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2人が幸せになるために
加害者は泣けない
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梓が息を切らしながら戻ってきた。でも、噴水に委御は見当たらなかった。
「・・ですよね・・」
ちょっと寂しさを感じたのかはぁと息を吐いた。
「ね、泣きたいときってどうすれば良い?」
噴水の後ろから声がする。梓が噴水を回る。委御が水を見ていた。
「泣きたい時?」
「泣きたいけど、私は泣いちゃいけない時。」
梓は考える。
「泣けばいいと思います。止まるまで泣き続ければ良いと・・私は思います。」
「・・それじゃあダメなんだよ。私は加害者。私は泣いちゃいけない立場。被害者が泣くはずなのに加害者の私は泣いちゃダメ。そんな時、どうすれば良いの?」
委御は梓を見た。
委御の顔は泣きそうな顔をしていた。それでも必死に涙を止めているようなそんか感じがする。
初めて委御が弱音を吐いた瞬間。必死に止めていた涙は嗚咽と共に目から溢れる。
「うっぐっ・・」
鼻を啜る音。委御は梓から目を逸らす。これは決して泣いているのではなく、鼻水が出てるだけと。背中が言う。
そんな背中を見て、梓は何もできない。
2人の空間には委御の泣き声だけが響いている。
鼻を一回啜る。
「・・はぁ・・ほんと、災厄。なんでよりにもよってあんたなの?」
「知りませんよ。」
噴水で2人は座っていた。
「場所、移動しよう。」
委御が立ち上がる。
「落ち着きましたか?」
「う、うん・・」
その言葉を聞き梓も立ち上がる。
「どこに行くのですか?」
「私の家。」
「家?」
「うん、まぁ厳密には研究室なんだけど。」
委御に着いていく。どこにいくのかいまいち理解しないまま梓は委御の背中を見ながら歩いた。
委御の家に着いたのか鍵を取り出して開ける。
「第7研究室?」
ドアの上に飾られている看板?を梓は読み上げる。
「そ、もう誰も使ってないから勝手に家にしてる。」
梓を招き入れてドアを閉める。
普通の研究室とあまり変わらない。変わってると言えば、キッチンがあったりとそんな程度だ。
「適当に座ってて」
梓は手術台に腰をかけた。腰をかけたと同時に手術台ではないような感触。座り心地がとても良い。
「それ、改造したから寝心地もいいし、座り心地も最高なの。」
ふわふわしているのか梓がなんだも座り直していたのに気がつきそう説明した。はいとマグカップを梓に渡し、委御はガラガラ言う椅子を持ってきて座った。梓がマグカップに口をつける。
「・・あったかい。」
「ただのお茶だけどね。」
委御も自分のマグカップを口につけて飲む。
数分間の沈黙が続く。
「委御さん。」
沈黙を破ったのは梓だった。
「篠秋の血が入っているのですか?」
「直球だね。簡単に言うと入ってる。」
案の定なのか、対して驚いてはいなかった。
「そうですか・・。」
「あんま驚いてなさそうだね。」
「勘付きましたので。」
委御が天井を見上げる。
「そうだね。説明してもいいけど、多分つまらないよ。」
「知りたいです。つまらなくてもいいので、教えてください。」
委御が天井を見上げたながらぐるぐる回る。
「うん、いいよ。どっから話そうかな。」
知っている委御とは全然違う。これが本来の委御なのだと梓は思った。
「・・ですよね・・」
ちょっと寂しさを感じたのかはぁと息を吐いた。
「ね、泣きたいときってどうすれば良い?」
噴水の後ろから声がする。梓が噴水を回る。委御が水を見ていた。
「泣きたい時?」
「泣きたいけど、私は泣いちゃいけない時。」
梓は考える。
「泣けばいいと思います。止まるまで泣き続ければ良いと・・私は思います。」
「・・それじゃあダメなんだよ。私は加害者。私は泣いちゃいけない立場。被害者が泣くはずなのに加害者の私は泣いちゃダメ。そんな時、どうすれば良いの?」
委御は梓を見た。
委御の顔は泣きそうな顔をしていた。それでも必死に涙を止めているようなそんか感じがする。
初めて委御が弱音を吐いた瞬間。必死に止めていた涙は嗚咽と共に目から溢れる。
「うっぐっ・・」
鼻を啜る音。委御は梓から目を逸らす。これは決して泣いているのではなく、鼻水が出てるだけと。背中が言う。
そんな背中を見て、梓は何もできない。
2人の空間には委御の泣き声だけが響いている。
鼻を一回啜る。
「・・はぁ・・ほんと、災厄。なんでよりにもよってあんたなの?」
「知りませんよ。」
噴水で2人は座っていた。
「場所、移動しよう。」
委御が立ち上がる。
「落ち着きましたか?」
「う、うん・・」
その言葉を聞き梓も立ち上がる。
「どこに行くのですか?」
「私の家。」
「家?」
「うん、まぁ厳密には研究室なんだけど。」
委御に着いていく。どこにいくのかいまいち理解しないまま梓は委御の背中を見ながら歩いた。
委御の家に着いたのか鍵を取り出して開ける。
「第7研究室?」
ドアの上に飾られている看板?を梓は読み上げる。
「そ、もう誰も使ってないから勝手に家にしてる。」
梓を招き入れてドアを閉める。
普通の研究室とあまり変わらない。変わってると言えば、キッチンがあったりとそんな程度だ。
「適当に座ってて」
梓は手術台に腰をかけた。腰をかけたと同時に手術台ではないような感触。座り心地がとても良い。
「それ、改造したから寝心地もいいし、座り心地も最高なの。」
ふわふわしているのか梓がなんだも座り直していたのに気がつきそう説明した。はいとマグカップを梓に渡し、委御はガラガラ言う椅子を持ってきて座った。梓がマグカップに口をつける。
「・・あったかい。」
「ただのお茶だけどね。」
委御も自分のマグカップを口につけて飲む。
数分間の沈黙が続く。
「委御さん。」
沈黙を破ったのは梓だった。
「篠秋の血が入っているのですか?」
「直球だね。簡単に言うと入ってる。」
案の定なのか、対して驚いてはいなかった。
「そうですか・・。」
「あんま驚いてなさそうだね。」
「勘付きましたので。」
委御が天井を見上げる。
「そうだね。説明してもいいけど、多分つまらないよ。」
「知りたいです。つまらなくてもいいので、教えてください。」
委御が天井を見上げたながらぐるぐる回る。
「うん、いいよ。どっから話そうかな。」
知っている委御とは全然違う。これが本来の委御なのだと梓は思った。
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