学に入ったら・・白斗を迎えにいけるかな・・」
 そう直也はぼやいた。
 「行けるかなじゃないの!行くの!直也。白斗君を連れ戻してきて。私にとって白斗君は大事な家族なんだから。欠けたままは許さないよ」
 「分かった?」と直也の顔を見続ける。

 「うん、分かった。ちゃんと白斗を迎えに行くよ。」

 葉は「よしっ!」と言って直也の頭を乱暴に撫でた。
 「お母さん・・・辞めて」
 2人は笑う。







 

 








 「ね、あずさ。起こしててって言ったのにどこ行ってたの!?」

 あのあと、起きた白斗は梓に怒鳴る。

 otomoからの連絡の数を見て白斗は驚いた。梓は視線を逸らし、申し訳ない態度になった。 
 
 「梓のせいでotomoがめんどくさいこといい始めたんだから。」
 
 はぁとため息をついた。

 「ごめんね」と梓が白斗の顔色を伺うように言う。
 「otomoはどうなった?」
 「落ち着かせたよ。全く・・梓もotomoのめんどくささは分かってるでしょ?」
 「はい・・」
 「まぁ、もう終わったことだしいいけどね。」
 「ほんとごめんね・・白斗」
 「いいよ別に。otomoを怒らせないであんま。」
 「善処します・・」
 「善処って・・」

 白斗は苦笑いをする。

 「それで、どこ行っていたの?」
 「お父様に呼ばれたから・・」
 「それならしょうがないか・・」

 はぁともう一度ため息をついた。














 12月に入ると11月はのんびりしていた白斗だったが、部屋に閉じ籠る日が多くなった。部屋に立ち入るのも梓だけと白斗が言う。梓は朝、昼、晩とおやつを持って白斗の部屋に行った。

 「白斗、今日はもう休もう。」
 「・・・そうだね」
 
 椅子に背をつけて手を上に上げ伸びる。
 「んーーありがとう。」

 机の上にケーキと紅茶が入ったマグカップを置いてくれた。
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