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2人が幸せになるために
百々目雪の思い
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いつも通り、車椅子に乗ってあの大きな窓がある場所に行く。ここは落ち着けて大好きな穴場。ふぅと息を吐く。
車椅子からベンチに移動して窓の外を眺める。見える景色は変わらない。見える高さも決して変わることはない。
「・・・やよい」
無意識に出た名前にびっくりする。やよい。元婚約者。
ここにいるといろんなことを考えてしまう。でも、それがなんだかスッキリする。
『雪。ごめん。私のせいで』
弥生に聞きたいことがあった。なんで、僕に謝ったのか。ずっと聞きたかった。
『雪。俺が、お父さんが絶対に直してやるからな。』
心残りがある。僕の状態を知った日。お父さんは僕にそう言って帰ってしまった。あれ以来会えてない。お父さんに会いたい。そして言いたい。僕はこのままでも大丈夫と。お父さんが無理する必要ないと。それだけ言いたい。
今年は、たくさんの人と会った。去年や前の年は智くんしか来てくれなかった。でも今年は違う。
久しぶりに槇や葉、弥生に会った。槇と葉の息子にも会ったし、息子の婚約者にもあった。
葉と槇の子供は初めて見る。お腹に子供がいた時しか僕は知らなかった。でもあの息子はきっと二番目の子だ。一番目は学校の方だと言っていたから。
また来てくれたら嬉しいな。
今年はいろんな人に会ったけど、智くんが来なくなった。前は、毎日のように来ていたけど・・もうほとんど来てくれない。寂しくないと言ったら嘘になるけど・・婚約者ができた。そう思うようにしてた。何も考えたくなかった。考えて仕舞えば、きっと僕は嫌な方向に考える。だから、智くんのことは考えないよう考えないよう頭の中で繰り返してた。
僕は暇すぎて、新しいことを始めた。この病院には孤児院があって子供達がいっぱいいる。だから僕は毎日のように孤児院に行って子供と遊んでいた。それしかすることがない。
僕は別に入院する必要はない。ただ足が動かなくて、背が低いだけ。車椅子なら普通に家でも暮らせる。でも、僕には家がない。僕の帰る場所はここにはない。だから、僕はずっと・・この病室の中で息をする。
息をしている必要があるのか最近自分に問いかけている。この学校にとって僕は失敗作。僕がいること自体ほとんどの人間が知らない。ならいっそのこと本当に消えてしまった方が学校も嬉しいのではないかとよく自分に聞く。
暇で暇で暇で・・僕は何もすることがなくて、ただだただ嫌なことを考えるばかり。
そんな自分がまた嫌いになる。
弥生に会いたい。今のじゃない。高校の時の・・あの時の弥生とあの時の僕として会いたい。今の自分は嫌いだ・・。気持ち悪い。
本来なら僕は30代後半のはずだ。それなのに・・それなのに・・
自分は・・・化け物だ。
車椅子からベンチに移動して窓の外を眺める。見える景色は変わらない。見える高さも決して変わることはない。
「・・・やよい」
無意識に出た名前にびっくりする。やよい。元婚約者。
ここにいるといろんなことを考えてしまう。でも、それがなんだかスッキリする。
『雪。ごめん。私のせいで』
弥生に聞きたいことがあった。なんで、僕に謝ったのか。ずっと聞きたかった。
『雪。俺が、お父さんが絶対に直してやるからな。』
心残りがある。僕の状態を知った日。お父さんは僕にそう言って帰ってしまった。あれ以来会えてない。お父さんに会いたい。そして言いたい。僕はこのままでも大丈夫と。お父さんが無理する必要ないと。それだけ言いたい。
今年は、たくさんの人と会った。去年や前の年は智くんしか来てくれなかった。でも今年は違う。
久しぶりに槇や葉、弥生に会った。槇と葉の息子にも会ったし、息子の婚約者にもあった。
葉と槇の子供は初めて見る。お腹に子供がいた時しか僕は知らなかった。でもあの息子はきっと二番目の子だ。一番目は学校の方だと言っていたから。
また来てくれたら嬉しいな。
今年はいろんな人に会ったけど、智くんが来なくなった。前は、毎日のように来ていたけど・・もうほとんど来てくれない。寂しくないと言ったら嘘になるけど・・婚約者ができた。そう思うようにしてた。何も考えたくなかった。考えて仕舞えば、きっと僕は嫌な方向に考える。だから、智くんのことは考えないよう考えないよう頭の中で繰り返してた。
僕は暇すぎて、新しいことを始めた。この病院には孤児院があって子供達がいっぱいいる。だから僕は毎日のように孤児院に行って子供と遊んでいた。それしかすることがない。
僕は別に入院する必要はない。ただ足が動かなくて、背が低いだけ。車椅子なら普通に家でも暮らせる。でも、僕には家がない。僕の帰る場所はここにはない。だから、僕はずっと・・この病室の中で息をする。
息をしている必要があるのか最近自分に問いかけている。この学校にとって僕は失敗作。僕がいること自体ほとんどの人間が知らない。ならいっそのこと本当に消えてしまった方が学校も嬉しいのではないかとよく自分に聞く。
暇で暇で暇で・・僕は何もすることがなくて、ただだただ嫌なことを考えるばかり。
そんな自分がまた嫌いになる。
弥生に会いたい。今のじゃない。高校の時の・・あの時の弥生とあの時の僕として会いたい。今の自分は嫌いだ・・。気持ち悪い。
本来なら僕は30代後半のはずだ。それなのに・・それなのに・・
自分は・・・化け物だ。
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