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2人が幸せになるために
貴方のためにもっと頑張るから
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白斗のことは全て覚えているはずだった。白斗に確認を取ることはしてない。でも確信的に覚えていると認識?理解?していた。こうやって確認されたことはなかった。白斗の・・実験後の顔?思い出せない。
「す、すお・・さん。お願いです。教えてください。白斗はどんな・・どんな顔をしていたんですか?」
委御を見て、あんなにも嬉しそうな顔をしている委御に私は・・涙目になって懇願する。
「良いよ~。惨めだね~。」
委御は私に囁くように言う。
「次は忘れないでね。あの時の白白の表情は私は絶対に忘れない。」
『顔面蒼白で、体は痙攣してて、とても嬉しそうな顔をしていたんだ。』
願っても、願っても叶わない。当たり前だ。この学校に神はいない。神頼みほど惨めなものはない。それでも、誰かに助けて欲しい。俺を。俺自身を。
『私とお父さんは貴方を愛してるからね』
いつも縋ってしまうのは、小さい頃に何度も聞いた言葉。
あの言葉は俺の心を落ち着かせてくれる。
「・・ごめん、ごめんなさい。お母さん。」
もう元に戻ることはない。戻りたいと思っても・・もう無理なのかもしれない・・。
我慢していた涙を流す。泣くな泣くなと自分に言い聞かせる。それでも止まることなく涙が落ちる。
「白斗・・ごめん。ごめん。俺が・・白斗を助けるべきだった。ごめん。ごめんなさい。」
本人に言いたい。でも、こんな惨めな俺は見せられない。
スマホの通知が鳴る。俺はスマホの電源をつけた。ロック画面には『直也』と言う名前と『メールを受信しました』と出ている。俺は開くこともせずスマホの電源が勝手に消えるのを待った。
教えてもらっても、あの時の顔は思い出せなかった。
「嬉しそうな・・顔?」
委御の顔は何回も変わる。悪い笑みを浮かべたり、笑顔になったり、不機嫌な顔になったり、嫌な顔になったり。
「・・白白はあの実験が嬉しかった。そんなことある?あんな実験されっ」
委御が慌てた様子で口を押さえた。
「あんな実験?実験は見えなかったはず・・ですよ。」
「な、なんのこと?」
初めて、委御が焦った顔をした。
「見たのですか?」
「何を?」
「実験を。」
「いいや。」
実験を見られるのは篠秋の親族以外いない。
「貴方は・・お父様の親族なのですか?」
「・・はぁ・・。」
委御が頭を掻く。
「立って。場所を移動しよ。いつまでもここにいたら人が来る。」
めんどくさそうに言う。
「もう、血はいらないのですか?」
「今日は諦める。」
「では、届けさせてください。」
「はいはい・・。ここにいるから早く行ってきて。」
そう言って委御は廊下の隣にある噴水まで行き、噴水のベンチに座った。足を組み、梓を睨む。
梓はすぐに立ち上がり、走って廊下を駆け抜けた。
「はぁ・・全く。荻委御。白白のためにもっと頑張るよ。」
「す、すお・・さん。お願いです。教えてください。白斗はどんな・・どんな顔をしていたんですか?」
委御を見て、あんなにも嬉しそうな顔をしている委御に私は・・涙目になって懇願する。
「良いよ~。惨めだね~。」
委御は私に囁くように言う。
「次は忘れないでね。あの時の白白の表情は私は絶対に忘れない。」
『顔面蒼白で、体は痙攣してて、とても嬉しそうな顔をしていたんだ。』
願っても、願っても叶わない。当たり前だ。この学校に神はいない。神頼みほど惨めなものはない。それでも、誰かに助けて欲しい。俺を。俺自身を。
『私とお父さんは貴方を愛してるからね』
いつも縋ってしまうのは、小さい頃に何度も聞いた言葉。
あの言葉は俺の心を落ち着かせてくれる。
「・・ごめん、ごめんなさい。お母さん。」
もう元に戻ることはない。戻りたいと思っても・・もう無理なのかもしれない・・。
我慢していた涙を流す。泣くな泣くなと自分に言い聞かせる。それでも止まることなく涙が落ちる。
「白斗・・ごめん。ごめん。俺が・・白斗を助けるべきだった。ごめん。ごめんなさい。」
本人に言いたい。でも、こんな惨めな俺は見せられない。
スマホの通知が鳴る。俺はスマホの電源をつけた。ロック画面には『直也』と言う名前と『メールを受信しました』と出ている。俺は開くこともせずスマホの電源が勝手に消えるのを待った。
教えてもらっても、あの時の顔は思い出せなかった。
「嬉しそうな・・顔?」
委御の顔は何回も変わる。悪い笑みを浮かべたり、笑顔になったり、不機嫌な顔になったり、嫌な顔になったり。
「・・白白はあの実験が嬉しかった。そんなことある?あんな実験されっ」
委御が慌てた様子で口を押さえた。
「あんな実験?実験は見えなかったはず・・ですよ。」
「な、なんのこと?」
初めて、委御が焦った顔をした。
「見たのですか?」
「何を?」
「実験を。」
「いいや。」
実験を見られるのは篠秋の親族以外いない。
「貴方は・・お父様の親族なのですか?」
「・・はぁ・・。」
委御が頭を掻く。
「立って。場所を移動しよ。いつまでもここにいたら人が来る。」
めんどくさそうに言う。
「もう、血はいらないのですか?」
「今日は諦める。」
「では、届けさせてください。」
「はいはい・・。ここにいるから早く行ってきて。」
そう言って委御は廊下の隣にある噴水まで行き、噴水のベンチに座った。足を組み、梓を睨む。
梓はすぐに立ち上がり、走って廊下を駆け抜けた。
「はぁ・・全く。荻委御。白白のためにもっと頑張るよ。」
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