今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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2人が幸せになるために

王子様

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 「篠秋しのあき校長。貴方こそ、都瀬みやせくんの危険性をわかっていないのでは?」
 「どう言うことだ?」
 「彼を他の生徒のように男高の敷地で過ごさせるのは危険だと思わないのか?どうする?研究員の1人が彼を連れ去ったりしたら」
 「そんなことをさせない。白斗はくとは弱くはないぞ。」
 
 信秋のぶあき百々目とどめは言い合う。後ろに本人がいることを忘れて。

 「2人とも・・やめ・・」
 あずさが止めようとしたが2人の声の方が大きく止めに入れなかった。梓は白斗を見る。一瞬、見間違いかもしれない、でも確かに白斗の目から涙が出ていた気がする。下を向いて、微かに見える口は苦笑いのような中途半端な笑顔だった。白斗を見て梓は表現のしようがない怒りに襲われていた。
 (・・怒りをぶつけたい。でも、お父様にこの怒りをぶつけるのは・・・それでも・・白斗を守るのは役目・・これはその役目に入ってる?)

 心の中で葛藤していると梓の肩に手が置かれた。あの研究員だ。
 「梓様」
 小声で話しかけてくる。
 「梓様の役目は白斗様を守ることです。貴方が今ここで怒ることも白斗様を守ることだと思いませんか?」
 「・・・」
 その言葉を聞いた梓は深呼吸をする。
 「梓。お祖父様をお願い・・私には何も言えない」
 弥生やよいがお願いともう一度言う。返事はせず、梓は目の前の2人に近づいて行く。


 
 梓は深呼吸をする。

 
 「2!!!辞めてください!!白斗は道具ではありません!白斗は・・」
 梓は叫ぶ。

 信秋と百々目は梓を見た。
 
 「・・あずさ・・」

 後ろから白斗の声がする。梓は白斗の元に行く。
 「これ以上、白斗に対して道具扱いするのなら私は白斗を攫ってここからいなくなります。百々目副所長。白斗がいなくなったら困るのでしょう?お父様。体調が悪いままでいいのなら血の提供は辞めます。知ってください。貴方達が血を使えるのは白斗が優しいからです。お父様でも、副所長でも私の役目は白斗を守ることです。私は嘘などつきませんよ。」

 白斗を抱きしめ、2人の目を見て言う。その目には鋭さがある。

 「・・・悪かった・・。失言をした。白斗。すまない。でも、ここにいるのはダメなんだ。帰ろう。」
 「・・・」

 百々目は何も言わず、白斗の言葉を待つ。

 白斗は顔を上げて

 「僕は帰らないよ。それに・・感じるんだ。直也なおやが迎えにきてくれるって。だから僕はここで待つよ。」

と笑顔で答えた。

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